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永遠の0
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永遠の0の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1513件 1381~1400 70/76ページ
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本屋で平積みされていたので、なんとなく手にとり、買ってしまった本です。その日の夕方から読み始め、あくる日(休日でした)のおひるまでに、3回読んで、何度も泣きました。 わたしは、読書が趣味ですが、他の人が鳴くような本でも、めったに泣きません。この10年間に読んだ本のなかで、もっともうつくしいすがすがしい読後感をもちました。 この本に出会えて、幸せです。 | ||||
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フィクションとノンフィクションを交えながらぐいぐい引っ張っていくストーリー。 戦争を知らない世代は読んでおくべきだと思う。 第二次大戦で日本兵が何人亡くなったのか、 そういう史実さえ知らない自分がいた。 読みやすかった。そして号泣した。 | ||||
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単行本として上梓されたのは06年。文庫化されたのを機に今回初めて手にとってみたが、確かに評判通りの巻を措く能わずの一冊だった。捻ったラストを含めて構成の見事さを素晴らしいと感じた。その上で私は「戦争」「特攻」というキーワードをはずして“非業の死を遂げた祖父の謎を探っていく物語”と単純化すると判り易いのだが、この本は家族愛、夫婦愛を中心とする“慈しむような愛”を描いているのだと思った。主人公宮部久蔵の葛藤は国家への愛とパーソナルな愛の、本来できない整合にあるという訳だ。こうした苦悩を、決断を強いる“戦争”を悪として描いているのだから自ずと反戦小説と云っていい『永遠の0』だが、ただそうしたカテゴリーを排し、それぞれの愛のエピソードを楽しめばいいと思うね。私は元海軍整備兵曹長、永井清孝のモノローグ(第六章ヌード写真における妻が繕い物をするシーンです)に最も心打たれました。といって瑕疵がない訳ではなく、それは多くの方が指摘している新聞記者高山の言動だ。おそらく高山が属するジャーナリズムの責任と罪に言及し、かつ彼に代表される戦後教育の過ちを指摘する都合上展開したのだろうが、あまりにも稚拙で興醒めすること甚だしい。とはいえ不自然さを感じたのはこの箇所くらいで、読書の楽しみを存分に味わった一冊でした。どなたかも云っていましたが、映画化するとしたらキャストはどうなるでしょうか。これしかないというのは影浦老人役の安藤昇だけで、他が難しいね。私が考えたのは以下の通りですが皆さんは如何ですか。佐伯健太郎(小栗旬)、佐伯慶子(黒谷友香)、宮部久蔵(坂口憲二)、大石松乃<青年期>(仲間由紀恵)、大石賢一郎<青年期>(瑛太)、大石賢一郎(宇津井健)、藤木(大森南朋)、高山(及川光博)、井崎源次郎(田中邦衛)、永井清孝(蟹江敬三)、景浦老人(安藤昇)。 | ||||
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本を読みながら泣いたのは、本当に久しぶりでした。終盤になって涙が止まらなくなってしまいました。 戦争体験者の高齢化とともに、先の戦争の記憶が風化してしまいがちな昨今ですが、とても貴重な作品に出会えたと思っています。 思想的な議論はよく耳にしますが、左翼と呼ばれる人の意見も民族派の意見もどこか違和感を感じていました。やはり、後世の人間が想像で物語る時には、そこには虚構が紛れ込むからでしょう。 誰よりも妻子のために生きて帰ることを望んでいた男が、意を決して特攻したのはなぜだったのか?その本当のところは今も私には分かりません。いや、本当のところなどというものは存在しないのかもしれません。ただ、ただ、大勢の人が戦地で内地で亡くなった先の大戦に悲しみを感じるのみです。 今も我が国は、右往左往を繰り返し同じような過ちを続けています。でも、私はこの作品を読んで思うことは、空気に支配されない人間になりたいと思ったということです。反中・親中・自虐などなど、いろんな風潮的な思想がありますが、これからの日本がどういう状況におかれようとも、周囲の意見や雰囲気に惑わされない人間になりたいと願うのみです。 | ||||
