家族狩り

評判

家族狩りの評価:

4.10/5点 レビュー 112件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.10pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全127件 101〜120 6/7ページ
No.27
(5pt)

小説かくあるべし

 油井に断然リアリティーがある。95年版では、馬見原が善で油井が悪と、はっきりしていた。しかし、油井の叫びは彼の魂の底から出ている。俺だって幸せになりたいんだ、と彼は叫んでいる。そこにテレフォンサービスの山賀葉子が手を差し伸べている。 面白い。どうなるのよ、この話。ひょっとして結末も変わっちゃうんじゃない?95年版を読んだ人すべてに読んでほしい。もちろん、初めて手に取る人には文句なしの傑作。 亜衣は、95年版ではマニック・ストリート・プリーチャーズ(をモデルにしたロックバンド)の虚言を社会不信の理由にしていたが、文庫版のような未整理の混乱の方がリアリティーを感じる。絶対権力であった祖母の死が直接の原因だろうし…。 作者の視野の広がりを感じる。しかも、鮮度を恐れず各地の紛争に言及している点に敬服する。ホント、大臣が何ヶ月か年金の掛け金を払わなかったことなんて、イスラエルへのアラブ系少女の自爆の前には消し飛んでしまうような卑小な問題ではないか。統計的に最も自殺率の低い「出産前の女性」という生物学的にも自殺しにくい存在が、現実に爆弾抱えて突入していくのだ。新聞で遺書を読んだが涙が出た。 だからどーした、じゃないだろう。私たちのように何一つ行動に移す気力も余裕も無い一般市民こそが、そういう事実を知り、祈るしかないではないか。
贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫)より
410145714X
No.26
(5pt)

光はみえるのか

筆者の「世界に、そして日本に悲しみがあふれている今、届けるべき物語とは何か、考え抜いた結実です」という言葉に惹かれて、この本を手に取りました。最終巻発刊まであと半月あまりです。この本の登場人物は、それぞれ深い悩みを抱えています。家族の問題で、まったく悩みを抱えない人などいるのでしょうか。だから、誰もが重く受け止められる内容の本になっています。そして、「世界の暴力の加害者にどうしてもなってしまうから生きていたくない」という若者の言葉、「理想の家族とは無私の愛にあふれた家族だ」という言葉、「人はいつも目に見えないものにおびえているのだ」という言葉…登場人物たちの一つ一つの言葉が、私の心に重くのしかかりました。最終巻のタイトルは『まだ遠い光』遠くても、光が見えるのならいいのだけれど。。。この世界も。
巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫)より
4101457158
No.25
(4pt)

救いを求めるごとく結末が気になります

 深まる恐ろしい事件、今の日本を包む学生、教育者、家族の問題、同時に世界のどこかの国における人々の苦しみの存在が大きな川のうねりのように読み進むうちに遭遇していく感覚があった。 他者との人間らしい関わりには各個人、お互いの精神のバランスによって成り立つと年齢を重ねるごとに学んで来た。が、家族や教育者、小さき者がさらされる社会のあつれき、病理的心理を抱えた大人たちの存在はどこに救いを求めたらいいのか、とこの2巻の行く末を祈るごとくの気持ちで読んだ。 登場人物たちの悩み、苦しみが報われる日々を祈りつつ3巻を早く読みたい。
遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫)より
4101457131
No.24
(5pt)

日々を生きるしかないのか?

著者と自分が感じていることが、あまりにも似ていて驚いた。イラクなど世界中で起きている悲劇。ニュースなどで見聞きすると、悲しみのような、怒りのような、いたたまれない感情を抱く。そのような感情をもっても、自分にできることは限られている。そして、そのような感情をもった自分は、自身が抱える問題、自分の身の回りで起きている問題でさえ解決できていない。むしろ日々の生活に追われ、解決に結びつけるような行動もなかなかおこせない。それなのに世界の悲劇に関心を寄せるなんて、おこがましいんじゃないか――。第4部まで読むところ、著者は、祈り、抱きしめることなどを通じて、上記のようなテーマを解決につなげようとしているように感じる。ただ、祈りというのは安直のような気がする。藤原新也は、「なにも願わない。ただ、手を合わせる」ことを提示した。この5部作を読みながら、深く考え、考えたことを行動に結実させていきたい。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.23
(4pt)

重い空気を感じるものの読むことを止められない

世の中にこんな怖いことが本当に起こるかもしれない、というくらいリアルな現実感がある小説でした。 登場人物の描写が深く丁寧で、この先の続編をこれから読むのが楽しみですが、一方で物語の中で起こるかもしれない事件を予感させる重い空気を感じます。 子供への虐待、家族内の関係、地域社会の人間どおしの関係の希薄さなど身近な問題に自分自身、直面していくことを余儀なくされる小説でもあると思います。それでもこの先を読むことを止めることはできないくらいどこかひきつけられる渾身の小説だとこの一部を読んでわかりました。 本書を読み終わり自分の生活でうまくいったことがあって浮かれた気分になっていた自分をつい自粛したくなる引き締まる思いになりました。今まで自分が目を向けていなかった、目を閉じていた問題の所在を気づかせてくれるような不思議な小説でした。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.22
(5pt)

