二つの腎臓を失くした「キドニー」と呼ばれる弁護士の宇野。

妻を亡くした元弁護士の木野健。虚無感に苛まれ、本土から離れたこの島へ流れつき、漁師として生きていた。

高校教師の西尾は、突然退学した生徒を探しにその街にやって来た。「臆病なんですよ、俺は。

砂糖菓子のように崩れていく―。女はそう形容した。

獲物を追って、この街へやってきた。そいつの人生に幕を引いてやる、それが仕事のはずだった。

荒海を渡り、絶壁をよじ登って、男は女のもとへやってきた。「私がいる。

固い決意を胸に秘め、男は帰ってきた。港町N市―妻を失った男には、闘うことしか残されていなかった。

病死した戦友の息子・野本精一から金の無心をする電話がかかってきた。

S市郊外のトンネルを抜けると蜃気楼のような街が眼の前に広がる。私はかつての師・市来を捜すためにこの街へやってきた。

人生の塩辛いところばかり舐めようとして生きるため「ソルティ」と呼ばれている若月真一郎。

「なにも言わずに消える。それが俺には納得できなかった」自分の前から、突然消えた女を追いかけて、青年はこの街にやって来た。

かつてのパートナー、山崎進一を追いつめるために、私はこの街へやって来た。裏切りに楔を打ち込む。

冬が海からやって来る。毎年それを眺めているのが好きだった。

虚飾と欲望に彩られた街。私はこの土地の権力者・久納義正を取材するためにやって来た。

男は、3年前に別れた妻を救うために、その街へやって来た。「なにからはじめればいいのか、やっとわかったよ。

冬は海からやって来る。静かにそれを見ていたかった。

港町N市―市長を巻きこんだ抗争から2年半が経過した。

風吹きすさぶペルーの高山地帯。

「狼は哲学者だな。戦闘に熟達しただけのコマンドじゃない」傭兵がつぶやく。

吹き荒れる雪。うなる銃弾。

グレーのスーツ、地味なネクタイ、きちっと刈った髪。よく独り言を呟く神経質な男。

刑事となった良文は、抜群の検挙率をあげた。

愛する女・牧子のために殺人を犯して、暴力団と警察に追われる幸二。

スーパーの親爺。ヤクザからは足を洗った。

依頼人は若すぎた。義姉の行方を心配する和夫は中三だった。

俺をハメたのは誰だ？横浜の夜、容疑者を射殺し、刑事の職を追われた梶。

定期的に食事はするが、踏み込まない。響子とは二十二年、そうしてきた。

正義派ではない、金のためでもない。ヤミ金融の連中を脅し、言いがかり同然の裁判を起こす。

タクシードライバーの浜田英二のところに、ある日一人の女性がやって来る。ミラーごしに見た懐かしい面影。

弁護士・谷の同僚、戸部が失踪、つづいて彼と関わりのあった小山民子が殺された。

上得意の客に暴力をふるい、横浜の高級クラブのボーイを馘になった25歳の川本高志は、喧嘩の遠因となった男・室田の仕事を手伝いはじめる。

30歳を前に商社を辞めて転職した。やくざまがいの探偵稼業。

清朝末期、満州族に辮髪と纏足を強要されていた漢人は、宣教師にも生活を蹂躙され不満は頂点に達していた。

闇に葬られた殺し屋“百舌”事件。東都ヘラルド新聞社の残間の元に、事の真相を解明する原稿の依頼が舞い込む。

探偵・浅生、32歳、元商社マン。時として、身体を張って調査をすることもある。

福岡・遠賀川で船頭のまねごとをしながら日々を過ごす小添家三男・正太。佐賀県内に三つの賭場を持つ藤家の女将・瑠〓(い)。

戦争が終わってちょうど十年目、いまだ空襲の跡が残る大阪の下町に生まれた作田又三。

カスミは、タケルとホウを父・藤堂の知人が運営する薬物依存症患者の更生施設に連れてきた。

孔雀城―無頼の少年たちは、自分たちの寝ぐらをそう呼んだ。戦争直後の東京、焼けくずれた工場の跡地である。

「あたしの誇りは竜よ。あたしの狼、冬に向かって走る狼」女は唇を重ねる。

強請りに行ったバーテンの水田に逆に叩きのめされてしまったビデオカメラマン村上洋一に、水田の客だという男が仕事の話を持ち込んできた。

東京は下町、向島の料亭に生まれた川田周一。十四歳。