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特攻への参加を頑なに拒否していた一人のゼロファイターエースが最後に神風特別攻撃隊に参加、戦死するまでの過程を彼に関わった人々の証言をつなげていく手法で丁寧に描いている。その中で、彼がどうして生き抜こうとしたのか、そして一転して特攻を選んだのか少しずつ明らかになっていく。 彼の心の動きを理解するためには当時の状況(=戦況)を知っておかなければならないが、物語と平行して真珠湾攻撃から終戦間際までの航空戦の概要も大変分かり易く描かれているので、戦争や特攻に一方的なイデオロギー的フィルターをかけてしか観ることができない(作品中の新聞記者のような)ごく狭い視野の人以外は、特攻に散っていった若者たちの心情を察していくことが出来るのではないだろうか。「聞け、わだつみの声」を読んでも分るように、特攻機に乗っていった若者の多くは「御国のために死んで来い」、「はい分かりました。喜んで行きます」という狂信的で単純な考えしか持っていない操り人形ではなく、非常に優れた知性と豊かな感性を持った前途有為の人々であった。非戦闘員も容赦なく銃火にさらされる未曾有の国難の渦中で「自分の死」が現状を救う何らかの意味を持つと信じて、或いは無理にでも信じようとして出撃していったのだろう。 「特攻なんて犬死だ」、確かに客観的に見て当時の神風攻撃は鉄壁の防備を敷く米艦隊に対して余りに無謀であった。戦争指導者たちが、自分たちの無能無策をこのような非道な作戦を美辞麗句で飾って覆い隠したのは間違いない。「なぜ拒否しなかったのか」、自分と同じ或いは自分よりも年下の若者たちが次々と戦死していく、そして愛する者たちが無慈悲な攻撃にさらされて、無抵抗のままに殺されるかもしれないという絶望的状況、そのなかでなお自分は何もしないでいることが果たして出来るのか? 私は、特攻を賛美するつもりは毛頭ない。ただ、作品中にも指摘されているが、太平洋戦争の大事な局面で、下手な作戦指揮をやって甚大な損害をもたらした上に、おめおめと生き残って戦後に回想録などを書いている馬鹿共には本当に怒りを覚える。 最後、主人公は魂魄となって愛する妻の元に返ってくる。出来すぎといえばあまりに出来すぎのラストだが、こうでもしないと読んでいるこちらも救われないとも言える。ただ、実に多くの人々がそれぞれに沢山の思いを残して死んでいかなければならなかったというあの戦争の悲惨さを考える時、ここはむしろ書かなかったほうが良かったかなと思う。予定調和的に話を完結してしまうと「最後にみんな救われました」というハッピーエンドになってしまいかねない。 | ||||
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初めて戦争、特攻隊をテーマにした小説を読みました。 すごくリアルで。 永遠の0を読みながら THE BACK HORNの"コバルトブルー"という曲が 頭から離れませんでした。 知覧特攻隊平和会館を見学したときにできたもので、特攻隊をモチーフにしているものです。 その曲の歌詞と、永遠の0があたしの中では一致してしまった。 永遠の0を読んだ方、ぜひ"コバルトブルー"も聴いてみてください。 | ||||