「家族狩り」の意味が・・・

家族とは、それぞれがいろんな想いを抱いて生活している。それが、希望や楽しさであったり、不安や抑えきれないものであったり、非難やわずらわしさであったりと。けれど、どれからも逃げ切れるものではない。正面から、向き合い、受け入れていくものである。この作品は、以前、刊行された「家族狩り」の構想をもとに、書き直されたものである。家族狩りとは、いったいなんであろうかと思いながら、今まで刊行された3冊を読んできたが、この第4部で、少しずつ、その全貌が明かされつつあります。そして、今まで、向き合うことがなかった人たちが、何かと正面から向き合おうとしています。家族狩り・・・その言葉に秘められた意味が解き明かされるのももう間近となってきました。一ヶ月、待てるだろうか・・・
巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫)より
4101457158
No.21
(5pt)

待ち遠しい

~天童荒太、家族狩り全5部作の第1弾。改定前の作品を読んでない私は、家族狩りというネーミングにまず驚いた。~~家族狩りというネーミングでイメージまずイメージしたのが、複雑に絡み合った人間関係とやたらたくさんの殺人。でも、それは天童作品にありえないな。と思い本を手に取った。読みはじめて、第一印象が間違っていたことはすぐ分かった。~~現代の「家族」という最小単位の社会枠の中で、それぞれの人物がいろいろな立場で、悩み苦しむ心の葛藤が交差して、それぞれ魅力的な人物像を作り出している。内容も決して明るくはないが、そこは天童荒太。独特の表現は、やはり読みやすく、すんなりと物語に入っていける。~~5部作の第1弾ということで、物語は完結していない。いうなれば、序章作とでもいうところ。これから次々続いて行く続編が待ち遠しくなる逸品だ。~
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.20
(5pt)

登場人物達に、転機がおとずれる

本作品は、95年に発刊された「家族狩り」を全面的に改訂した新作である(家族狩りの文章を1行も使っていない!)。全5作が毎月発刊され、第3部の設定は、2003/7/3から7/22まで。残虐な方法で夫婦が殺害され、その子供が自殺体で発見される事件が相次いでおこが、子供達の家庭内暴力の果てに起きた事件として処理される。事件を発見した、高校の美術教師・巣藤俊介。事件をきっかけにより無気力になっていた彼の中で、何かが変わり始める。児童相談センターの心理職員・氷崎遊子は、児童虐待にあう少女の対処をめぐり、大きな壁にぶつかる。そして、事件を一連の連続殺人として捜査を続ける、警部補・馬見原。かれの二つの「家族」に大きな転機が訪れる。一方、犯人たちは、彼らの周囲に徐々に姿を現し始める。「家族の崩壊」と「そのしわ寄せに苦しむ弱者・子供」そして「その子供達の成人後」という本作品のテーマは、大ベストセラー「永遠の仔」に通じるものである。「家族狩り」発刊当時と比べて家族を取り巻く状況は悪化し、様々な事件が多発している。これらの社会情勢の変化にあわせ、作者がどの様なメッセージを私達に与えてくれるのだろうか?今年の出版界最大のニュースとなるであろう本作品を、あなたは毎月読みますか?それともまとめて読みますか?
贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫)より
410145714X
No.19
(5pt)

次が読みたい。でも次に何が起こるかと思うと・・・。

巻数が進んで行くにつれて恐怖感と嫌悪感が増していく。物語にものすごく集中してふと我に返った時、「今もこのようなことがどこかで起こっているのだ。これは全く現実なのだ。」と思い、恐怖感と絶望感でいっぱいになる。自分に何ができる?そして自分が当事者になったら?答えなんて絶対出ない。どこかにある善きものを信じて現実と闘うしかない?
贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫)より
410145714X
No.18
(4pt)

1巻2巻に引き続き

それぞれの登場人物が抱える問題には共通して「家族」というものがあります。 現在では決して珍しくはなくなった、子供が親を殺すような事件。ここでもそういった痛ましい事件も軸となり、家族とは?愛とは?社会とは?と、登場人物だけではなく読み手にも、幸せな家庭生活を送っている方でも、きっと考えさせられるんじゃないでしょうか。決して、他人事でない、と。 非常に描写力に優れた作家さんだなと思います。読んでいて引き込まれます。早く続きが読みたいです。
贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫)より
410145714X
No.17
(4pt)

