斜影はるかな国
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初版刊行(参考)
種別
長編
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5,325回
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4回
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あらすじ
評判
斜影はるかな国の評価:
7.00/10点 レビュー 1件。 B ランク
斜影はるかな国の総合評価:
8.85/10点 レビュー 13件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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『 クリヴィツキー症候群 』、『 十字路に立つ女 』と続いた岡坂神策シリーズの第3弾です。といっても、岡坂神策の名が登場するのは小説の中のほんの一瞬だけ。スペインで龍門とともに事件に翻弄される人物の中に明央大学助教授の花形理恵がいて、今はマドリード留学中の彼女がかつて関係のあった岡坂に電話する場面がわずかに描かれるのみです。
つまり、これは岡坂神策ユニバースにおけるスピンオフ的な作品で、しかもスペインの歴史の闇の中に現地で分け入っていく大長編ミステリーです。
朝日新聞の夕刊紙上で1990年から1991年にかけて一年間連載された小説ですから、この文春文庫版で700頁を超える一大巨編です。しかしなんら臆することはありません。とにもかくにも、逢坂先生の文章のリーダビリティの高さは抜群です。
また、共和国政府側に立って戦った日本人がいた話はよく知られていますが、敵対する反乱軍側にもそうした人物がいたとの逢坂先生が耳にした情報をもとにこれだけ遠大な歴史ミステリーを紡ぐ出す手腕は天下一品です。二転三転する物語には一度として倦むことがありません。
スペイン内戦における左派政権軍と右派反乱軍の戦いは、得てして開明的・民主的な前者と頑迷保守の後者の戦いと単純化して見てしまう向きもあるかもしれません。しかし、この小説がつきつけるのは、あの時代どちらに与するかは、スターリニズムとフランコニズムとの間のレッサー・イーブル(lesser evil)の選択であったという事実です。その意味で『斜影はるかな国』は、内戦の不都合な真実を冷徹に見つめた政治小説として秀逸だといえます。
そのほかにも、POUM(マルクス主義統一労働者党)の指導者アンドレウ・ニンの謎の死や、共和国政府のもつ金塊のソ連への搬出計画、ソ連の秘密工作員アレクサンドル・オルロフの亡命、など実際に起きた歴史的事件の欠落部分を、独自の想像力で補って緊張感あふれる展開へと仕上げていくところもお見事としかいえません。
このあと岡坂神策シリーズは『緑の家の女』で東京へ舞台を戻します。私は旧題の『 ハポン追跡 』を先に読んでいますが、それに続く『あでやかな落日』『カプグラの悪夢』と、このシリーズではしばらくスペインとは無関係な物語が続くようです。一足飛びに『牙をむく都会』へと読書の手を伸ばすことにしようかと思います。
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