昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。

ようこは自分の部屋に戻り、箱を見た。

祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。

昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だ。

放課後の誰もいない理科実験室でガラスの割れる音がした。壊れた試験管の液体からただようあまい香り。

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。

楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡…。

切れるはずのないザイルは、なぜ切れたのか？　恋愛と男の友情を、緊密な構成でドラマティックに展開させた井上靖の傑作長篇。

雅男は、サッカーが好きなごくふつうの中学生。

風間健介は急逝した父の遺志を継ぎ、広告カメラマンから山岳写真家へと転身した。

父さんが、弟が、次々と消えていく。だれかが私の記憶を消そうとしている…。

将来、NASAのエンジニアになりたい小学六年生の佐倉ハルくんは、風船宇宙撮影を目指しています。

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。

出産を控えた姉に毒薬の染まったジャムを食べさせる妹…。

“光の山”が人生を奇跡に変えた!決死の生還を果たした男を待っていた思いもかけぬ殺人容疑―NZ随一の名峰アスパイアリングに鎮魂と再生への祈りが谺する。

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。

こんなはずでなかった結婚。捨て去れない華やいだ過去。

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。

ドイツの片田舎で買ったふしぎな魔力をもった椅子……。静かな雪の夜に、老夫婦のもとにあらわれた侵入者……。

法律事務所を経営する北見貴秋は、薬物依存症の入院療養から戻った日、同級生の服部奈津から、幼馴染の今川出流の死を知らされる。

悲劇なんかじゃない。これが私の人生。

生れながらに人の心を読むことができる超能力者、美しきテレパス火田七瀬は、人に超能力者だと悟られるのを恐れて、お手伝いの仕事をやめ、旅に出る。

とつじょ大繁殖して野に街にあふれでたネズミの大群がまき起す大恐慌を描く「パニック」。

“たっぷり”がうれしい。新鮮なアイデア、完全なプロット、意外な結末―三要素そろったショートショートの傑作。

カトマンドゥの裏街でカメラマン・深町は古いコダックを手に入れる。

ソマリアの国境付近で活動する陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達。

2011年、夏――ダム建設工事の掘削作業中に、縄文人男性と弥生人女性の人骨が同時に発見された。

七瀬、18歳。テレパシー力をもつ可愛いお手伝いさんが知った8つの家庭の意外な事実とは…。

あのルートを、たった一人で、しかも名もない日本人が登れるわけがない―アラスカからヒマラヤへ、数々の難壁に初登攀の足跡を残してきた新進気鋭のアルパインクライマー奈良原和志が、そんな周囲の雑音をよそに、初めて目指した8000メートル峰が世界第四位のローツェ、し

横領、強盗、殺人…こんなたぐいの犯罪は一般の警察にまかせておけばよい。