火の粉
評判
火の粉の評価:
4.19/5点 レビュー 217件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全475件 241〜260 13/24ページ
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その第1回を見て、興味を持ち、次の展開が待ちきれず、原作を読むことにした。
テレビでもそうだが、あやしい男は最後まで怪しく、やっぱりそうなるか、という展開が待っている。
それが期待外れとか、先読みできて失望するということではない。
*以下、ネタバレあり。
この小説の魅力は、この作品が持っている現代性にあるだろう。
武内という人物、彼は、最近よく話題になる、広汎性発達障害的なところをもっている。
武内は、的場家の隣に引っ越してきて、何くれとなく面倒を見たり、家族を励ましたり、手助けしたり、
贈り物をしたり、そこだけみれば、非常に親切な、役に立つ男だ。
そのきっかけはたぶん、この家の主である、裁判官の勲が、武内に無罪判決を下したことにある。
武内はそれに感謝し、その気持ちを表現するために、隣家を観察し、適確に救いの手をさしのべる。
それは純粋と言えば純粋な動機だし、行動だもといえる。
この時点で彼に何らかの悪意があったとは考えられない。
では、なぜ、彼のまわりでは、凄惨な事件が連続して起こり、この的場家も、その被害者となっていくのか。
それが500ページをかけて物語られていく。
物語後半に、武内と唯一、長く続く人間関係を結んでいる男が登場するが、彼が言うように、
武内と付きあうためには、武内のペースを決して乱してはならず、完全に利用するのだと割り切って、
内心と表面の対応を分裂させておかなくてはならない。
そしてそうできない人々が、武内の反感を買い、極端な親切心の裏返しとしての全否定、
感情の爆発(キレル)行為としての殺人が起こる。そのきっかけは実に些細なこと。
こうした事件は、形を変えて、日常的に起こり、犠牲者がマスコミで報道されている。
「そんな簡単なことで・・・」と、小説の中で、人々は、武内の周辺で起きた事件の発端について
納得しかねているが、これも日々起こる事件に共通していることだろう。
500ページを超える小説だが、まったく飽きさせないし、
物語が進むほど、身を乗り出すようにして読んでしまう。
タイトルともなっている「火の粉」は、いつ、自分の身に降りかかってきてもおかしくないようなこと。
それは自分で振り払わねばならない。それは時として、常識の延長上に突如やってくる非常識(崩壊)の形を取る。