牡牛の柔らかな肉
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連城さんの悪女3部作の最初版。 「終章からの女」、「花塵」へと続く。 トリッキーな悪女ものです。 | ||||
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作者としては異色作と言えるだろう。男を「(去勢された)牡牛」に喩え、「男たちの駆け込み寺」の庵を営み、「日本中の男を自分のものとする」と豪語する謎に満ちた美貌の尼の業を描いた作品なのだが、物語として詰まらない点が作者としては異色なのである。私が作者に期待しているのは、中編集「夜よ鼠たちのために」(傑作)の様な読者の"見た目"を一瞬の内に反転させてしまう"冴え"(ミステリ的手腕)なのだが、500頁を越す大部の本作は冗長なだけで、その"冴え"が全く感じられない。 尼が庵を拡大させて行く様子は、良くあるインチキ新興宗教の布教活動の様だし、作中で尼を含む登場人物達が付き合う"嘘"もありきたりなものばかりで曲がない。尼にとって都合の良い登場人物(その中にはヤクザもいるのである)しか出て来ないのも作者の手前勝手過ぎる。どうしてこんな詰まらない話を長々とするのか読んでいて疑問に思ったものだが、ラストに至ってもその詰まらなさが解消されないのには唖然とした。せいぜい短編のネタになる程度のテーマではないのか。作者の意匠が皆目不明の作品だと思った。 | ||||
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限りない優しさを湛えながらも、女性としての強烈な色気や、男達を強く惹きつける磁力を発散し・衝撃的な過去を仄めかす、謎めいた美貌の尼僧香順の秘密の過去と、彼女に救いを求め、庵に集まったどの男性達にも、等しく慈愛を注ぐかのように見えながら、明らかに彼女の中では特別な存在を占めている緒沢との関係に関心を惹かれて、読み進めていきました。 このようなミステリー要素と後半からのスリリングなサスペンス要素を、兼ね備えた作品。 真実が二転、三転しながら、一枚一枚薄皮を剥いでいくかのように、徐々に明らかになっていく 香順の過去。細かいどんでん返しが繰り返され、そして最後に明かされた、壮絶かつ哀切な真実。 胆力と劣勢を攻勢に転じてしまう程のしたたかさを合わせ持つし、悪女と言えば悪女なのかもしれませんが、私には蠱惑的で、火のように激しくかつ哀れな女性、そして哀しき女の業という印象を、強く受けました。 ただ彼女の立候補の動機は、いまいち納得できなかったけど。それに、最終的な結末がなんでああなったのか、やはり、理解できない所が。この作者の描く女性は、ミステリアス過ぎて、掴み所がないような。しかし、途中から香順が庵の一員となった、元芸能人のマネージャーを使い、また自身の話術も存分に活かし、巧みな宣伝活動を行い、まず寺と自身の知名度を上げ、マスコミの注目を集め、やがては参議院選挙に立候補して、なかなか健闘していく展開も、あながち突飛な展開とは言えないな、と思ってしまいました。仏心党とか。また、その人物を自分達自身の手で押上げておいて、後になって一転引きずり下す、諸刃の刃的なマスコミの本質なんか、(というか大衆そのものか)全くそうだなと思うし。それに、講演やテレビ出演という名の、全国遊説など。このように、時に危険なテレビの影響力など。 作者は政経学部卒業らしいし、こういう各記述などに、作者連城三紀彦の風刺とか、皮肉が感じられました。 だって、今個性的なお坊さんの相談って、かなり人気があるようだし、実際にこんな人が立候補したら、当選しちゃいそうですね。現実にも、国会議員時代、全然実績を上げていなくて、 一体何をしていたんだかわからないような、森田健作とかアントニオ猪木が、さしたる正当性も 必然性もなく、また政治家になれちゃうような国ですから。 それ所か、アントニオ猪木なんて、確か昔秘書から訴えられるなんていう、政治スキャンダルまで あったのに。また、この際の選挙が、衆議院選挙ではなく、参議院選挙というのも、 大きなポイントですね。