プラド美術館の師
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ハビエル・シエラの新作「プラド美術館の師」は、小説を読みながら、 プラド美術館を訪れ、絵画を鑑賞できる仕掛けになっています。 画家たちがどんな思いで作品に取り組んだのか、 パトロンたちがどんな意図をもって絵画の制作を依頼したのか、 当時の社会背景が味わえます。 カラー写真もふんだんに入っているので、 本当に美術館を訪れているような気分に・・・ | ||||
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ハビエル・シエラ氏の著作は初めてでしたが、「プラド美術館の師」では、プラド所蔵作品を新たな目で見る方法を教えてくれます。ラファエロ、ティツィアーノ、ボス、ブリューゲルらの作品がこの本を読んだ後は一層興味深くなります。特にブリューゲルの「死の勝利」については、びっくりするような謎解きがあり、新たな解釈に深く納得してしまいます。ルネサンスやバロックの絵画は、まさに思想を読みとる哲学書、文学書の趣きがありますが、ルネサンス、バロックの絵画に関心がある人にはお勧めの著作です。カラー図版も美しく、プラド美術館ガイドとしても楽しめる一冊です。 | ||||
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ヨーロッパの美術館展に行くと、必ずといっていいほどある宗教画。 絵は好きでも、ものによっては、ちょっと苦手に感じる絵もあり、風景画や静物画があると、ほっとしたものだ。 近所の書店の新刊書コーナーに、この本を見つけ、小説なのに、カラーで絵がたくさん入っているなんて、 珍しいなと思って買ってみた。読み始めたら止まらなくなり、一気に読んでしまった。 敬遠していた宗教画にも、いろんな仕掛けが隠されている。見方を変えると、面白いものだ。どこかで見たことがあるな、 という絵もあって、単なる肖像画だと思っていたものにも、そんな意味が隠されていたのかと、改めて納得。 中世ルネサンスとか、ハプスブルグ家とか、本もたくさん出ているし、言葉ではよく見聞きしていても、 何だかよく知らなかったけれど、こういう形で読めると、理解しやすい。 主人公と一緒に、自分も色んなことを学んでいる感じだった。 今やネット上でも、ブログとかで、絵の解釈が紹介されているけど、 そういうものに載っていない説や絵画も結構多くて、楽しめた。 ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』が、カラー写真で本物と同じように、観音開きで折り込まれているのが、 嬉しかった。いつか本物を見てみたい。 | ||||
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主人公はジャーナリズムを専攻する男子大学生。彼はプラド美術館にあるラファエロの絵を前で不思議な男に出会い、「よき師は弟子に準備ができて初めて現れる」と謎めいた言葉を投げかけられる。その日から主人公は、男から絵画の見方を教わるようになって。 本書は、スペインの作家ハビエル・シエラの2013年発表作品 “El maestro del Prado” の邦訳である。 現在の主人公が1990年に遭遇した神秘的な出来事を振り返る、という回想形式で物語が語られている。それだけでなく主人公の名前が著者と同姓同名、しかも年齢や経歴の設定も同じだ。そうした自伝小説をよそおった語り口が、どこまで本当のことかわからない曖昧さを生み、物語内容の神秘性にうまくマッチしている。 あつかわれるのは、ラファエロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッティチェリ、ティティアーノ、フアン・デ・ファネス、ムリーリョ、ヒエロニムス・ボッス、ピーテル・ブリューゲル、エル・グレコといった巨匠たちの作品。読者は主人公と同じ立場になって、プラド美術館の “師” に導かれながら巨匠たちの絵に秘められた “謎” にせまっていく。 本書における絵画の解釈と、同著者の作品『最後の晩餐の暗号』(原書は2004年、邦訳は2015年)において披瀝された解釈とは思想的背景が共通している。そのため『最後の晩餐の暗号』が気に入った方は、十分楽しめるのではないだろうか。各作品にそれぞれカラー図版が用意されており、いちいち調べずにストレスなく読める配慮もうれしい。訳文もとても読みやすい。 ただし、近世ヨーロッパ史上の固有名詞が頻繁に登場するうえ、解説もないため、当時のヨーロッパの歴史や宗教事情についてある程度の知識がないと苦痛に感じられるところもあるかもしれない。 また、本書はジャンルとしてはミステリーに近いのだけど、最後に謎が一気に明かされてカタルシスを感じることができる種類のものではない。どちらかといえば、小説の体裁をとった名画の絵解きといった印象である。途中で不穏な伏線がはられても事件らしき事件というものは起きず、謎の男の正体もあっさりと説明されるうえ、結末も唐突で、神秘的な出来事は神秘的なヴェールをはがされないまま終わる。お伽噺を読んだときと同じような読後感を味わった。 娯楽作品といってもスッキリしない後味の本書が「2013年スペイン国内フィクション部門の年間ベストセラー1位」というのは、日本人の身からすると理解しづらいものがあった。スルバラン、ムリーリョ、エル・グレコらが描くスペイン宗教画には、超越的な存在を幻視するなどの神秘体験を描いたものが多い。そうした宗教的神秘性に対する感性が、今もなおスペイン人のなかに息づいているということだろうか。 正直にいえば、一度読んだだけでは、ひとつひとつの細部が全体のなかでどのような役割を担っているのか判然としないところもあった。けれども不思議な余韻が残る作品ではあったので、時間をおいてもう一度読んでみたいとも思った。 | ||||
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