仮想儀礼

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評判

仮想儀礼の評価:

4.43/5点 レビュー 102件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.43pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全149件 101〜120 6/8ページ
No.49
(5pt)

流れるような文章に乗って一気読みが可能

これだけ分厚い本で、しかも上下巻ともなると、内容はかえって薄いんだろうな、と思っていたのですが、どうしてどうしてw
無駄な文章や場面はまったくなく、しかもスムースに読み進めてしまえます。
これは明らかに作者の力量の凄さなのでしょう。
現代社会では宗教に限らず、株やパチンコ、競馬、酒、携帯電話?など個人がはまり込んでしまうものがたくさんあります。
宗教の話と思わずにぜひ一読して欲しい本です。
仮想儀礼〈上〉 Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉より
4103133619
No.48
(5pt)

リアルで残酷でありながら、美しい理想。

とんでもなく過酷な状況に直面することによって、凡庸で卑俗な男が、現代では困難に思われる、純粋な宗教的境地にまで到達する。
 この枠組みは1998年に出版された同じ作家の手になる『弥勒』と同じです。
 しかし『弥勒』が日本人にとって明らかに別世界であるチベット周辺を舞台にしたのと異なり、本作は現代日本が舞台であるため、より一層リアルであり、読者は嫌でも自分をかえり見なくてはなりません。

 篠田節子の描く人物は、完全な善人でも完全な悪人でもなく、完全に愚かでもなければ、完全な賢者でもありません。まさに現実の人々の等身大モデル、あり得る我々です。
 にもかかわらず、主人公は否応もなく人間的成長を遂げてしまう。
 状況があまりにも過酷であり、それが避けようがなく、まさしく実際に起こりそうなことだから。

 とても残酷な話でありながら、この結末に、読者はある種独特の感動をえることになるでしょう。
仮想儀礼〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈下〉 (新潮文庫)より
4101484171
No.47
(5pt)

リアルで残酷でありながら、美しい理想。

 とんでもなく過酷な状況に直面することによって、凡庸で卑俗な男が、現代では困難に思われる、純粋な宗教的境地にまで到達する。
 この枠組みは1998年に出版された同じ作家の手になる『弥勒』と同じです。
 しかし『弥勒』が日本人にとって明らかに別世界であるチベット周辺を舞台にしたのと異なり、本作は現代日本が舞台であるため、より一層リアルであり、読者は嫌でも自分をかえり見なくてはなりません。
 篠田節子の描く人物は、完全な善人でも完全な悪人でもなく、完全に愚かでもなければ、完全な賢者でもありません。まさに現実の人々の等身大モデル、あり得る我々です。
 にもかかわらず、主人公は否応もなく人間的成長を遂げてしまう。
 状況があまりにも過酷であり、それが避けようがなく、まさしく実際に起こりそうなことだから。
 とても残酷な話でありながら、この結末に、読者はある種独特の感動をえることになるでしょう。
仮想儀礼〈下〉 Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈下〉より
4103133627
No.46
(4pt)

どっ迫力

宗教の内容は難しくてわかりずらい。
が、とにかく、展開の速さ、えぐさに引き込まれる。
最後の終わり方も楽しめる。
集中したい人にはオススメです。
でも、宗教の説明が長いので、めんどくさがりやの方にはオススメできません。
仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)より
4101484163
No.45
(4pt)

どっ迫力

宗教の内容は難しくてわかりずらい。 が、とにかく、展開の速さ、えぐさに引き込まれる。 最後の終わり方も楽しめる。 集中したい人にはオススメです。でも、宗教の説明が長いので、めんどくさがりやの方にはオススメできません。
仮想儀礼〈上〉 Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉より
4103133619
No.44
(5pt)

寝不足覚悟

最初 割に軽い感じで始まります、が、 段々事態が 大掛かりな事になっていきます、 どうなるの、どうなるのと 気になって 読み進めることになります、凄く面白いです。



内容は他レビューにゆずります、では 時間のゆとりをもって覚悟を決めて仮想儀礼の世界観へ 行ってらっしゃーい




迷ってるあなた、読みたまへ。
仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)より
4101484163
No.43
(5pt)

寝不足覚悟

最初 割に軽い感じで始まります、が、 段々事態が 大掛かりな事になっていきます、 どうなるの、どうなるのと 気になって 読み進めることになります、凄く面白いです。内容は他レビューにゆずります、では 時間のゆとりをもって覚悟を決めて仮想儀礼の世界観へ 行ってらっしゃーい迷ってるあなた、読みたまへ。
仮想儀礼〈上〉 Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉より
4103133619
No.42
(5pt)