作者はよくわかっていらっしゃる。 確かに、参議院選挙程、イロモノ立候補者揃勢いの、とにかく知名度最優先の、安易で露骨な票稼ぎ目的として、 タレント、スポーツ選手、キャスターなどが、各政党によって、大量に擁立されますから。 何が「良識の府」だって感じです。 ただし、日本でのキャスターなんて、その実態はほとんど半端なタレント・半端なインテリくらい の存在だし、特に女性なんて、実際にはキャスターとしての能力より、外見とか華やかさばかりで 選ばれてるんだし。(とりあえず現在の民放の傾向としては。)テレビ局も、そんな事で、 安易に視聴率を上げようとばっかりしているし。 こうして見ると、やはり、彼らも報道関係の人間というより、ほぼタレントみたいな存在であり、 選挙においても、実際にはタレント候補者みたいなものとして、考えた方がいいんでしょう。 「今度の参議院選はタレントの人気投票と言われるほど各界のスターがずらりと顔を揃えている。」 ただし、いずれの有名人達も「かつて人気だった」・「かつて活躍していた」と、いずれも過去形が 付くのがポイント。彼らだって、落ちぶれなきゃ、まず普通政治家に立候補しようなんて思わない だろうし。特にキャスターなんて、下手をすると政治家より知名度が高かったり、収入が良かったり するんだろうし。普通に考えれば、政治家なんかより、よっぽどいい仕事ですよね。 この小説中の、いまだに的確な日本の選挙の現状を表わしている記述の数々を見ても、 本当に何十年も前から、政党、有権者、日本の政治レベルが、ほとんど変っていないんだなと、 うんざりするものを感じてしまいました。 個人個人の候補者及びその質や政策を比較検討しないで、政党名だけで投票してしまう有権者が いまだに多いから、その結果として、特にどこかの政党がブームになった時などに、上記のような 票稼ぎでしかない落目タレント達や、その他の不適格な候補者達が、大量当選してしまう背景に なっているんだろうし。 現在のこの国の選挙の形骸化・空々しさをよく表わしていると思う。最後の方の一文。 「選挙運動ならぬ華やかな選挙騒動」・「宿を包みこんだだだっ広い静寂が祭りの後の静けさという よりその祭りに何も期待していない国民の沈黙として聞こえてくる。まき散らされた紙幣という 紙のかわりに、明日、いやもう今日、投票用紙という無数の無意味な紙がこの国に舞いしくだけだろうか」 | ||||
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まさに「嘘」がテーマとも言える作品です。 とにかく作品全体に「嘘」が満ちているのですから。 あまりにうそが多すぎるので、 だんだん展開が追いづらくなってくるのは難点です 一人の魔性の女とも言える尼が のし上がっていくストーリー。 そのために多くの男が 彼女のなんとも言われぬ魅力にひきつけられます。 そして、それを支えた男も その裏ではある事件を牛耳ったりと これもまた「嘘」に塗り固められた世界です。 しかも彼女はそれも難なく利用するのです。 まさに「魔性」 きっと目を惹くであろうと思われるのは 最後の最後の「嘘」のヴェールが はがされたところでしょう。 きっと驚くに違いありません。 そして、どこかむなしさを覚えるかも。 だけれども著者の文章は美しいので こう言う作品を扱っても 不快感は覚えませんでした。 | ||||
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後半のどこかに流れていくような怒涛の展開は流石なのだが、前半がやや冗長。 もう少し文章の格を挙げれば、濃厚な尼の香りが漂う小説になったと思う。 ちょっと薄い。 ラストの展開もなんだかよくわからず、もう少し年を取らなきゃわからない話しなんだろうかとも思った。 万華鏡のごとき目眩く展開、に嘘はなくその点では満足したんだけど、前半とラストに不満がある。 | ||||
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