戦争の傷跡を残す大阪で、河の畔に住む少年と廓船に暮らす姉弟との短い交友を描く。

競走馬の躍動する命の美しさ危うさに魅せられ人生を賭けた男たちの夢の行方―。吉川英治文学賞を受賞したサラブレッド・ロマン。

人は精がのうなると、死にとうなるもんじゃけ―祖母が、そして次に前夫が何故か突然、生への執着を捨てて闇の国へと去っていった悲しい記憶を胸奥に秘めたゆみ子。

「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛し合いながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。

喫茶店に掛けてあった絵を盗み出す予備校生たち、アルバイトで西瓜を売る高校生、蝶の標本をコレクションする散髪屋―。

亡き父の借財を抱えた大学生、井領哲之。

城田家にハンガリーからの留学生がやってきた。総勢十三人と犬一匹。

燎平は、新設大学の一期生として、テニス部の創立に参加する。

両親を亡くした大学生の邦彦は、生活の糧を求めて道頓堀の喫茶店に住み込んだ。

母と若い愛人、娘とドイツ人の青年。ドナウの流れに沿って旅するふた組の恋たち。

離婚して娘と暮らす遠間憲太郎は、陶器店を経営する篠原貴志子に少年のような恋をした。

春の午後、ひとりの主婦が惨殺された。難航する犯人捜査があらわにする人々の心の奥底にひそむ哀しみと、悦び。

工業デザイナーを目ざす私、昆虫に魅入られた写真家のロバ、不安神経症を乗り越え、医者を志す愛子、美容師として活躍する曜子。

アパートの一室で見つかったある 緊縛師 の死体。 重要な参考人・桐田麻衣子は、刑事・富樫が惹かれている女性だった。

この世には不思議なことなど何もないのだよ―古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。

メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。

毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。

匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。

ヴェトナムの戦場を肌で感じ生と死の異相を鋭く凝視した『輝ける闇』。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。

昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。

白昼、老人が渋谷のスクランブル交差点で何もない空を指さして絶命した。正光秀雄96歳。

ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。

ノースカロライナ州の湿地で青年の遺体が見つかる。村の人々は「湿地の少女」カイアに疑いの目を向ける。

その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた―。1998年、春。

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。

傷ついた犬のように、私は生まれた場所へと這い戻ってきた―ブルックリンの、幸福の物語。

動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。

身に覚えのない罪を着せられてニューヨーク市警を追われたジョー・オリヴァー。

このままでは、我が子を手にかけ、自分も死ぬしかない。歯科医の大澤正樹とその妻、節子は悩んでいた。

５２ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。

【第166回直木賞受賞作】 どんな攻めをも、はね返す石垣。 どんな守りをも、打ち破る鉄砲。

認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの？　青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。

時はバブル期。