家族狩り

評判

家族狩りの評価:

4.10/5点 レビュー 112件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.10pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全127件 81〜100 5/7ページ
No.47
(4pt)

自分が正義と言うことの怖さ

天童荒太さんの「永遠の仔」は大ヒットした当時、どうしても虐待と言うテーマが怖くて読めませんでした。たまたま婦人雑誌で天童さんの生に対する肯定のコメントを読み、家族狩り、永遠の仔、あふれた愛、そろえました。家族狩りもとても読むのが辛い本です。でも何年か前買わなかった今の私の琴線に触れる何かが今、感じるのです。それは「私が正義と言うことの怖さ」とでも表現しましょうか。この一冊目を読んだ時、このことが背筋が寒くなるような恐怖とともに私を襲ってきました。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.46
(5pt)

児童虐待

これは天童荒太の傑作である。小説として読むか?児童虐待として読むか?とにかく読み応えのある小説である。どうかこの本を心理学を目指す学生、心理カウンセラーの方にも読んで欲しい。児童虐待、家庭内暴力、現代の家族の病巣について書かれている小説である。これは天童荒太が文庫本の為に加筆された本である。これを購入する時は1~5迄全巻購入し、一気に読んで欲しい。またそれが出来る本である。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.45
(5pt)

最高!

家族、みんなが殻に閉じこもっている分、表ざたに出来ない虐待、痛み、問題が隠されている。それでもなお、外に助けを求めない。虐待されている親に愛されたいからだ。「悪い子じゃなければ、いい子だったら愛してもらえる。」そうおもっている子どもはきっと少なくない。助けてくれるのはもう愛する心を持っていない親ではなく他人でも十分愛をくれるということ、親は日本人の親はたいていが世間体、思い通りに子をしたいのだ。もし出来なければもう捨てられている。心だけは。そんな表ざたにならない気持ちを複雑に書いてある。親ならありのまま受け止めるんだ、子どもは親が思うより親を愛している。おやは子どもの命だからだ。虐待されても。親は子どもを捨てることが出来ないなんて嘘。精神的に虐待している親はたくさんいる。それがここに書いてある。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.44
(5pt)

作品を生んでくれたことに感謝

作家という職業の存在意義をこの作品は示してくれたと思います。作品を届けてくれた天童さんに感謝したい気持ちでいっぱいです。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.43
(5pt)

人物達が丁寧に他者について思考をめぐらしたり説得する箇所がよかった

 家族、個人のあり方が現実的に描かれていて5巻ともなると、登場人物たちに流れている時間、考えの変化、出来事の行方がより興味深く、刺激となったり面白かったり、悲哀を思ったりした。 5巻は最終巻だが、全巻を通して、日本にいる自分、どこか遠い国での紛争、戦争、悲劇が今、現在起こっているということ、など、浚介や、他の人物たちも時節、思いをはせる。私も新聞やメディアを通して、つかの間、知る外国での恐ろしい出来事がある。それと同時並行で日本では、家族や個人のしがらみ、問題がある。それらは問題の質が違うように思えて、自分の問題はちっぽけに思えてもやはり大きな問題としてとらえてしまう現実もある。本書では、自分のそういう一面がある現実と共感できる内容だった。 人の命を自分本位で考えてしまう人は本当に恐ろしいとまた感じた。家族狩りを呈する事件は、悲惨以外になく、関わった人物たちのその後が気になる。 不登校傾向の亜衣の変化も嬉しかった。また浚介が亜衣に、我を忘れて物事に集中することが美しいというような内容を語ったところも印象的だった。そういえばどんな人でも自己にこだわっている姿より自分を忘れて何かに取り組んだり、まして誰かのためなることをに我を忘れて取り組む姿は美しいものだ、と気づいた。 自分以外の人間と関わるのを面倒くさがる現代の傾向が無きにしもあらずの時代、丁寧に人を説得したり、語ったり、人物たちが思考をめぐらす内容の本書は人の心の奥にある真の優しさにふれることが出来たような人間を信じたくなる内容です。安易な結末に終わらなかったのがまたよかったです。まさに骨がある結末です。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.42
(5pt)

犯人の動機が徐々に明らかになる

本作品は、95年に発刊された「家族狩り」を全面的に改訂した新作である(家族狩りの文章を1行も使っていない!)。残虐な方法で夫婦が殺害され、その子供が自殺体で発見される事件が相次いでおこが、子供達の家庭内暴力の果てに起きた事件として処理される。事件を発見した、高校の美術教師・巣藤俊介。事件をきっかけにより無気力になっていた彼の中で、何かが変わり始める。児童相談センターの心理職員・氷崎遊子は、児童虐待にあう少女の対処をめぐり、大きな壁にぶつかる。そして、事件を一連の連続殺人として捜査を続ける、警部補・馬見原。かれの二つの「家族」に大きな転機が訪れる。第四部では、犯人の動機が徐々に明らかになる。「家族の崩壊」と「そのしわ寄せに苦しむ弱者・子供」そして「その子供達の成人後」という本作品のテーマは、大ベストセラー「永遠の仔」に通じるものである。「家族狩り」発刊当時と比べて家族を取り巻く状況は悪化し、様々な事件が多発している。これらの社会情勢の変化にあわせ、作者がどの様なメッセージを私達に与えてくれるのだろうか?今年の出版界最大のニュースとなるであろう本作品を、あなたは毎月読みますか?それともまとめて読みますか?
巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫)より
4101457158
No.41
(5pt)