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こう言っては、不謹慎なのかもしれないが「面白かった」というのが率直な感想である。 内容は、健太郎とその姉・慶子が、特攻隊で命を落とした祖父について調べるというもの。戦時中の祖父を知る人物に、祖父について話を聞きながら、徐々に、祖父の人物像に迫っていく。最終的に、祖父は特攻に旅立ち…サプライズなラストを迎える。 本作品は、もちろんフィクションであるが、その背景として語られる戦争の歴史は、現実そのものである。現実にあった話を散りばめながら、語られる本作品は、リアリティーがあり、鬼気迫るものを感じる。 ラストに関しては、出来過ぎた話と感じる人もいるかもしれない。でも、ひょっとしたら、似たような話はどこかであったのではないだろうか?そんな風に思わずには、いられなかった。 戦争で、何百万という人が命を落とし、命を落とした人、一人一人に物語があった。もちろん、それらの物語は、後世に語られることなく、消えて行ってしまったものがほとんどなのだろうが。 「戦争で亡くなった人には、どんな物語が、あったのだろうか?」そんなことに思いを馳せながら、読了の余韻に浸りました。 | ||||
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終始、妻と子供の為に生き残ると言っていた宮部が何故特攻を志願するに至ったか。 谷川に、特攻を命じられたなら、どこかの島に不時着しろと 言っていたにも関わらず、何故自分はそうしなかったのか。 無謀な作戦で、多くの若者が命を失う中で、心を苛まれた宮部は、 生き残った自分のその後の人生を想像できなくなっていたんではないでしょうか。 皆が死ぬことで自分が生き残ってきた自覚のあった宮部には、 そのことを反芻しながら生きていくその後の人生はあまりにも過酷に思えたのかもしれません。 最後に戦闘機を取り替えたドラマチックな展開も、 自分には必要のない生き残りのチケットを譲ることで妻子の行末を託すという、 ここまでやれば面倒を見てくれるだろうという打算のようにも思えました。 そう考えると余計に人間味を感じ涙が溢れました。 当時の軍部の構造と現代の官僚機構が、 よく似ているという指摘にも共感を覚えました。 どう変えていいかわからないこの国で生き続けることに、 ひどく徒労感を感じました。 この作品は600頁近い文章による細かい描写によって成り立っています。 おそらく他媒体で、この感動を再現することはできないのではないでしょうか。 2,3時間の映画でこのディテールを表現することは非常に難しいと思います。 ぜひ多くの方にこの本を読んでいただきたいです。 | ||||
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イスラム原理主義者のテロ行為が世界中で騒がれて久しいが、海外でも多くの新聞で、カミカゼという表現が記事の冒頭で使われている。 忠臣蔵の四十七志さえ、英語圏の表現では「47人のテロリスト」とされてもいる。 この作品では、特攻隊員の方々を色々な描写を使い、決してテロリストなる表現にすべきものではないとしているのが本当に嬉しかったし、感動を与えてくれた。 文中表現の新聞社の責任も頷くものがある。 また、巨大組織である旧日本軍のTOP判断を下す人間達の最終決断時における無責任さと無能さを、現代社会と対峙させることで、あらためて日本という国の持つ時代を越えても変わらない病巣を考えさせられた。 物語は、語り部口調の中に現代社会を織り交ぜながら、小説の刊尾にある「大空のサムライ」等の参考文献を基にした記述で、読み手に対し半世紀以上過ぎた戦争と言う事実を、迫力を持って訴えかけてくる。 色々な意見はあると思うが、私は、この参考文献を基にした記述、そして構成は非常に良いものだったと思う。 等身大の宮部久蔵という主人公を通じ、涙し多くを考えさせられた良い作品に、「今」出会えた事を心より感謝する。 | ||||
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こんなに感動したのは何年ぶりだろう。 こんなにも涙が溢れるほどの想いは何時以来だろう。 これは小説です。 あくまで小説です。 作り物です。 でも、こんな事が本当にあったかもしれない。 でも、こんな人が本当にいたかもしれない。 少なくとも主人公の周りで起こったことの多くは 事実であり、人々の想いもまた真実であろう。 なぜ、生きようとしたのか。 そして、なぜ生きようとしたのに特攻隊になったのか。 流れ続ける涙で、字がぼやけても読み続けていけば そこにあるのは強く美しく誇り高き日本の男達が 戦争を戦った理由。