「禍いの荷を負う男」亭の殺人
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「禍いの荷を負う男」亭の殺人の総合評価:
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評者は、マーサ・グライムズの作品を読んだことがないので彼女の処女作『「禍いの荷を負う男」亭の殺人』(1981年)を入手して読むことにした。 本書を読み終え、巻末の杉江松恋氏の解説を読み、著者がアングロファイルであることを詳しく説明をしていた。 アングロファイルとは、「英国びいき」という意味なのである。 著者のマーサ・グライムズは生粋のアメリカ人なのに、イギリス古典探偵小説の熱烈なファンであり、自身がミステリー作家としてデビューするにあたって本書のような世界を使うことを選択したのである。 本書のような世界とは、かのイギリス古典探偵小説の黄金期で活躍したアガサ・クリスティーやドロシー・L・セイヤーズがテーマにしたような世界なのである。 本書の物語もまさにクリスティー作品に登場するミス・マープルの住まう舞台となったセント・メアリー・ミード村と似たようなイングラド中部ノーサンプトンシャーの小村ロング・ピドルトンで起きた奇妙な連続殺人事件である。 住民は殆ど顔見知りであり、それぞれ他人に知られたくない過去や秘密もある個性豊かなキャラクターの持ち主である。 著者は、この舞台に登場する個性的な人物をユーモアや皮肉を交えた筆致で秀逸に描写している。 地方警察だけでは手におえない連続殺人事件だから、ロンドン警視庁警部のリチャード・ジュリーとその部下のアルフレッド・ウィギンズ部長刑事が派遣され、事件を解決することになる。 この捜査を命じたロンドン警視庁主任警視レイサーは、この手の小説によく登場する絵に描いたような嫌な上司であり、レディ・アガサ・アードリーというとんでもない女も著者は登場させて物語に色を添えている。 このアガサは、元貴族メルローズの叔母(父親の弟の妻)は、アメリカ人で俗物丸出しなのに、著者はなぜか「アガサ」と名前をつけているから笑えてしまった。 派遣されたのが、殺人があってから数日過ぎていたことから、ジュリー警部は捜査を現場に居あわせた人たち一人一人に会いに出かけ尋問するところからこの物語は進んで行く。 一階はパブで二階(三階もあるかも)に部屋を持つイギリス地方の旅籠で連続で発見された死体がこれ見よがしで奇妙な状態であったから謎が深まる。 パブの名前の由来などを、本書に登場する牧師のデンジル・スミスに薀蓄を披露させていたから評者など初めて知ることができた。 このあたりが著者マーサのイギリスおたくの本領発揮といったところかな、と興味深く読んでしまった。 地元の元貴族であるメルローズ・プラントの明晰な頭脳の力も借りながら、ジュリー警部は、この寒々とした小村でクリスマスを挟んだ日々を過ごしながら捜査を進めて行く。 ジュリー警部本人はこの小村の景色が好きであり、二人のジェームスという子供も登場してジュリー警部と交わす会話やエピソードなどは微笑ましく描写されていて、この陰惨な殺人事件の一服の清涼剤となっている。 事件の終盤にジュリー警部が一人で教会へ出かけて行き、ふと気が付き証拠の日記を探しだしたその場に犯人登場というストーリー展開にはどうも不自然さを感じてしまった。 評者は、誰が犯人かを本書を読みはじめて三分の一ほどのページで探偵することが出来たが、初めて読んだマーサ・グライムズの古典的なフーダニットものを結構楽しむことが出来た。 | ||||
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スコットランドヤードの警視と元伯爵のコンビが主人公のミステリーシリーズ。 「禍いの荷を負う男」、「独り残った先駆け馬丁」、「悶える者を救え」といった、 (ときに奇抜な)パブの名前がタイトルに使われることから、パブ・シリーズとも言う。 スコットランドヤードと貴族のコンビと言えばセイヤーズの方が格上だけど、 グライムズの魅力は、知的なウィットや味わい深い心理描写だろう。 そのため、回を追うごとにキャラクターに惚れ、何度も読み返したくなるのだ。 残念ながら、邦訳は1998年の13作目が最後になっており、今となっては 中古でもシリーズ全作を揃えるのは難しいかもしれない。 今回の復刊も、文春文庫の創刊40周年を記念した単発的なものみたいなので、 これからファンになる人は苦労しそう(その甲斐はあると思うけど)。 | ||||
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アメリカ人が書いたイギリス風推理小説とのこと。 なにより主人公のおばのアガサがいらついてしゃーない。 欧米の小説に絶対出てくるキャラな気もするけど。 推理自体にとくにおどろくような展開はなかったです。 | ||||
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アメリカ人作家が英国の村を舞台に描く「亭」シリーズの第1作。前半はタイムズのパズルを10分で解く才を持つ伯爵(後に返上する)プラントが主人公。プラントにたかるアメリカ人の義理の叔母がおかしい。作者がアメリカ人だけに、同国人をシニカルに描けるのであろう。アメリカ人の貴族信仰が窺がえ、興味深い。 事件はオーソドックスなものだが、舞台設定が効いているのか、懐かしい英国の雰囲気を良く醸し出している。後半ロンドンからやって来たジュリー警部が登場すると、彼が主役になる。シリーズの主役として、作者はジュリーを考えているようだ。個人的にはプラントの方が好きなのだが、作者はジュリーを殊更(特に女性にとって)魅力的に描いている。 シリーズはこの後も作品のレベルを落とさず続き、どれを取っても満足できる出来栄えであるが、人間関係を良く理解するためにも、本作から入る事をお勧めしたい。 | ||||
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アメリカ人作家がイギリスのパブを舞台に描く英国ミステリのシリーズ第1作目。北部イングランドの<絵はがきのように美しい村>を舞台に起こった殺人事件。解決すべくやってきたのは、ロンドン警視庁の二人の刑事。とろける笑顔のリチャード・ジュリーと、健康オタクの部下ウィギンズ。そして、彼らに輪をかけて個性的な村の住人たち…軽妙な会話のやりとりと、キャラクターの丁寧な描き込みが魅力です。キャラクターやドラマ性を重視される方におすすめしたいシリーズです! | ||||
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