読書の楽しみを感じた5ヶ月でした

本作品は、95年に発刊された「家族狩り」を全面的に改訂した新作である(家族狩りの文章を1行も使っていない!)。 残虐な方法で夫婦が殺害され、その子供が自殺体で発見される事件が相次いでおこが、子供達の家庭内暴力の果てに起きた事件として処理される。事件を発見した、高校の美術教師・巣藤俊介。事件をきっかけにより無気力になっていた彼の中で、何かが変わり始める。児童相談センターの心理職員・氷崎遊子は、児童虐待にあう少女の対処をめぐり、大きな壁にぶつかる。そして、事件を一連の連続殺人として捜査を続ける、警部補・馬見原。かれの二つの「家族」に大きな転機が訪れる。第五部では、事件に関わったそれぞれの「家族」が互いにリンクし、それぞれの方向性が示される。 「家族の崩壊」と「そのしわ寄せに苦しむ弱者・子供」そして「その子供達の成人後」という本作品のテーマは、大ベストセラー「永遠の仔」に通じるものである。「家族狩り」発刊当時と比べて家族を取り巻く状況は悪化し、様々な事件が多発している。この五部作を通し、ともすると事件そのものの凄惨さに目がいきがちであるが、一番分かり合えるはずの「家族」「親子」の難しさの方が怖く、そして感動を覚えた。作者のメッセージをしっかりと受け止めたい。本作品は今年の出版界最大のニュースとなるであろう。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.40
(5pt)

生身の人間のつらさを身近に感じてしまう悲しみ

 解決したと思われる事件の真相を追う馬見原、妻の佐和子のやりとりがずっと、ちぐはぐだった気がしていたけど、この巻で佐和子の精神的な弱さだけでなくやさしさ、愛情を感じた。佐和子は深みのある人物だ。ゆえに精神を病むことがあったのかとも思う。 また元高校教師の浚介は自然と接すること、人と接することを通して精神的にも強くなっていく様が見えるようだ。謎めいた大野と山賀葉子、自分の命をかえりみず子どものためを思って行動して危険にさらされた児童相談センターの氷崎游子の行方、馬見原の妻、佐和子の安否も気になる。そして事件の真相にも馬見原はちゃくちゃくと近づいているように思えるが次巻の最終巻にいよいよ明かされるか・・。登場人物たちの心の痛みがそれぞれ具体的で引き込まれる内容だ。生身の人間の生理やつらさ、大人の男女、男児、女児か思春期の人たち、それぞれの人たちの心の痛み、世界、社会の生きにくさが迫ってくる内容だが、せめて全てでなくてもつらい思いをした人たちにとって報われる結果が待っていることを望んでしまう。 次巻が最終巻、一体、どんな結末になるのか・・楽しみです。
巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫)より
4101457158
No.39
(4pt)

家族を求めて道に迷った人々を描いた傑作

天童荒太さんが長い期間の構想を経て世に出した本がついに完結しました。問題家庭で勃発する残酷な殺人事件と、その事件を縁にして惹かれ合う人々の話が、悲しく、切なく描かれています。文章は一つ一つが研ぎ澄まされた刃物のようで、著者が傾けた情熱がにじみ出るような緊張感に満ちていました。そのせいか文庫5冊があっという間です。また構成なども緻密に練り込まれていて申し分ない出来だと思います。ただ、僕個人としては、「家族」や「両性の同一視」に固執するストーリーには少々違和感を感じました。登場人物につい感情移入してしまい、もう少し肩の力を抜いて考えればいいのに・・とついついもどかしく思うことがありました。ただ、それを差し引いても前作永遠の仔に引き続く「家族」をテーマにした傑作だと思います。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.38
(5pt)

おぉ~!

4巻になって急に展開が早くなった気がします。そして、私が読んでいる時期に小学生が同級生を殺害するという驚くべき事件がありました。(発売日とだいぶずれていますが)現実の事件についてもいろいろと考えながら読みました。すこし辛いものがありました。個人的に好きなのは、はじめの方で研司君が勝手に馬見原に電話をしてしまうあたりです。電話に変わったあとの馬見原と冬島のやり取りが切ないようなくすぐったいやらで印象に残りました。次で最終巻ですが、どの人物にも幸せになってもらいたいものです。
巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫)より
4101457158
No.37
(4pt)

もう一押し!