ミッシング・リンクを探せ

折り返し地点を過ぎた。第5部を読み終えた段階で、色々な伏線があったことを思い返すのだろうが、現時点ではまったく今後の話の展開が読めない。とりあえず新たに登場する人物には用心深くなるが、変な深読みをしている可能性もある。本作は物語り全体に深みを与えるかも知れないが、その分、物語の展開が緩慢になっているのがマイナス。もっと読みつづけていたいのに、と感じてしまう。「家族狩り」というタイトルからイメージされる「モノ」の新たな展開がなかったのも残念だ。つまりミステリーという観点からみると物足りなさを覚えるのだ。矛盾しているかも知れぬが、天童荒太はミステリー小説を書いている訳ではなく、あくまで語るための装置のひとつとしてミステリーを利用しているに過ぎないのではないか。そう考えるとぼくの不満はお門違いであるなあ。
贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫)より
410145714X
No.16
(4pt)

物語の中だけで終わらないストーリー

2月1日の本書第1部発行から、毎月1冊刊行の形式をとる全5部作。誰しも身近にある『家族』をテーマに、ずっしりと心に響く作品。テンポよく進むストーリーと、キャラクターの設定がしっかりしていて、多くの登場人物それぞれに感情移入してしまうほど。あとがきでは作品に対する作者の真摯な姿勢が伝わり、こちらも背筋がのびる思いがした。月1冊という発刊方法は楽しみでもあるが、5部作すべて揃った時点でまた読み直したいと思う。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.15
(4pt)

社会的視野の広がりがある

 ブッシュはどう考えても間違っている。それに速攻「支持します」なんて言ったどこかの首相も。こういう話題って、ウザイ?でも、それって逃げだよね。 この第2巻には、私たちが目をそらして懸命に気づかない振りをしていることがらが、揺り起こされている。人物造型が深く掘り下げられ、95年版より共感しやすくなった。95年版を読んで結末を知る読者にも読み浸らせる力がある。役者もそろってきて、次の巻が楽しみだ。 内戦下で懸命に生きる少年少女たち、そしてこの日本で学歴や差別や誘惑と戦い続けている少年少女たちに、私も祈りをささげたい。 巻末の作者あとがきが、今回も心にしみる。馬見原には、そんな思いがしみついていたのか。
遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫)より
4101457131
No.14
(5pt)

家族とは何か。親とは何か。こどもとは何か。

待望の二冊目。寝食を忘れて貪り読む。全5冊が刊行された時点で一気に全巻読みたい衝動に駆られる。週間漫画雑誌を読んでいた頃が懐かしい。発売日になると学校帰りに本屋へ馳せ参じたものだ。第2部では、ひたひたと恐ろしい暴力の影が忍び寄る中、ある登場人物は思考の視野を広げる。だからといって解決策が見つかるわけでもなく、思索は続く。登場人物たちの行動や悩みを通じて、それらに添わせるようにぼくの心を静かに沈める。ぼくも彼らのように「答え」を導き出すことはできない。でも傍観者の位置から踏み出して、もっと登場人物たちにコミットしていきたい、という欲求は募るのだ。今から甘えたことを言うかも知れない。小説世界の中とはいえども、それに対して正面から向き合うことによって、何かが生まれ、何かが始まると信じたい。
遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫)より
4101457131
No.13
(5pt)

重たい。けれども目を反らしてはいけないこと

天童荒太待望の新刊である。ぼくは「永遠の仔」(幻冬舎)を読んだときの衝撃を忘れてはいない。それ以来「家族狩り」の文庫化を待っていた。それが今回原稿用紙900枚加筆の、毎月1冊刊行される全5部作の新たな作品としてリリースされるとは思わなかったので驚いた。今回は「家族」をテーマに、いろんな問題を抱えた人たちが登場する。まだ第一部のみなので、今後どのように物語の奔流が蠢いていくか予測がつかないが、各人かなりヘビーな傷を抱えている。目をそむけたくなるような過去。しかし先を読まずにはいられない、という「永遠の仔」の読書体験が蘇ってきた。最初は点に過ぎなかった人々が抗えない運命によって徐々にリンクしていくようだ。スティーヴン・キングの「グリーンマイル」(新潮文庫)のときのように、毎月の文庫発売日が待ち遠しい、圧倒的な力を持った物語がついに始まった。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.12
(5pt)