アイタタタタ・・・

ページをめくるたびにアイタタタタ・・・、と目をつぶってしまうくらい痛い本です。こんなに痛い本をよく書かれるものだと恐れ入ります。主人公たちのこれからの生活にエールを送らずにはいられません。

仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)より
4101484163
No.41
(5pt)

アイタタタタ・・・

ページをめくるたびにアイタタタタ・・・、と目をつぶってしまうくらい痛い本です。こんなに痛い本をよく書かれるものだと恐れ入ります。主人公たちのこれからの生活にエールを送らずにはいられません。
仮想儀礼〈上〉 Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉より
4103133619
No.40
(5pt)

見事

新興カルトの運命を中心に据え、人々の心の動き、社会の思惑を交え描かれている。
構成も引きもリアリティも、作家がかなりの腕を持った人物であることを物語っている。それでいてエンタテインメントとして成立しているのだから凄いの一言につきる。


だがしかしここに描かれていることは新興カルトのみならず、『古参の』宗教にも当てはまる。実は由緒あるというアレらの宗教も新興カルトも大して変わらない構造なのだ。
信者総数が膨大で、内包する犯罪者の数よりも模範的な信者の数の方がいくらか多いという一点しか違わない。
解体することが出来ないほどに膨れ上がったカルト。それが古くから続く宗教の実体のひとつだ。

2000年頃に、『カソリックの教会関係者が孤児院の少年たちを強姦していた』というニュースが世界を駆け巡った。神父ら4000人以上の教会関係者の凶行。被害者数は1万5千人以上にものぼった。判明したものだけで。
さらにこの少年強姦は1600年代には書物にも残されている古くからの根深い問題だという。

人は道に迷うとき、事故や病気に見舞われたとき、とかく安易によりどころを求めがちなものだ。
しかし、それは仕方のないことだし何かを信仰することも時には役立つ。
だが信仰とはおうおうに麻薬的であることも把握しておかなければならない。

仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)より
4101484163
No.39
(5pt)

見事

新興カルトの運命を中心に据え、人々の心の動き、社会の思惑を交え描かれている。構成も引きもリアリティも、作家がかなりの腕を持った人物であることを物語っている。それでいてエンタテインメントとして成立しているのだから凄いの一言につきる。だがしかしここに描かれていることは新興カルトのみならず、『古参の』宗教にも当てはまる。実は由緒あるというアレらの宗教も新興カルトも大して変わらない構造なのだ。信者総数が膨大で、内包する犯罪者の数よりも模範的な信者の数の方がいくらか多いという一点しか違わない。解体することが出来ないほどに膨れ上がったカルト。それが古くから続く宗教の実体のひとつだ。2000年頃に、『カソリックの教会関係者が孤児院の少年たちを強姦していた』というニュースが世界を駆け巡った。神父ら4000人以上の教会関係者の凶行。被害者数は1万5千人以上にものぼった。判明したものだけで。さらにこの少年強姦は1600年代には書物にも残されている古くからの根深い問題だという。人は道に迷うとき、事故や病気に見舞われたとき、とかく安易によりどころを求めがちなものだ。しかし、それは仕方のないことだし何かを信仰することも時には役立つ。だが信仰とはおうおうに麻薬的であることも把握しておかなければならない。
仮想儀礼〈上〉 Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉より
4103133619
No.38
(5pt)

力作ですよ〜

長〜い大作ですが
飽きさせず破綻なく最後まで持っていく筆力はお見事です。
主人公とその相棒の人物造形がうまくてリアルだし、
なにより二人のキャラに好感が持てるのでイヤにならずに読めました。
男性の作家なら必ず書きそうなありがちなハーレム的な描写もない。
世間のしくみもよくわかって書かれていて(著者は元公務員だそうですね)
とにかくげっそりするとこが少なかったです。
ラストの後味もよい。
ただどうでもいいことですが
女性の服装の描写が?????
ファッションに興味のない著者なんでしょうか。
くわしく描写されるほど、意味不明な感じになります。
オシャレでハデな服装を表現しているらしいのに
なんかすごくダサいカッコだったり。
ちょっと惜しい。
仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)より
4101484163
No.37
(5pt)

力作ですよ〜

長〜い大作ですが
飽きさせず破綻なく最後まで持っていく筆力はお見事です。
主人公とその相棒の人物造形がうまくてリアルだし、
なにより二人のキャラに好感が持てるのでイヤにならずに読めました。
男性の作家なら必ず書きそうなありがちなハーレム的な描写もない。
世間のしくみもよくわかって書かれていて(著者は元公務員だそうですね)
とにかくげっそりするとこが少なかったです。
ラストの後味もよい。
ただどうでもいいことですが
女性の服装の描写が?????
ファッションに興味のない著者なんでしょうか。
くわしく描写されるほど、意味不明な感じになります。
オシャレでハデな服装を表現しているらしいのに
なんかすごくダサいカッコだったり。
ちょっと惜しい。
仮想儀礼〈上〉 Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉より
4103133619
No.36
(4pt)

