覆面作家の愛の歌
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初版刊行(参考)
種別
短編集
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2,640回
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あらすじ
評判
覆面作家の愛の歌の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 D ランク
覆面作家の愛の歌の総合評価:
7.67/10点 レビュー 6件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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◇「覆面作家のお茶の会」
:洋々出版『小説わるつ』の編集者・静美奈子(しずか・みなこ)が千秋を訪ねてくる。手土産は南青山≪パティスリー・スズミ≫のサンマルク。実は鈴見の主人・藤一郎が山籠もりに出かけたまま戻らず、息子夫婦が連れ戻しに行こうとすると寺の和尚に追い返されたという。果たして藤一郎の身に何が起こっているのか?
千秋はすぐさま良介と美奈子を連れて山へと向かい、あっという間に事件を解決してしまいます。その推理の展開は鮮やか、と感じるいとまもなく、あっけなく“犯人たち”によって説明されていきます。少々拍子抜けしてしまいますが、私の目を引いたのは、土地の評価額と実際の価格の逆転現象に触れたくだりです。
この小説を収録した単行本が出たのが1995年とのことですから、バブル崩壊後の土地の価値を巡る<逆転現象>のことはよく覚えています。今から四半世紀も前の狂乱の経済状況を思い返して嘆息がもれました。
◇「覆面作家と溶ける男」
:東京の下町で小学生の女の子が誘拐され、他殺体で発見される事件が発生。それと時を同じくして、静美奈子の甥っ子が車に乗った見知らぬ中年男に声をかけられる。果たして二つの事件に関連性はあるのか。
見知らぬ男は雨が降りそうになるとそそくさとその場を離れていったと聞かされた千秋はたちまちにして事件の謎を解いていきます。意外に鮮やかな推論と、そのあとに続く千秋のアクションシーンが読ませます。
読了後、この物語が、幼い子どもが犠牲になった2つの凶悪事件――宮崎勤による東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(1988-1989年)と少年Aによる神戸連続児童殺傷事件(1997年)の間に書かれたことに気づきました。それを思うと、時代の薄ら寒い雰囲気を感じさせる物語に見えてきました。
◇「覆面作家の愛の歌」
:舞台女優の河合由季が殺害される。犯人と思しき男は二人いる。ひとりは由季が所属する劇団の主宰者でかつて恋仲にあった南条。もうひとりは婚約者の中丸。しかし二人は由季が殺害された時刻には二人とも劇団の事務所に詰めていた。果たして犯人は誰なのか。
この文庫に収録された3作のうち最も長く、そして本格的なトリックが描かれる中編作品です。これまでのコミカルな作風は確かにあるものの、本格推理ものとして十分楽しめる一編に仕上がっています。
千秋と良介の間に本格的な恋が育つ予感もあり、シリーズ物ならではのお楽しみも十分味わえます。
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