夢の10セント銀貨
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| . ベンジャミン・ベネルはニューヨークに暮らすサラリーマン。妻のヘティとの結婚生活は倦怠期を迎えていて、かつての恋人テシーは今どこで何をしているのかと懐かしく思うばかりだ。ある日、手にした10セント銀貨にウッドロウ・ウィルソン大統領の肖像が刻まれていることに気づく。この世に存在しないこのコインを新聞スタンドで代金として支払った途端、周囲のマンハッタンの風景に変化が現れる。見たこともないビル群、見たこともない自動車、見たこともない新聞――慌てて自宅に戻ったベンを待っていたのは、妻ヘティではなく、テシーだった……。 -------------- アメリカのSF作家ジャック・フィニイが1968年に発表した幻想小説です。邦訳は1979(昭和54)年です。 あの頃あの人と別れていなければ――そんな誰しも願う“やりなおしの機会”を手にしてしまった男の顛末を描く長編作品です。そのたぐいの時間旅行物は珍しくありませんし、この作品は時間を遡るというよりは並行宇宙への転移が主題ですが、これが結構ドタバタコメディタッチなのです。主人公のベンは、一緒にいることに飽き飽きしてしまった古女房ヘティとの生活に別れを告げ、愛しいテシーとの憧れの新婚生活をスタートさせるものの、ところがどっこい、ヘティが自分以外の人間と結婚すると聞きつけた途端、他人に取られたくないとばかりに、古女房奪還作戦に邁進するのです。そのために元の世界と新しい世界とを行ったり来たり。しかも奪還の手口がほとんどギャグとしかいいようのない荒唐無稽ぶり。そんなやり口で首尾良くいくわけ絶対ない、と思わざるをえませんが、やってる当人はいたって大真面目なうえ、ヘティを奪おうとする相手もまたそのバカバカしい手口に大真面目に反応していきます。 それにしても人間の身勝手さが巧みに滑稽に描かれています。交際し始めのころの新鮮さをお互いに失って、交わす言葉も少なくなっていく夫婦関係。それでいて自分のもとから去っていく相手には未練たらたら。今の生活は本来あるべき姿じゃないと思って新しい世界を手に入れたというのに、やっぱり前の世界のほうがしっくりくる、という人間の思いをこのSFコメディはしっかりと描出してくわけです。 これまでわたしが読んできたジャック・フィニイ作品といえば、『ふりだしに戻る』や『ゲイルズバーグの春を愛す』といった叙情豊かなSFファンタジーが専らでしたから、今回も同じ味わいの小説を期待していました。その期待は満たされませんでしたが、思わぬドタバタぶりに苦笑しながらも楽しんでしまいました。 ------------------- *147頁 「夜のこの時間には、ドアマンはここに住んでいて外出していた者以外は、納得しない」という一文の意味を測りかねました。 英語原文は次の通りです。 ~by that time of night he wasn't sure but what I still lived there and was just going out. となると翻訳が不完全だと思います。正しくは次のように訳すべきではないでしょうか? 「その時間帯になると、ドアマンはぼくがまだそこに住んでいて、ただ外出しているだけなのか確信が持てなかった」 . | ||||
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| もしもあの時、こうしていたら?人生変わっていたかもしれない。誰でも思うことではないでしょうか? それが実際に起こってしまったら。家に帰ればなんと奥さんは別人!少しずつ違う世界。表題作はなかなかにシュール。その他、ちょっとロマンチックなものまでパラレルワールド系の短編集です。同じ文庫の「ゲイルズバーグの春を愛す」と同じ作家。かなり似た話も入っていますが、「ゲイルズバーグの…」と並んでおすすめ。SFなんて、と思っている、SFは嫌いだけどロマンスは好き、という人に入門書として、いかがでしょう。 | ||||
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