リアルすぎて怖い

簡単なあらすじは、普通の公務員だった主人公が、ゲームのシナリオのアルバイトで小銭を稼いでいたが、ある担当者から乗せられて、脱サラする。公務員という安定を求めて結婚した奥さんはその時点で離婚。学生時代に少し体験したり勉強したりした宗教の知識で8000枚の壮大なシナリオを書き上げるが、その仕事自体が架空の話だったという事で、すべてを失ってしまう。

失意の中、自分をだました担当者と道で出くわし、なぜか共同生活が始まり、冗談でネット上に新しい宗教を立ち上げる。

最初は簡単な人生相談のようなメール対応だったのが、集会所を創ったりして人が集まりだし、バーチャルからリアルになっていく。

色々な偶然やラッキーが重なり、当初50人で食べていける、300人でベンツに乗れる…という軽い目標があったのだが、はるかにそれを上回る信者と金が集まる。

絶頂期を迎えたら、落ちていくのは世の常。別の宗教団体からの弾圧、妬み、脱税などの悪への誘い…。

そのような外的要因だけではなく、内部の信者の色々な問題が山ほど出てくる。

最終的に教団は社会から抹殺されてしまうのだが、話はそれで終わらない…。

オウムまで行かなくても、この話に近いような事は、知られていないだけで日常茶飯事で行われているのだろうと思えるくらい、リアルなストーリーに仕上がっています。

特に組織が崩壊してから、それでも残っていた信者たちの行動は、あのオウムのニュースで見た、トランス状態で体がゆらゆらしたり、バタンバタンのたうちまわったり…というシーンの再現。なぜあんなことになるのだろうと不思議に思っていたし、何かやらせではないのか?と思ったりしたが、この本を読むとあの状態に陥るのは無理もないというか、理解できるようになった。

この作者は、本当によく調べたと思う。世の中で実際にこんな事が起こっているのかもしれないと思わせる筆力には参った。

仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)より
4101484163
No.35
(5pt)

宗教団体というものの危うさ

ビジネスのつもりででっち上げた宗教団体(聖泉真法会)ではあるが,徐々に軌道に乗り,一時は7000人の信者を獲得するまでに至る。その聖泉真法会の教えは,密教を参考にでっち上げたものとはいえ,「仏は自分の内にある」というもので,それなりに魅力的なものに感じた。入信するからといって従来所属していた宗教団体から離脱する必要はないなど,微温的な教義は,詐欺的な新興宗教とは一線を画している。
 そんな聖泉真法会であるだけに,上巻の興隆期は読んでいて応援したくなるほどだった。家族の誰からも必要とされない主婦,統一協会を思わせる団体に入って心がボロボロになった女性。そうした人たちが「癒し」を受けられる場としては,やはり宗教と,宗教で結び付いた仲間との生活しかないのだろう。
 そうであれば,正彦らのでっち上げた聖泉真法会は,それほど悪い存在ではなかったと思われた。
 人が宗教に頼らざるを得ない心理的・社会的状況や,宗教団体が本質的に持たざるを得ない危うさなどをリアルに描いた作品であり,分厚い上下巻ではあるが,一気に読み切ってしまった。

仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)より
4101484163
No.34
(4pt)

リアルすぎて怖い

簡単なあらすじは、普通の公務員だった主人公が、ゲームのシナリオのアルバイトで小銭を稼いでいたが、ある担当者から乗せられて、脱サラする。公務員という安定を求めて結婚した奥さんはその時点で離婚。学生時代に少し体験したり勉強したりした宗教の知識で8000枚の壮大なシナリオを書き上げるが、その仕事自体が架空の話だったという事で、すべてを失ってしまう。
失意の中、自分をだました担当者と道で出くわし、なぜか共同生活が始まり、冗談でネット上に新しい宗教を立ち上げる。
最初は簡単な人生相談のようなメール対応だったのが、集会所を創ったりして人が集まりだし、バーチャルからリアルになっていく。
色々な偶然やラッキーが重なり、当初50人で食べていける、300人でベンツに乗れる…という軽い目標があったのだが、はるかにそれを上回る信者と金が集まる。
絶頂期を迎えたら、落ちていくのは世の常。別の宗教団体からの弾圧、妬み、脱税などの悪への誘い…。
そのような外的要因だけではなく、内部の信者の色々な問題が山ほど出てくる。
最終的に教団は社会から抹殺されてしまうのだが、話はそれで終わらない…。
オウムまで行かなくても、この話に近いような事は、知られていないだけで日常茶飯事で行われているのだろうと思えるくらい、リアルなストーリーに仕上がっています。
特に組織が崩壊してから、それでも残っていた信者たちの行動は、あのオウムのニュースで見た、トランス状態で体がゆらゆらしたり、バタンバタンのたうちまわったり…というシーンの再現。なぜあんなことになるのだろうと不思議に思っていたし、何かやらせではないのか?と思ったりしたが、この本を読むとあの状態に陥るのは無理もないというか、理解できるようになった。
この作者は、本当によく調べたと思う。世の中で実際にこんな事が起こっているのかもしれないと思わせる筆力には参った。
仮想儀礼〈上〉 Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉より
4103133619
No.33
(5pt)

