いたって明解な殺人
- 法廷サスペンス (18)
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読後感が悪く、一言で言えば胸くそが悪くなるようなお話です。 ですが私は最後まで読んでしまった。そういう力は持っている本です。 「著者は知的障害者の支援活動をしている」という一文は惹句でもあり言いわけでもあるようですが、本当だとしたらいったいどんな活動なんだか私は危惧いたします。 | ||||
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なにか新しい推理小説はないかと本屋を歩き回り見つけた作品でした。 どうやら名探偵が活躍し読者が主人公と一緒になってトリックや犯人を推理するタイプの作品ではなかったようです。 この作品は三編構成となっており、フランス映画のような雰囲気で物語が進んでいきます。 人間の心の奥底に存在する闇をテーマにした作品で、主人公のアダムと、彼の周りにいる人たちひとりひとりの深層心理について描かれているので、フランス映画のような重く気だるい作品が苦手な方にはとても読みづらい作品かと思われます。 ちなみに私は苦手な方のひとりです(笑) しかし、私の好みは抜きにして作品としてはとても異端ですがよくまとめられていて素晴らしいので一度手にとって見るのもよいのではないでしょうか? ただ、不倫などが題材になる部分もあるのでいたしかたないのでしょうが、性的に卑猥な単語や表現が出てくることが一度や二度だけではなくとても多いので、18歳未満の愛読家の方々には大人として素直に勧められないのが残念です。 | ||||
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アメリカのクライム・ノベルの分野に新風を巻き起こす期待の新鋭ジャーキンスの現在映画化も進行している注目のデビュー作です。翻訳者の二宮磬氏があとがきで述べられている、特異な構成のミステリーで「心理サスペンス」「リーガル・サスペンス」「法廷ミステリー」を兼ね備えている点、2つの長いエピソードが作品にふくらみをあたえている、という意見はとても興味深く参考になりました。私は本書を読んで全編を覆う人間が内に秘めた利己心や異常心理を余さずにこれでもかと描き尽くす著者の異端の作風を強く感じました。 悩める夫アダムが帰宅して発見したのは、居間に転がる頭を割られた妻の遺体と傍らにいる知的障害の息子だった。この一見明解その物の殺人に疑問を感じたのがかつての検事補で今は閑職に追いやられながら心中密かに再起を狙う検事局のレオである。やがてアダムは殺人罪で獄中に捕われ、レオは昔の部下で今は立場が逆転した検事補ポーラに自分の手柄を横取りされて、それぞれの思いを胸に悶々としていたが、遂に始まった裁判の局面で二人の運命が劇的に交差するのだった。 本書を読んで低く評価された方の理由を私なりに考えますと、きっとヒューマニズムなどとは無縁の人間の醜さ汚さを前面に押し出すえげつない作風と、読後どうにもやり切れない気分になる結末の部分から受ける印象が大きなウエイトを占めるのではないかと思います。確かに完全な善人が全く出て来ない悪人だらけの物語は読むのがしんどいですが、私は全否定するのでなく著者の姿勢と動機を徹底した社会風刺と捉えたいと思います。法曹界に限らず出世主義がエスカレートする風潮は致し方ないとしても、その時の勢いによって判断がころころ変わり決定的な証拠が忘れ去られる事は現実の裁判では絶対に起きて欲しくないと強く思います。そして特に人間心理を利用したミステリーの仕掛けとテクニックは単純でありながらも実に効果的で素晴らしいと思います。一瞬ペリー・メイスンの世界の再来と思わせる展開で読み手を感心させてから、更にもう一捻りを見せる流れは独創的な鮮やかさでまさに一級品だと思います。また2つの長いエピソードが書かれた真の意図が最後に明らかになる辺りの巧さにも感嘆し脱帽しました。心理描写については薄っぺらにする事による風刺の効果とプロット上曖昧にせざるを得ない必然性から著者の姿勢が完全に理解出来ます。しかし唯一アダムの兄モンティの最後の態度だけは信じられない瑕だとは思います。 異端的な作風から孤高の作家という印象が強い著者ですが、今時にはない短さでコンパクトに長編をまとめる才能と鮮やかなサプライズ・エンディングの技を駆使して一作毎に違った趣向で勝負してくれる事を期待して今後注目して行きたいと思います。 | ||||
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本書は、’66年生まれで、ストーリーの舞台であるアメリカ・ジョージア州の州都アトランタに在住して、長年にわたり知的・成人発達障害者の権利支援・擁護活動にたずさわっているグラント・ジャーキンスのデビュー作である。 訳出はロバート・マキャモンの『遥か南へ』、不朽の名作『少年時代』の翻訳で知られる重鎮・二宮磬(にのみやけい)。 一種のニンフォマニアで異常な嫉妬心から自傷行為を繰り返し、薬物とアルコールに溺れる妻レイチェルが、クリスタル製の灰皿で殴られ、頭を割られて死んでいた。愛人との旅行明けに自宅でそれを発見した‘わたし’ことアダム。傍らには暴力癖のある知的障害の息子が(第一部)。 この「いたって明解な殺人」に疑問を持ったのが、まだ39才だというのにすっかり頭が禿げあがっている下級検事補のレオだった。彼は地方検事への出世街道を登っていたが、3年前、連続バラバラ殺人事件の際に大失態を演じて、今は交通法違反の罰金未納者の起訴という閑職に甘んじていた。彼は“利き腕”という些細な点からアダムを犯人として逮捕・起訴する。そしてアダムの実兄モンゴメリーが異例ながら弟の弁護人となる(第二部)。 ‘わたし’ことアダムを有罪にする重要証人と、彼の愛人の証言が法廷でなされる。ところが意外な証拠が飛び出して事態は急転直下。さらにその末にはひねりを加えたツイストが・・・(第三部)。 短い章立てでテンポよく展開するストーリー。そんな中にも第二部のレオの転落のいきさつと、第三部のアダムとモンゴメリーの少年時代の暗い回想場面という長いエピソードがはさまれ、作品にふくらみを持たせている。 本書は“謎解きミステリー”というより、一種のフランス風心理サスペンスに、法廷を絡めた特異な味わいのある作品である。欲を言えば、登場する人たちの人物造形や心理状態をもっと深く掘り下げるとプロットに凄みが増すのではないか、と思った。 | ||||
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