我々は感謝しなければならない。 これは小説です。作り物です でもね、宮本武蔵も坂本竜馬も小説で人気が出た。 小説から好きになっても良いと思う。 小説から見直すきっかけになってもいいと思う。 日本が戦争を戦ったという事実を。 そこに飛び込んでいった多くの日本人の事を。 歴史は立場が違えば、まったく違ってしまう。 歴史は勝者がつくるものであって事実ではない。 フィクションとノンフィクションの狭間を行き来しながら、 戦争を生き生きと生き続けた、多くの日本人の心に触れ 読者の心に、この本は昨日とは違う新しい価値観をくれるはずです。 右だとか左だとか、戦争が嫌いだとか、そういうこと抜きにして とにかく、全ての日本人に読んで欲しい1冊です。 永遠の0 泣きすぎた。 本当は星を10個つけたい。 | ||||
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600ページ近い厚さに気後れしながら読み始めると 1. 主人公姉弟とその周辺の記者の類型的な人間像 2. 祖父の転戦歴と過去の捜索過程の不自然な一致 3. 様々な文献で読んだことのあるエピソードの羅列 に違和感を感じながらも、何故か最終ページまで 一気に読了してしまう不思議な魅力を持つ。 重く、教条的になりがちなテーマに真正面から取り組みながらも この読み易さはなんなのだろう?? 現代において「戦争」を取り扱うにあたり その採り上げ方に大きな一を投じる一冊である。 | ||||
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読書は好きで、色々な分野を読んでいますが、なぜか戦争関連の書籍は避けていたように 思います。学校や授業で教えないという雰囲気をそのまま引きずって、別に知らなくてもよい と思っていましたが、先日の日経新聞の書籍紹介で紹介していたので、購入しました。 私は2007年より読書を継続して100冊近く読んでいますが、間違いなくトップ3に入る 名作でした。こんなに色々考えるきっかけを与えてくれた本はそう出会えません。 ちょうど仙台に行くきっかけがあり、青葉城を訪れたのですが、城内にある護国神社で、 戦争展示会や戦艦大和・ゼロ戦の模型展示を行っておられました。読後すぐだったので、 太平洋戦争の様子がとても心に入ってきました。長い時間観ていたと思います。 護国神社でお参りすることもでき、39歳の私にとって人生観を変えさせてくれた1冊になりました。 もっと、色々な戦争に関する書籍を読み、そして改めて靖国神社に参拝しにいこうと思いました。 | ||||
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太平洋戦争というノンフィクションを舞台にしたフィクションの主人公達を中心にした物語。昔の回想を巡るという話の作り方や凄腕の戦闘機乗りが家族の為に戦うって、浅田次郎の『壬生義士伝』みたいなのりの話?と思って読んだが、全く違っていました。 内容は確かに太平洋戦争時代ですが、本作は歴史的な戦記物というより、現代に通じる「日本のあり方そのもの」の物語。 大戦中の軍令部は現在の官僚制度そのままだし、外国では評価が高いのに自国民を評価しない日本の姿勢、マスメディアの言いなりに翻弄される国民たち… 戦争中の出来事がこれほど現代に通じているとは知りませんでした。 大戦中の軍令部が現代の官僚にダブって見えます。 フィクションである主人公の祖父の生涯を追うことで、日本の太平洋戦争開戦から終戦までのエピソードが語られていきます。どの話のパートも感慨深く、日本国民としてのルーツを知ると共に誇りも取り戻せそう。 ストーリーも一本調子ではなく、後半には驚きのしかけもあり、ラストはただ涙です。 映画や小説で泣いたことはほとんどないのですが、本作の終盤は涙が止まりません。 小説を読んで泣くなんて恥ずかしい…と思って泣くのをやめようとしましたが、溢れる涙をどうすることも出来ませんでした。 2006年に出版されていたにも関わらず、このような名作を今日まで知らなかったことは何だか損した気分です。 是非、映画化して欲しいものです。 | ||||