宗教団体というものの危うさ

 ビジネスのつもりででっち上げた宗教団体(聖泉真法会)ではあるが,徐々に軌道に乗り,一時は7000人の信者を獲得するまでに至る。その聖泉真法会の教えは,密教を参考にでっち上げたものとはいえ,「仏は自分の内にある」というもので,それなりに魅力的なものに感じた。入信するからといって従来所属していた宗教団体から離脱する必要はないなど,微温的な教義は,詐欺的な新興宗教とは一線を画している。
 そんな聖泉真法会であるだけに,上巻の興隆期は読んでいて応援したくなるほどだった。家族の誰からも必要とされない主婦,統一協会を思わせる団体に入って心がボロボロになった女性。そうした人たちが「癒し」を受けられる場としては,やはり宗教と,宗教で結び付いた仲間との生活しかないのだろう。
 そうであれば,正彦らのでっち上げた聖泉真法会は,それほど悪い存在ではなかったと思われた。
 人が宗教に頼らざるを得ない心理的・社会的状況や,宗教団体が本質的に持たざるを得ない危うさなどをリアルに描いた作品であり,分厚い上下巻ではあるが,一気に読み切ってしまった。
仮想儀礼〈上〉 Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉より
4103133619
No.32
(5pt)

何度も楽しめます。

この小説は三回楽しめます。
最初は喜劇として。食い詰めた元公務員と元編集者の二人がその場の思いつきで始めた新興宗教が軌道に乗り出すまで。
次に悲劇として。迷いの末に救いを求めた若い信者がさまよった挙句一人で死んでいくまで。
そして最後がホラーとして、既に主導権をなくした教祖が信者に引きずられるように事件を起こしながらさ迷ってラストに流れ込むまで。
とにかく長いですがそれだけのことはあります。
仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)より
4101484163
No.31
(5pt)

何度も楽しめます。

この小説は三回楽しめます。
最初は喜劇として。食い詰めた元公務員と元編集者の二人がその場の思いつきで始めた新興宗教が軌道に乗り出すまで。
次に悲劇として。迷いの末に救いを求めた若い信者がさまよった挙句一人で死んでいくまで。
そして最後がホラーとして、既に主導権をなくした教祖が信者に引きずられるように事件を起こしながらさ迷ってラストに流れ込むまで。
とにかく長いですがそれだけのことはあります。
仮想儀礼〈上〉 Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉より
4103133619
No.30
(4pt)

仮想化された社会における現実的破綻

篠田節子さんの作品のなかでは、「ゴサインタン」、「弥勒」などの系譜に属する宗教ものといえるでしょう。内容が重いということも、共通しています。
主人公たちは金もうけを目的に軽い気持ちで新宗教を立ち上げますが、そこに「生きにくい系」の若者、超能力嗜好者、巨大教団の中年女性信者、不安を抱える中小企業の経営者などがこの順番に、吸い寄せられるように集まり信者になっていきますが、問題が発生し教団が社会からバッシングを受けるようになると、その逆の順番で信者たちが潮が引くように去っていきます。
てっとり早く教義をこしらえるために主人公がつくったのは、チベット仏教をベースにした密教系の教義でした。著者は「ゴサインタン」や「弥勒」でもチベット系密教をとりあげており、チベット仏教に対する関心が強いのでしょうか。
「ゴサインタン」では、自然発生的な小教団の中心になるネパール出身の女性は、神がかり的な能力を持っていましたが、今回の作品では教祖となる男性主人公がきわめて世俗的な人物であるのは現代社会の風潮を反映しているのかもしれません。
彼がむしろ理性的であり、ときとして良心的ともいえる人物であるため、かえってなすすべもなく、数人の女性信者たちの宗教的狂熱に巻きこまれ、破綻へと突き進んでいきます。
長編ですが、一気に読ませてくれます。「ゴサインタン」や「弥勒」に比べればやや軽めの読後感ですが、多くのことを考えさせてくれる力作であることはまちがいなく、読んで損のない作品だと思います。

仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)より
4101484163