黒衣の女 ある亡霊の物語
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
評判
黒衣の女 ある亡霊の物語の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 C ランク
黒衣の女 ある亡霊の物語の総合評価:
8.07/10点 レビュー 27件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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前に読んだ時は「暗いばかりでインパクトのない話だなあ」と思い、本を捨てようかどうしようか迷ったもののとりあえず残しておいたという記憶しかなく、思えば若い時はもっとスリリングな話を求めていたのかもと思います。年を重ねると、このしみじみとした穏やかな良さがわかるようになりました。
ホラーを読んでしみじみとか穏やかという言い方もおかしいですが、こちらは現代的なホラーと言うよりは、幽霊譚、怪奇小説、ゴシック小説といったクラシックな呼び方の方がしっくりきます。
著者はホラー作家ではなく、純文学やドラマの脚本、英国の風物詩や料理に関するエッセイなどを書いている方で、英国人が理想とする郊外の自然豊かな田舎暮らしをされています。ご主人がシェイクスピア学者だというのもいかにもそれらしいです。
物語はどうやら著者が生まれた英国ヨークシャー地方を舞台にしているようです。主人公の若手弁護士が向かう北海に近い辺鄙な村にある”うなぎ沼の館”は、村から少し離れて、周辺には足を取られたら二度と抜け出せない広大な砂洲と沼沢地が広がっています。館と村を繋ぐのは細い1本の道だけ。その道も日暮れ以降の満潮時には水に沈んでしまいます。
このあたりの風景描写がとても美しく、灰色の沼地と砂洲の河口と空しか見えない茫洋とした空間に、風の音しか聞こえない圧倒的な静寂。荒涼とした風景ながらその孤高の美に主人公は魅了されてしまいます。が、そこには過去の悲惨な出来事とそのことからくる激しい憎悪、永劫に続く恨みがとりついていることを彼は知らず・・。
老婦人が長年たった1人で暮らしていたほどほどに裕福そうな、けれどほこりを被った部屋の数々、開かずの間から聞こえてくる音、館のそばの崩れた修道院跡と一族の墓地。英国の伝統的なゴシック・ストーリーの系譜を継ぐにふさわしい舞台設定です。
英国恐怖映画の老舗ハマー・フィルムが映画化を決めたというのも納得です。
原作と映画では内容や設定が少し違っています。が、映画のラストがあやふやでいまひとつだったのに対して、原作の方が筋が通っていると思いました。このようなクラシックな怪奇小説の良さがもっと知られてほしいです。