期待していました。とてもとても。期待しすぎると、たいてい、よいことはありません。4巻まで読み、5巻の発売を待ちました。そして、きょう、5巻を一気に読みきりました。世界、社会と、個人とのつながりをめぐる著者の苦悩が伝わってくるようで、読みながら、深く考えさせられました。もっとも感動したのは、実は、巻末に付された参考文献。小説で、参考文献を明示する例って、そんなにないと思います。著者の誠実さが伝わってきました。ただ、4巻で思い描いていたとおりの展開に、だいたいおさまってしまったのが、やや不満。証券アナリスト風にいうと、「サプライズがない」とでも言うのでしょうか。それでも1-5巻通した全体では「☆5+」です。できるだけ多くの人に勧めたい本です。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.36
(5pt)

あと4冊読める、という幸せ!

長編を改稿して中編5冊にし、文庫として出版する。天童荒太は日本のスティーブン・キングである。この第一巻では物語はまだ始まったばかり。しかし、グイグイと惹き込まれずにはいられない。この楽しい時間があと4冊分あると思うと、たまらない。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.35
(4pt)

こころの青空

 この作品に出てくる人物たちは,そろいもそろって,自分の生い立ちや,性格,いまの生活など,およそ自分の生を単純に肯定することができない。自分を受け入れ,和解することができない。 そんな彼ら,彼女らにも,ふと心のなかに青空が広がるように思える一瞬がある。なつかしいような,ふるさとにいるような,とおくまでみわたせるようでもあり,なきたくなるようでもある,そんな一瞬である。 それは誰かとの交わりのなかで,ふと突然訪れる。苦しかったり困難だったりするさまざまな出会いのなかで,ほんとうにまれに訪れて,すぐに去ってゆく。 本作のテーマを自分と世界との和解ととらえることもできるだろうし,生命を肯定し慈しむことともいえるかもしれない。それは,容易ではない交わりのなかで,交わりを通じて追求される。 期待なき期待のような構えを感じさせる作品である。  
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.34
(5pt)

遠いけれど光は消えていない

最終巻でどうしても伝えたいことがまだまだ残っているのだ、という著者の意向によりページがだいぶ増量されている。運命に導かれて家族の問題と真剣に向き合うことになった登場人物たち。殺人事件の解明とともに安易に答えが導き出されるわけではない。読み終えたあと、今度は読者である我々が「家族」と対峙することになるのだ。ハッピーエンドになることなく登場人物たちの苦悩は続く。それが現実であり、そういう現実から目を反らしてはならないことを訴えかけてくる。そう、まだ遠いかも知れない。しかし「光」はあるのだ。「永遠の仔」(幻冬舎)よりもさらにメッセージ性が深く濃くなっている。全ての物語を読み終えたあとに、今度は対談というカタチで「家族」を問う「少年とアフリカ」(文春文庫)を手にとられるのも良いかも知れない。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.33
(5pt)

まだ展開は見えない

 第三部は淡々としたストーリー。ただ、芳沢亜衣と巣藤浚介の状況が変わったくらいか。麻生家と実森家の事件そのものに進展はない。   麻生家で起こった子どもによる心中事件。実森家でも同等の事件が起きた。そして、遺書までが類似している。残虐なままに行われた心中は、果たして偶然なのか。馬見原は他殺説を未だに信じてやまない。そんな中浚介は、死んだ実森少年の通っていた高校の美術教師としてインタビューを受けてしまい、発言から自宅謹慎に。亜衣はホテルでの出来事から精神的なショックを受けてしまい未だ安定せず、どんどん悪い方向へ進むばかり。   展開が見えないな。あと二部。文庫にして600ページほどといったところか。それなりのページ数が残されているのでどんな展開が来てもおかしくはないのだが、見えない。   油井善博はもう一度冬島綾女とよりを戻したがる。親権を放棄したにもかかわらず、綾女の息子に近づく。馬見原はどんな心境なのだろう。あまり細かに書かれていないのがやや残念。   殆ど嫌なことばかりがこの小説に書かれている中で、浚介は心のよりどころを見つける。縦社会故に失言から謹慎になってしまった中で、さらには恋人にも見放された中で出会った青年。浚介は間違ったことをしていないと思うし、全てが肯定されるわけではないのだが、彼がちょっと悲しいかな。その悲しさも、ややぬぐわれた第三部の終盤。   連続して動物の死体を玄関に置くという事件を基本的に扱っていた馬見原。そして意外な証言者が。この事件と、麻生家と実森家の事件。浚介はどうなる、亜衣はどうなる。前半ややクローズアップされた游子はこの事件を見て、このあとを見てどう思うだろう。そして読者である自分は。
贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫)より
410145714X
No.32
(5pt)