1か月も待てない

本作品は、95年に発刊された「家族狩り」を全面的に改訂した新作である(家族狩りの文章を1行も使っていない!)。残虐な方法で夫婦が殺害され、その子供が自殺体で発見される事件が相次いでおこる。子供達の家庭内暴力の果てに起きた事件として処理されるが、現場に立ち会った警部補・馬見原は、その結論に疑問を抱く。一方、彼が幼児虐待から子供を守るため刑務所に送った油井が出所し、彼と家族の前に姿を表す。高校の美術教師・巣藤俊介。恋人が妊娠したものの、幼少時のトラウマから「家族」を持つことに自信のもてない彼もまた、事件に巻き込まれる。そして、児童相談センターの心理職員・氷崎遊子はかつて「家族」を持つ可能性のあった恋人と再会する。「家族の崩壊」と「そのしわ寄せに苦しむ弱者・子供」そして「その子供達の成人後」という本作品のテーマは、大ベストセラー「永遠の仔」に通じるものである。「家族狩り」発刊当時と比べて家族を取り巻く状況は悪化し、様々な事件が多発している。これらの社会情勢の変化にあわせ、作者がどの様なメッセージを私達に与えてくれるのだろうか?
遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫)より
4101457131
No.11
(5pt)

次が楽しみ

 初めて天童荒太に手をつけてみたのだが、テンポよく進むストーリー。登場人物の描き方などは面白いものがある。第一部の終わり方も秀逸。次が楽しみで仕方ない。 高校の美術教師巣藤浚介は恋人とギクシャクしていた。氷崎游子は児童相談センターの所員で、父親の娘への虐待に胸を痛めていた。馬見原光毅刑事は、ある母子を見届けつつ、自分の子どもに対して遺憾を抱いていた。巣藤の学校の生徒である亜矢に署から呼び出されて、游子や馬見原と出会うことに。その後浚介が親子の変死体を見つけ、馬見原が駆けつけたところで第一部は終わる。 これだけでもものすごい重量感がある。終始どんよりとした雰囲気。精神的に病気を負ってしまった亜矢の視点から描かれているところも興味深い。それ以外に馬見原の背景が克明に書かれている為後半は小説の読み方が違ってくる。哀れであり、そういう風になってしまった馬見原。最後に驚愕の現場を目にするが、それが今後どのようにつながっていくだろうか。 天童荒太は初めてなので勿論単行本版の家族狩りは読んでいない。残酷なタイトルのままのストーリー。ただ書いているだけでなく、登場人物が素晴らしい。游子や浚介もこれから書いていくのだろうか。次が楽しみである。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.10
(5pt)

最後まで読み通したい

天道荒太の作品は重く辛い。それでも作品の背後に幽かに存在する希望、作者の怒りと祈りを感じる事で、読後何かが確かに伝わってくる。私は、『永遠の仔』よりも『家族狩り』の方が好きだ。より自分にリアルな家族を正面から扱っているからだ。その『家族狩り』から10年。日本の社会は何も変わっていない。現実にある問題や酷さを隠して表向き普通であるかのような顔をしている分だけ、より酷い状態になっているとも言えるだろう。作者が真摯に現実に向き合い単純な文庫化ではなく、今に合わせた形で新たに作品を作り上げた事は、素直に嬉しい。内容も期待を裏切らない、正直な作品だ。読んでいる間、家族、普通である事、子供と親など、感じる事が多く苦しいほどになるただ、この作品を5冊に分けた事は果たして成功だったのだろうかとも思う。作者が投げかける逃げては行けない問題が、分冊される事で薄くなってしまう気がするからだ。重く辛いテーマだからこそ、ずしりとくる一冊を通して共有したい、と私は思った。この先どう物語が進んでいくのか?楽しみだと言う言葉は最適ではないだろうが、待ち遠しい。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.9
(5pt)

期待できる作品

5部作の一冊目である本書。ベースとなっている山本周五郎賞受賞作の「家族狩り」の方は読んでいないので比べられませんが、どうやら期待できそうです。いくつかの話が交互に出てくるので、途切れ途切れに読む場合は気をつけてないと誰が何やら分からなくなるので注意を。一巻ということもあり、「すごくよかった!」ということはありませんが、月一冊の刊行をとても楽しみにさせてくれるものでした。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.8
(5pt)

家族狩りⅡと呼ぶべき

 大改定を加え、五部作としてリメイクされることとなった作品。その第一部。作者の丁寧で静かな決意に満ちたあとがきから、この作品にかける思いの大きさがうかがわれる。95年度版では、残虐なシーンが畳み掛けるように繰り出されるところがあったが、本作では抑制されたトーンで、かえって緊張感が増している。 キャラクターも、95年度版より更に存在感が増し、行動の一つ一つに内面からの必然性を感じる。 時代は十年でますます変わった。耳を疑い眉をひそめる事件も、小説を凌駕するように凶悪化・深刻化している。そんな中で、天童が自らの題材を再び世に送り出すにあたり、最大限の力を注ごうとした姿は、誠実だといえよう。似たようなモチーフでキャラクター名を変え、「家族狩りⅡ」とでもすれば、さしずめ次の直木賞の有力候補になっただろうに。新作が文庫本書き下ろしとは、驚いた。 第一巻を読む限り、天童の小説世界は確実に深化している。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123