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久しぶりに鳥肌の立つような小説に出会った. 終戦間際に特攻で命を落とした祖父の人物像を追うというストーリー. いきなり罵倒から始まったインタビューが,一人一人,人数が増えるにつれ 当初は臆病者と断定された人物像が徐々に変化していく. 戦争の悲惨さ,特攻の愚劣さがこれでもかと表現され,それだけでも読み応えがあるが, この小説のテーマはやはり宮部という男の人間性であろう. 「生きて帰る」というのは単に死ぬことへの恐れでもなければヒューマニズムでもない. 人こそが最大の財産だという信念の発露である. それは自分や味方への態度だけでなく, パラシュートで落ちていく敵パイロットを狙撃したエピソードにも表現されている. このように考えると宮部が生き残るチャンスを譲った理由も想像できる. 戦争に勝つためには優秀なパイロットを残すことに意味があったが, 敗戦が見えてきた以上,戦闘機に乗ることしか能のない人間よりも 国を復興させるために優秀な学生を残す方が意味がある. 作中に表現された宮部の視野の広さ,高潔さなら そのように考えたとしても不思議ではない. そしてラストのどんでん返し. 祖父の人物像という謎をテーマに進めつつ 回りまわって意外なところに真相を用意しておく構成はミステリーのものである. この小説はやはり戦争小説ではなく,ミステリーとして読むべきだろう. そう考えれば,一級品のミステリーと評価して差し支えない作品. | ||||
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私が戦争に思い入れがあるからなのか、作品が素晴らしいせいなのか、何度涙で読めなくなったことか。 戦争を知らない世代、想像すらできない世代では、単純に心模様を伝えても伝わらない。その時代背景を、さまざまな人の立場を、うまく登場人物に語らせて、その当時の人々の思いを理解しやすくしているところなどは、筆者の苦労、想いが伝わってくる。日本だけでなく、世界中の若者たちに是非とも読んでもらいたい一冊である。 | ||||
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この本と出合った切っ掛けは、書店を訪れた際、おすすめコーナーに平積みされていたのを何も考えずに手に取ったことでした。 表紙に描かれている空の美しさとタイトルに惹かれて手に取ったのですが、私は昔から戦争物は敬遠する傾向にあったので、本書がゼロ戦パイロットについて書かれているものだとわかった時、一度平積みの上に戻しました。 それでも何か心に引っかかるものがあったのか、結局本屋の中を一周して戻ってきた後に再度手に取り、そのままレジに向かいました。 読了した今、購入してとてもよかったと思っています。 小説としては、全体を通してとても読みやすかったです。 日中戦争や真珠湾から終戦末期までの流れを、生き残った方たちの語りの中で描かれているので、下手な戦争物の本などよりもわかりやすく当時の日本軍内部や国内の報道情勢などの背景がつかめました。 また、作者自身が放送作家として長年働かれてきたようなので、その辺りの経験からか、話の構成は抜群に上手いと感じました。 引用が多いとの意見もあるようですが、ただ引用するだけの話と引用した体験談などを用いてひとつの話にまとめ上げるのはまったくの別物だと私は思っています。 この作品では、語り手として出てくるキャラクターひとりひとりに味があり、抱えている思いもそれぞれ異なります。 そんな彼らが語るエピソードを通して見えてくる、宮部久蔵という魅力あふれるキャラクターを作り上げた作者の力量に感服しました。 読了した後に余韻に浸れる作品という意味では、この作品もその一つに数えられると思います。 ただ、ひとつ言わせてもらうなら、展開が少しドラマチックすぎていい本を読んだ、というよりもいい映画を見たな、という気持ちが強かったことが残念でした。 もちろん、文句無しで面白いことは確かです。 私は今、21歳です。私の祖父母の代でも戦争が起こった頃はまだ幼く、身内に戦争体験を語れる者はいません。 身近ではないもの、怖いものだと感じていたからこそ戦争物を敬遠していたのですが、この本を読んで考え方を変えさせられました。 本当の気持ちを語ることができなかった当時の、記録や史実に隠された真実を知る方、語れる方が少なくなっている昨今、私と同じ戦争を知らない同年代の人たちにも読んでもらって、もっと興味を持ってもらいたいなと感じました。 | ||||
