ベルリンで追われる男
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
ベルリンで追われる男の評価:
7.00/10点 レビュー 1件。 C ランク
ベルリンで追われる男の総合評価:
6.33/10点 レビュー 3件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
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まるでヒッチコックの裏窓のようなシチュエイション。アパートの窓に見てしまった殺人。殴り殺される女。見る側は空き家に棲みついた不法滞在者。入国許可証を持たぬ有色人種ゆえに、常に司法の眼から逃れ、ベルリンの地下で生息する若者。と言ったって三十に手が届く。家族を捨て、家族に捨てられる漂流物のような人生。ガーナに帰ることは考えられない。
とにかく警察がわけもなく移民たちを追いまわす。移民たちは、ベルリンの影を走り回る。何らかの罪を背負いつつ、習性のように逃げ回る若き移民たち。逃げ切って、互いの絆を固めることでしか、逃れようのない生活の中で、活き活きと結ばれる友情、愛情、温もりの数々。
アフリカ文化に深く造詣を持つ作者は、近年の難民受け入れ政策により三、四十万人にも及ぶと言われる中東や北アフリカ難民、そして彼らの受けている人種差別の現実に焦点を置いた小説・映画・記者としての活動に従事しているらしい。本書はドイツ本国を舞台にした現状に基づくノワールと言うべき作品である。
ミステリと言うには少し弱い骨格だが、のっけから警官の包囲網をかいくぐるアクションに始まる本書は、逃げ切った主人公に『裏窓』のように殺人を目撃するという重圧を与える。殺人者はエスタブリッシュメントの側のサディストであるらしい。追われながら事件の真相に近づくことで、心に正義を抱えるイリーガルでマイノリティな存在は、小説設定としては珍しい。
移民社会に対する強烈な圧力を逃走するシーンに込めながら、あくまで追いつめられ続ける主人公を描き、その軸に犯罪を暴くという正義の火種を仕込んだ、走る爆薬のような作品であり、従来の小説構想を突き破る。
まるで1970年代のアメリカン・ニューシネマを見るかのようだ。理不尽で、無力で、呆気なく。現代の『イージーライダー』『バニシングポイント』は、ヒロイズムすら感じさせぬ、圧倒的な力に組み伏せられた弱者たちの叫びを聴く物語でもある。