金庫番の娘
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伊兼源太郎さんは、WOWOWで2年前に放映された「密告はうたう」にハマり、すぐに原作を読みました。あまりの面白さにシリーズ3作を一気読み、それで飽き足らず「地検のS」三部作にも手を伸ばし、両シリーズともヒリヒリするような緊迫感のある読みごたえに一気にファンになりました。 その後しばらく空いていたのですが、先日「祈りも涙も忘れていた」を読み、変わらぬヒリヒリした緊張感を楽しみましたので、続けて今作に手を伸ばしました。 読後感としては過去7作に比べると若干物足りなさを感じました。 政治の裏を描いているのですが、今までそこまで考えたこともなかったというほど奥深い知らない部分がなかった点は少々物足りなさを感じました。それでも、その構成やストーリーの展開には文句なしなんですが。 それから、もう一点は主人公が若い女性であったことも一因だと思われます。 一般企業からかなりの大物政治家の秘書に転職したばかりの主人公が、いくら父親が同じ政治家の秘書だからといっても、ここまで急速に馴染み、なおかつ大胆な行動に出られるとは思えませんでした。 しかも、経験もないのに彼女特有の鋭い直感で苦も無く核心を見出していくのも不自然さを感じました。 それでも最後まで面白く読めたのは、作者の筆力ゆえだと思います。 作者にしては明るいハッピーエンドの部類ですが、若い世代向けにピッタリな作品だと思います。希望があり、政治の裏も学べ、何より主人公の勇気と信念のストーリーは政治の世界でなくともビジネスの世界でも十分に共通する要素なのでおすすめの作品だと思います。 私は?というと読者としては歳を取り過ぎたのかもしれません。 | ||||
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展開がとても面白い。 一気に読めます。 | ||||
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ベールに包まれた政界と司法界を臨場感たっぷり、赤裸々に描いている。 政界の裏を司るキーマンは金庫番。 それは、足腰になれるやつであり、あ・うんの呼吸。 余白のある社会っていう言葉に、社会に骨のあるやさしさをというフレーズに好感。 また、泣いている人を助けたいという強い気持ち。 背景には「正義とは」を問いかけている。 | ||||
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これまでの政治を扱ったフィクションの中ではもっとも優れているように思う。 硬派・骨太。 今までの政治を扱ったフィクションと言えばどこか幼稚な夢物語みたいなものばかりだったような印象が強い。 高い理想と共に熱い情熱に燃え、強い意志も兼ね備えたスーパーマンやスーパーウーマンのような政治家ばかり。 そして有能なだけではなく、運や多くの味方にも恵まれ、いろいろな危機も乗り越え。 やがて自分の政策を実現し、成果を出すとか。 あるいは政治の素人ならではの永田町の常識やしがらみに囚われない、新鮮さやひたむきな純粋さを強調とか。 こんなのばかり。 それに現実を反映しているつもりなのか、いつも主人公は世襲議員で父親が既に有名な世襲議員で親の様々な遺産である、知名度・人脈・地盤・財力などを受け継いでの、あまりにも順調な政治家としてのスタート。 そんな主人公ばかりなのにも、個人的にうんざりとしていた。 しかし、この「金庫番の娘」では主人公がその下で働く久富は珍しく世襲議員という設定ではないのも、好ましい。 この小説は綺麗ごとや理想だけではいかない、政治の泥臭くてシビアな面を上手く表現していると思う。 そして自分なりの使命感や理想を持ちつつ度々、ままならない現実に直面しながら、そして全身を泥にまみれながらも格闘し、何とか自分の政策を実現しようとあがく。そんな政治家の姿が描かれている。 また、名言の宝庫でもあると思う。 「政治家が大局的な観点を持てなくなったら終わり」・「「政治家たるもの、きちんとした人格が備わってるべきだと思う。政治力や頭の良し悪しを上回る大事な要素じゃないかな」・「今は政界をはじめ、どの分野も人格や知識、実直に仕事と向き合う姿勢は軽んじられている。もはや否定されていると言ってもいい。仕事ができると評価されたり、重きを置かれてるのは、目端がきいて他人を出し抜けるとか、機転がきくとかいう当意即妙性だ。」・「政治信条に共鳴して寄付しようと思えるほど、日本人は政治家の成果や行いを知らず、興味もない。」。 「民自党はとっくに政策を捨て去った。ここ二十年くらいかな、党としていかに有権者の感情に訴えかけるかに終始するようになったのは。冷静に物事を判断する知性は煽れないけど、感情は煽れる。この方が集票に効果的なんだ。あたかも政策に見える主張を作り、いかに彼らの感情を左右するかに集中してる」。 それから私としてはこの小説の中でも指摘されているように政策よりも何より、この人格というのが政治家としての根幹をなすもの、まさに要ではないかと感じるのだが。 しかし、本当に今の日本では専ら有能さだの、特にマスコミ受けするような当意即妙の弁舌の上手さばかりが政治家の要素としてもてはやされ過ぎていると思う。 あまりにも政治家の人格が軽視され過ぎていると私は強く感じる。 私も以前から政治家にとってもっとも大切なのはその人間性・人格だと強く感じているので、今後もそうした点を重視して政治家を見極めたいと思う。 とにかくも大人のというか、成熟した政治を扱ったフィクションだと感じた。 以前には私は池井戸潤の「民王」も呼んだがそれよりも、この「金庫番の娘」はよほどいい。 | ||||
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政治の世界の表と裏、大手商社との司法取引、検察との騙しあいなど、壮大なスケールで描かれたやりたいことを実現するための信念の物語だった。 世の中は白と黒だけではなく、間に灰色があったり、他にも色んな色合いがあり、より多くの色を取り込める落としどころを見つけ、そこに導くという政治の本文をいかに実現していくか、様々な駆け引きや汚れ仕事、信頼関係やプライドが入り乱れていて読み応えがあった。 個人的には久富議員の政治信念や生き様、男っぷりが好きだった。 「政治家は自分ひとりで表に立つが、無数の人生を背負って立ってるんだ。だから正面から切りつけられても、背中から刺される真似だけはしちゃいけねえ」 「人には幸せになってほしい人リストがあり、人間は必ず誰かの幸せになってほしい人リストに名前が入っている。政治家の場合は国民全体が幸せになってほしい人リストが国民全体なんだ。新しい仕組みづくり、経済、外交、防災、社会保障、環境問題、政治家の仕事は山ほどあるけど、根本は色んな人たちの幸せを叶えることだ」 今回の主役は元商社勤務で政治家秘書の花織だが、登場人物には著者の別作品「巨悪」にも登場した大物国会議員の馬場や、検事の中澤、議員の娘の海老名保奈美なども登場するので、巨悪を読んでからの方が楽しめる。 | ||||
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