白魔の檻
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あらすじ
研修医の春田は実習のため北海道へ行くことになり、過疎地医療協力で派遣される城崎と、温泉湖の近くにある山奥の病院へと向かう。ところが二人が辿り着いた直後、病院一帯は濃霧に覆われて誰も出入りができない状況になってしまう。そんな中、院内で病院スタッフが変死体となって発見される。さらに翌朝に発生した大地震の影響で、病院の周囲には硫化水素ガスが流れ込んでしまう。そして、霧とガスにより孤立した病院で不可能犯罪が発生して──。過疎地医療の現実と、災害下で患者を守り共に生き抜こうとする医療従事者たちの極限を描いた本格ミステリ。2025年本屋大賞ノミネートの『禁忌の子』に連なる、シリーズ第2弾。(「BOOK」データベースより)
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評判
白魔の檻の評価:
5.00/10点 レビュー 1件。 C ランク
白魔の檻の総合評価:
7.67/10点 レビュー 21件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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一般文芸書もフィクションという意味では同列だから設定上の偶然には寛容であるべきだが、それにも限度がある。ハードカバーで出すような本は、新書版コミックスとは異なる購入読者層を納得させるだけの説得力が有ってしかるべき。本書はその前提を大きく踏み外す。
舞台は市街地から離れた病院だ。開業医なら営業利益を、公営病院なら利用者の便を第一に設置されるのであり得ない立地だ。なぜあり得ない立地にしたか。それは孤立させる人々の多くが医師だから。
「クローズドサークル」が成立するのは、警察権力の不介入と科学的知見による事態の究明手段の不存在が必要と思われるが、病院は孤立したところで科学的究明手段や治療回復手段、技能を持った人材の全てが揃うので連続して犠牲者が出ることは考えにくい。
そこで病院が機能しなくなるように、高濃度の硫化水素が発生してタイムリミットに追われ、数日間にわたり垂れ込める濃霧でヘリが飛ばず、突如起きた大地震でリソースまで制限され、そのタイミングで発生する連続殺人というアクロバティックな状況設定が必要になる。硫化水素が溜まるばかりの滞留地のくせに濃霧は絶え間なく供給される不思議な場所に立地する病院によく認可が下りたもんだ。加えて病院で連続して事件が起きたとして、多数の入院患者をあっさり除外する潔さ。結果オーライとはいえ患者が共犯となる可能性まで捨てるのは極限状態としても無謀すぎる。これならまだテロリスト占拠事案の方がありきたりだが納得しやすい。
そこまで不自然な設定にしてまで病院で事件起こすのは、ただただ著者デビュー作の探偵医師を再登場させるため。十津川警部やホームズ(猫)のように売り上げに影響を与えるレベルの知名度がある主人公なら多少場違いなところに出現するのも分かるが、デビュー二作目でミラクル場面設定のうえ敢えて主人公を続投させる必要性は乏しい。場面設定は作者の専権なのだからもう少しどうにかできなかったのか。読むに値しない駄作では決してなく、犯人を追い詰める場面なんか結構面白かっただけに設定で貴重なネタを台無しにしてる残念な未消化作品だ。本業が忙しいならもっと寡作でいいから次作は不自然さを極力潰す方向で作り込んで欲しい。