祈りも涙も忘れていた
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WOWOWで「密告はうたう」がドラマ化されたのを機に、「密告はうたう」を読み、あまりの面白さに一気にシリーズ3作を読破しました。その後「地検のS」シリーズ3作も読み、以来伊兼源太郎さんのファンです。以降何を読もうかと思いながら何故か手が伸びず、今回2年前に出版された本作を選びました。 この作品も「密告はうたう」同様警察もので、今回の主人公は若きキャリアで、上層部からも部下たちからも、この先警察官僚として伸びていけるかどうかを試され、様々な試練を与えられます。地域の巨悪を挙げるための極秘捜査を進める中で、内部に密通者の可能性も浮上し、誰が信じられるのか疑心暗鬼になりながら苦悩し、綱渡りのように捜査を指揮する主人公にぐいぐい引き込まれます。 ミステリー小説のように誰が犯人か、どうやって犯人を炙り出していくのかが物語の主題ではなく警察組織の中での人間関係や絡みを楽しむ作品ですので好き嫌いはあるかと思います。 読み進むうちに、この登場人物はもしかして〇〇〇?と思わせるストーリーの展開も秀逸で、最初から最後までヒリヒリとした緊張感で読み進むことができました。 私がこの作者が好きなのは、文章が良いからというのもあります。今風ハードボイルドの味付けと、さりげなく散りばめられる人間の生の真理などが心に響きます。 密告はうたうと本作で警察組織を描き、地検のSシリーズでは検察内部の組織を描き、いずれもがリアルで惹きこまれます。 最近「密告はうたう」シリーズの最新作も出ました。もちろん読みます。 今、一番読みたい作家さんです。 追記 この作家さんの一番好きなところは、主人公やその周辺人物たちに人としての矜持、真っ当な正義感があることです。 今の日本人から消えつつある真摯な生き方があるからです。 | ||||
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読み進めるごとに、階層の深い複雑なロジックのなかを彷徨い歩く感じに。 巨悪たる根源を追求していくミステリーとサスペンス、そしてハードボイルドに。 罪を、罰を受けさせる。 本質を見極め正義を貫くことは非情なことなのか。 若きキャリア警官は、アーキテクチャーを駆使しつつ、現場に立ち自ら足を運び汗をかくべきだと。 その渾身のまっしぐらさはアツき青春だ。 | ||||
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原寮氏の推薦文が、本作の全てを表現しているような気がします。 ハードボイルドに然程詳しくなくても、これぞ、と思ってしまうような雰囲気が漂っています。 主人公の新人キャリア警察官の佇まい、隠れ家的なバー、謎の美女とのやり取りや対峙する巨悪等も、全てがそのために存在しているような作り込みでした。 ただ、事件終息の切っ掛けは、それまでの展開からは警察小説としてはあっけなく感じた点はありました。 | ||||
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現場経験の少ない新人キャリア官僚の甲斐彰太郎が、犯罪認知件数でワースト5に入るV県警捜査一課に配属になるところから物語が始まる。 一つの放火殺人事件の捜査を引き金に、次々と殺人事件が起きていく展開。 しかも被害者は全てV県警がある神浜地区を牛耳る飯島産業と関わりがあるもので、捜査が進展しそうな時に鍵となる人物が亡くなっていく。 思慮深い甲斐は、内部の情報漏洩を疑い、同じ捜査一課の刑事や刑事部長も信頼しきれない。 そんな中、いかに事件の核心に食い込んでいくのか、読み応えが合った。 「人の命を奪うなら、せめて心の中だけでも祈りと涙を忘れてはいけない」という成海の言葉も印象的だった。 ただ、個人的には随所に出てくる洋館バーにおいて、ラマイオリヒという作家の「だから、僕は人を殺した」という小説を読んでいくくだりが抽象的でくどく感じた。 また、最後は思っていたよりもあっけない展開だったのが残念だった。 | ||||
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伊兼源太郎を読むのは、「事件持ち」(2020/5月)以来になります。(「報道」側から描かれたミステリでしたが、犯人側の動機と経過した「時間」の扱いに不満が残りました) 「祈りも涙も忘れていた」(伊兼源太郎 早川書房)を読み終えました。 2001年、8月。舞台は、架空の神浜市、V警察。(とは言え、現存する都市の中どこがモデルなのかはすぐ想像がつくような気がします)主人公は、27歳?のキャリアであり、捜査一課管理官・甲斐彰太郎。特殊係放火班班長・岩久保を遣り込めるつかみは、とてもシャープでした。 そして、或る放火事件が起き、甲斐の友人でもある新聞記者が登場し、12年前に起きた警官殺しが語られ、いくつかのきな臭い事件が、飯島グループと言う企業体へと収斂していく中、V警察は特命班を設置し、本部長・久世の下、甲斐もまたその特命プロジェクトに巻き込まれ、飯島グループという「巨悪」を暴くべくストーリーが展開していきます。<神浜コンフィデンシャル>のように。 しかしながら、事件はなかなか真相へは近づけず、現実世界でも同じようなものなのかどうか疑問を持ちながら、物語は私が予想した範囲を超えて膨らみ、しかし予測を裏切られた展開が果たして私にとって好ましいものであったかどうかと問われると少し頷き難い。 主人公・甲斐の<若さ>を割り引いて考えたりもしましたが、時折インサートされるドイツの物語や「ラマイオリヒ」という名のバーで繰り広げられる甲斐と常連客・成海、甲斐とバーテンダー・マルコの会話に私自身がすんなりと入っていけなかったことに起因しているのでしょう。尽きるところ、そのセンチメンタルな心の在り様に私はついていけなかった。警察小説として「事件」を語ることより、『イン・マイ・ライフ』がテーマだったのかもしれないと思いながらも、あまりにも人生を語りたがる登場人物たちに辟易してしまいました。 作者は「いつだって生き残るのは飯島の妻や娘みたいな連中です」と言わせていますね。そこから始まる物語を私が期待していただけかもしれません。読み切れますが、過剰にパセティックなストーリー・テリングだと思います。 | ||||
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