白い服の男
- 横領 (72)
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風雨にみがかれた岩のような、工学をつめこまれたロケットのような、洗い清められた無駄のない文章。 それでいて芯に刻まれたアイデアは、めったにお目にかかれない宝石のごとき光を放ち、欠けたところのない真円のよう。 ただただ、面白い小説であります。 | ||||
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タイトルにある「白い服の男」。 初めて読んだ時は意味が分からなかったが、何度か繰り返し読んでいると分かった。「軍事国家や独裁主義の象徴と見られる事が多い思想・秘密警察が、もし平和主義だったらどうなるか」を描いているのだと。 特殊警察はナチスのゲシュタポや日本の特高のように、検閲や時に非人道的手段を用いて違反者を取り締まるが、ただ一点「軍国主義か平和主義か」だけが異なっている。どちらが良いのかは言うまでもないが、一つだけ言えるのはやり過ぎは逆効果になる、という事。 星さんの発想力と風刺の効いたプロットに驚かされる物語です。 | ||||
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2023年2月24日付け日本経済新聞〈春秋〉欄に 表題作「白い服の男」が取り上げられた。 《この世から戦争をなくすにはどうすればいいか》 なる問いに星新一が考え出した 少々奇抜で極端なアイデアが現実化した世界を描き出したのが 件の「白い服の男」と言うわけ。 ショートショートとしてはやや長めなお話の終わりには[意外な結末]は用意されてはいない。 同社説に添えられた星新一がコレを "本気で考えていた節がある" という一文に…仮にもこんなことして戦争がなくなるなんて "本気で考え"てたら…それこそバカじゃん! そんな思いが湧き30余年振りの再読と相成った次第。 案の定、反語調で、ヒトと戦争のどうしようもない関係を語っている。 こりゃ、結局のところ戦争そのものと戦争してるようなもんだね? | ||||
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SF短編集。 名前だけは昔から聞いていたが初めて読んでみた。 読みやすいシンプルな文体で短い話の中にエッセンスが詰まっている、ああこれははまるなあと思った。 初出が昭和43年(1960年代)ということを考えれば十分すぎるほど斬新だったんじゃないだろうか。 今読むとさすがにコンピュータの描写が古すぎたり、そうはまるでならなかった現実が既にあったりもするが、素直に発想は凄い。 短い文章で起承転結全て入れてしまうので無駄で冗長な描写というものもなく、あっという間に一冊終わったのも個人的には好評価のポイントだった。 これが出来ないぐだぐだ作家がいかに多いか…。 小説とはかくありきという理想を見た気分だった。 そりゃあいまだに読みつがれるわけだ。 その辺の凡作読むよりちょっと古くてもこっちのほうが楽しいや。 | ||||
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昭和43年に早川書房から発売された新書「午後の恐竜」を、文庫化するにあたり、「午後の恐竜」と「白い服の男」の二つに分冊したうちの、後半の一冊となります。なので、本書を気に入った方は、「午後の恐竜」も読んでおいても、損はないかと思います。星先生の作品としては、ややリアルな描写の残酷話と、よりギャグマンガ的な話の、両極端な小説ばかりが収録された作品集のような印象を受けました。 表題作「白い服の男」は、思想狩り、言葉狩りの恐怖を描いた話のように、一般には受け取られているようですが、私は、某国がやっている新型コロナ対策が思い浮かんでしまいました。某国では、わずか数人のコロナ感染者が見つかっただけでも、その地区一帯を都市封鎖してしまいます。いくら、コロナが怖いと言っても、やり過ぎみたいな感じもしますし、その国では、コロナがある限り、ずっと、この政策を続けて、国民の最低限の自由までもを圧迫し続けるのでしょう。そして、世界中でコロナが流行っている以上、ゼロコロナの時代など来るはずもなく、この国では、きっと、これからも、いつまでも、この度の過ぎたコロナ対策を続けてゆくのでありましょう。 私は、「白い服の男」のセ狩りからも、似たような臭いを感じ取ったのでした。「白い服の男」の主人公は、セ狩りを行なう側の人間であり、彼は「セの存在を完全に消し去る事こそが、平和な世界の実現だ」と信じ切っています。しかし、セ狩りをする事自体が、セの存在も表面化させてしまう行為なのであり、そのような矛盾に陥っている以上は、彼のやり方では、絶対にセのない世界は訪れないのです。そんな事も分からないで、この主人公は、滑稽にも、自信を持って、自分自身でセをばら撒きながら、いつまでも、永遠に、嫌いなセと戦い続ける事になるのでしょう。 私は、最後まで読み終えた後に、そんな主人公の姿に、怖さよりも、なんだか、哀れさや虚しさみたいなものを覚えてしまったのでした。 | ||||
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