藁の楯
評判
藁の楯の評価:
2.89/5点 レビュー 54件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全42件 21〜40 2/3ページ
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藁の楯の評価:
2.89/5点 レビュー 54件。 D ランク
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まず、ストーリーとしてのポイントは「遺族から「犯人の殺害(またはそれにかかわる行為)をした者全てに遺族が10億円の報酬を支払う」という宣言が為され、警官すら信用できないという極限状況の中、その憎むべき犯人を護送する警官はその身命を賭して犯人の命を守るべきか?」という点があり、そこに愛する家族を理不尽に奪われた遺族の哀しみや、数年前に愛する妻を失い生きる意味をなくした主人公SPの葛藤などが絡んでいくという構想だと思うのですが、その全てが恐ろしいほど上滑りしており、非常に読みづらい作品になっています。
まず最大の失敗は憎むべき少女暴行殺人犯の凶悪性や救いようの無さが全く描けておらず、安っぽいチンピラのような存在の為、「こいつは今ここで殺すしかないんだ」という作中の登場人物の思いにシンクロ出来ない点が挙げられます。そのため、最大のテーマである「本当に救いようのない悪の権化のような存在でも、職務の為には守らなければならないのか?」という主題が空回りしています。更に主人公銘苅の妻を亡くしてからの死に場所を求める部分や愛する家族を理不尽に奪われた遺族の怒りと悲しみ、その捜査に携わった警察担当者の怒りなどの描き方も甚だ不十分で、読者との距離感だけがどんどん広がっていきように感じました。
また、その設定上、賞金目当ての襲撃者との戦いがアクション的な目玉になるのですが、これがまた哀しいほどに臨場感がなく、まるで音を消してアクション映画を見ているような状態です。おそらく、作者の頭の中には絵的にしっかりと完成され効果音も迫力ある書体で描かれているのでしょうが、それをきちんと文字に落としてくれないと読者の頭の中ではその絵が再生されません。この作品を原作に力のある漫画家が絵を描いたらかなりいい感じになると思いますが、小説とは文字だけで世界を構築する媒体なのでそういう点でも描き方を間違っているように感じました。
憎むべき犯人はその悪逆さがいまいちピンと来ず、その悲しみに感情移入すべき遺族はほとんど作中で描かれず、「守るべきか殺すべきか」というハムレット的な葛藤を抱えたSPは、その亡き妻への想いや哀しみ共々十分に描かれておらず、この賞金騒動を仕組んだ男の正体が結局さっぱり分からない(というか作者に都合良すぎ)なところとか、「期待して食べたら生焼け料理だった…」みたいな読後感でした。
という訳で、もう少し小説というものをしっかり勉強してから書いてほしいというのが率直な感想です。