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戦争に参加し、特攻隊に選ばれて死に直面するという、ある意味で極限の状況。 こればかりは実際に体験した人でないとそのときの気持ちはわからないだろう。 軍の上層部が自分の安全の為に現場の兵士を駒のように使い捨てる様は怒りを感じるとともに、案外これって現代社会でもある話だなと思ったりもした。 企業がリストラを進める中で、自己の保身のために自分の部下の肩たたきをしたり。これって、状況としては似ているような気がする。 ただ、人間である以上、自分が一番かわいいのは致し方ない。 経営者は社員を削減しなくてもすむように会社を経営すべきだし、国を導くリーダーは戦争を起こさないでもすむ状況を維持しなくてはならないのだ。 単に特定の人を個人攻撃するのではなく、過酷な状況に巻き込まれながらも命の大切さを大切にし続けた一人の男の姿を通して、まさに我々自身の生き方を問われているような気がした。 なお、何かというとすぐに泣いている姉とか、紋切り型の新聞記者とか、人物造形はやや単調な気がした。 | ||||
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『流れる汗さえ心地良いと思った。もう明日からは汗をかくことさえない。』…ハッとしました。次の瞬間、背筋が凍るような恐怖心と圧迫感を感じ、気がつくと、小刻みに息を吸い込んだまま、はく事を忘れていました。『お母さん、ごめんなさい、と心の中で叫んだ。私の一生は幸せでした。お母さんの愛情を一杯に受けて育ちました。もう一度生まれることがあるなら、またお母さんの子供に生まれてきたいです。出来るなら、今度は女の子として、一生、お母さんと暮らしたいです。』 涙が止まりませんでした。 高校生の頃、地元出身の特攻隊員の遺書や写真の展示会に足を運んだ事があります。 浅はかだった当時の私は、彼らの遺書をそっくりそのまま、文字の意味するままに読み、涙しました。 しかし本書を読み終えた今ならば、きっと『厳しい制約の中で、行間に思いを込めて書いた』彼らの本当の“遺言”を読み取れる気がします。 彼らの尊い命の上に生かされている我々には、知る義務があります。 どうぞ読んでください。 | ||||
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姉と弟が特攻隊員だった祖父のことを調べようと戦友を訪ね歩く。「臆病ものだった」「素晴らしい飛行機乗りだった」「死を恐れていた」など様々な人間像が浮かび上がってくる。それにつれて日本が戦った戦争の実態も浮かび上がってくる。しかしストーリーは最後意外な展開が・・・・・ 数多くの戦記物を読みこなした戦後生まれ作家が巧みに構成した戦争ミステリーである。 | ||||
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終戦記念日が近づくたび 首相が変わるたびに話題になる 靖国神社参拝 この本を読むとなぜ 行く行かないにこだわるかがよくわかる. 戦争中何があったかは 日本人として, 知らなければならないし, 次の世代へ語り継がねばならないとは思う. それは面倒くさくてしんどく 今の暮らしに何の得にもならない. そんな私だったが, タイトルとキャッチコピー 微かに存在する,知らねばならないという心に後押しされ 買ってみた. 入り込みやすい導入 謎解きのようなインタビューが先を急がせ ラストは涙と感動で読み終わるのが勿体ないと思わせ 「自分ももっとしっかりしなきゃな」 なんて,自己反省までしてしてしまった. そんな 「知らねばならない」を 「忘れられない」に昇華させてくれる 一冊だ. | ||||
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