奏鳴曲 北里と鷗外
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種別
長編
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あらすじ
評判
奏鳴曲 北里と鷗外の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク
奏鳴曲 北里と鷗外の総合評価:
9.25/10点 レビュー 8件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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「新札の顔に北里柴三郎が」と聞いてから、どんな人物なのか関心を抱き始めた。連休に本書を読んだ。相当大部の作品で、医学のことがテーマなので、理解できるかと不安はあったが、読み始めると途中で止まらなくなった。
医学者の作家なので、主人公たちが取り組んだ伝染病の研究についても、しっかりとした知識のもとに、しかも素人にもわかりやすく解説がなされている。巻末の膨大な資料リストによって、作品に登場する人物や歴史的な事象を正確に理解した上で書いていることがわかる。
鴎外について、若い時代に日銀理事の吉野俊彦氏の鴎外論を愛読したが、この作品では、同時代人の北里柴三郎との比較において、鴎外が描かれていて、興味深い。因果関係はないのだが、二人の人生において、どちらかが盛運の時には、片方は不運に遭遇するということも、ありうることだと思った。
熊本の旧地主階級の出身の北里の徒手空拳の人生航路と、最初から、周囲の大物に宿望されてサラブレッドとして人生を順調に開始した森鴎外の二人の主人公の折々の衝突と妥協、強力が面白い。序章と、終章で、北里と森の二人の人生に大きな影響を与え続けた第五代陸軍軍医総監の石黒の回想を用いているのは独創的な工夫だ。
ドイツ帝国のコッホ研究所で、所長のコッホの信頼を得て、伝染病研究において画期的な成果を上げて、ドイツ帝国からは博士号を取得した北里の偉業は世界の歴史に残っている。コッホとの師弟関係も美しい。
一方、森は、軍医の道を進みながら、文学者としても才能を開花させた。マルチタレントである。本作品においては、北里、森、石黒の女性関係が、難しい医学や衛生学の話題の合間の、まるで、能楽における狂言のような働きをしていて、偉人の人間的側面を伝えている。
寄付文化の研究をしている私には、慶應義塾の創立者の福澤諭吉のフィランソロピストとしての偉業を知ることができたのは収穫だった。これから、新札を使用する折々に北里や渋沢など先人の志を思い起こすことにしたい、と思う。北里柴三郎を知る上で、この上ない読み物である。