うぬ~ん

それぞれの主人公に感情移入してしまいます。個人的には馬見原さんが好きです。1巻の終わり方は、まさにこれから!というところでおわってしまうので、続きが気になってやきもきしました。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.31
(5pt)

ひとつ

 登場人物の一人である少女は,ニュースなどで悲惨な出来事や虐げられた人びとについて見聞きするたびに,ひどく傷ついて,しかもなにもできないでいる自分を責める。暗いニュースがありすぎて不感症になったのか,しょせん他人事でしかないと感じるのか,そんなニュースをなにげなくやり過ごして,私生活に閉じこもるのがあたりまえの周囲のなかで,自分だけがおかしい気にもさいなまれる。ウソだらけのような世界にいやけがさして,どうしていいのかわからない。 彼女は,ニュースの遠い出来事で,わがことのように痛みを感じるこころをもっている。世界には問題が山積みなのに,どれひとつとして痛切に自分の問題として感じることのできないものとしては,彼女の痛みもまた我が痛みとして感じられないが,羨望も込めて共感することは幾分できる。 作者は,遠くの出来事とわがこととは,じつはつながっているはずだという。だから,身近な人との交わりの有り様や,自分の考え方感じ方,生き方が,遠くで苦しんでいる人びとともつながっていて,身近なところからなにかできるはずだと信じる。 きっとそうなのだろう。たとえばほとんど社会に出ずに,家に閉じこもる生活でも,そのままで世界に開かれていて,孤独な祈りも虚空にきえるのではなく,宇宙に響き渡り共鳴し合うと考えたい。 「焦ることはない。また声をかければいい。何度でも歩み寄り,待って,声をかけてみよう。……相手に何かを期待するつもりはない。簡単には親しくなれないことが,自然なのだと思っていれば,傷ついたり,腹を立てたりすることもいらないはずだ。」  作品のなかで,拒絶されることが怖くて人付き合いが苦手な一主人公が,心のなかでこうつぶやく。身近なものへの心の開きは,やがて世界をかえる,そんな願いに満ちた作品だ。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.30
(5pt)

現代という今をもっと見るために

この本のテーマはなんだったのかと、読んだあと、実はよくわからなくなってしまいました。家族が家族を殺してしまう。大義名分が罪も無い人たちを殺してしまう。それらは紛れも無く今の僕たちの現実なのでした。そういう世界で、自分に何ができるのか、自分は何がしたいのか。この作品の中に出てくる登場人物は理想と現実の間の中で苦しみながらも答えを模索します。それらは作者である、天童荒太そのものの模索であり、読者であるわたしの模索ですらもありました。エンターテインメント小説に負けない構成力があり、1~5部まで、きっと退屈しないで一気に読めると思います。難解は表現はなく、理解に詰まるということは無いでしょう。でも、きっと読み終わったあと、この作品を一言で言うことが出来なくなるのではないでしょうか?ただ、ひとつだけいえることは、それは理解できなった、ということではないし、まして、中身がないなんてものでは決してありません。うまくいえないですが、自分の内面の何かがきっと変わっているのではないかと思います。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.29
(4pt)

人のあやういもろさを感じてしまうシビアで現実味がある内容

 ある家族の死亡事件は終焉を迎えたかのように見えたが、また一つ、ある家族の死亡事件が起きた後から第3部は始まる。事件を追う馬見原刑事自身の家族の複雑な事情、背景。ある家族の死亡を目にしてしまった美術教師の浚介、次第に過食症の亜衣、児童虐待を扱う心理職員の游子。それぞれに家族がいて、家族内の事情があり、憎しみといとしさを抱えているようだ。きっと外でこのような人たちを見たら、強そうなしっかりしている人に見えると思う。しかし彼らの内面、家族との関係、それぞれの家族の思いを知っていくうちに、人のあやういもろさを感じてしまう。シビアで現実味がある内容だ。人それぞれが弱い存在でいとしく、他者と関わり存在していることの基盤に家族という単位があった事が嬉しいような悲しいような重さをもって今一度思い出された。 第4部に向けて馬見原の捜査の行方、浚介の生き方、内省、亜衣の成長、游子の仕事や人生への葛藤など独立しているようかに見え、絡み合うごとく深みを増すストーリーが気になる。
贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫)より
410145714X
No.28
(4pt)

波乱の巻

 登場人物たちが暴走し始めた。物語が大きくうねっていく。最後の事件は、どんな形で描かれるのだろう。そこには誰がいるのだろう。どんな光が見えるのだろう。 小動物の死体を置いているのは、ジョギングの青年か、おばあさんか。それとも全く別な誰かか。妙に気になる。 そして、文庫版の最大の楽しみが、作者あとがきである。作者の息づかいが感じられて、とてもいい。
巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫)より
4101457158