遠まわりする雛
評判
遠まわりする雛の評価:
4.19/5点 レビュー 58件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全92件 41〜60 3/5ページ
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遠まわりする雛の評価:
4.19/5点 レビュー 58件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
まとめた短編集となっており、頭の隅に、どの時期の話かを置いて
おきながら読むと分かりやすいかと。
全般的に、各エピソードを定点観測のように見れば、奉太郎の心境の変化と、
(奉太郎から見た)える、里志、摩耶花の言動や行動原理の変化が
よく分かるようにできています。
ここからは、各章ごとにレビューをしたいと思います。
『やるべきことなら手短に』
折木奉太郎と千反田えるの出会いから間もない、
「氷菓」事件の調査の前日譚。
省エネ主義という自分の信条が揺らいでいることを里志に指摘され、
それを認め、現状に対する保留であると答えた奉太郎。
帰り道の二人のやり取りを通じて、えるとの出逢いによって奉太郎が
微妙に変化し始めたことを示唆する描写が巧い。
『大罪を犯す』
直接関係のない隣のクラスで起きたトラブルの原因を探るという、
小説における「一人称を描く場合、他者の視点を放棄しなければならない」
という大原則を逆手に使ったエピソード。こんなことが起きた時、
出した刀を引っ込めるのって、まぁバツが悪いですよね。
『正体見たり』
夏休みに摩耶花の親戚の民宿を訪れた古典部の四人。
使われていない七号室に現れた幽霊は枯れ尾花かそれとも……というおはなし。
一人っ子(える)が憧れていたきょうだいという存在の『現実』を
突き付けられるという、彼女にとって少し切ない展開にはなりますが、
もっともその現実は、きょうだいを持つ者は意外とあっさり
受け入れているものなんですけどね。
アニメーションではちゃんと救いが入っているので、
原作では直接的な描写は無いものの、アニメーションが原作にかなり
忠実にできているため、もしかしたら文章による描写の無い部分に
ちゃんと救いはあったのかもしれません。
『心あたりのある者は』
奉太郎を買い被るえるに対し、今まで自分がやって来たことは偶然である。
理屈と膏薬はどこへでもつく。と言い放ち、それを証明するために、
偶然校内に流れた呼び出し放送と、現在の状況から、放送の意図と
何が起きたかの推論を組み立ててみるも、推論はきな臭い展開に……というおはなし。
本作は放送から結論にたどり着くまでの描写に目が行きがちですが、
奉太郎が自分の『無能さ』を証明しようとしたり、
結論に到達したところで当初の目的を忘れてしまうという、
ちょっと間抜けな部分を垣間見ることができます。
『あきましておめでとう』
父親の名代として荒楠神社の十文字かほへの新年の挨拶をしたり、
納屋に奉太郎とともに閉じ込められても、あらぬ誤解を避けるために
大声で助けを求めることを拒むなど、名家の娘であるえるが、
未だに日本の社会、特に田舎に強く残っている『家』という存在に
ある意味において縛られている様子が巧く、そして少し切なく描かれています。
後半からは『クドリャフカの順番』以来である里志の視線が入り、
奉太郎とえるが如何にして脱出を試み、里志と摩耶花が如何にして
意図を汲み取るかを交互に描いています。
このおはなしを成立させるには視点を移動させるしかなかったかと。
『手作りチョコレート事件』
摩耶花が里志にあげるはずだったチョコレートが盗まれた出来事を通じ、
『クドリャフカの順番』でも少しだけ見せていた、
里志の影の部分がクローズアップされるおはなし。アニメーション版では
他の三人の視点を加えることによって、ある意味においてハッピーエンドに
なっていますが、里志は答えを見つけ出すことができるのでしょうか。
ふと、脳裏にBUMP OF CHICKENの『才悩人応援歌』の歌詞が頭をよぎりました。
里志が抱いていたのは、あの歌詞のような感覚に近いのかも知れません。
それにしても他のエピソードでも、里志への想いを隠すことなく、
何度里志にはくらかされても果敢にアタックを仕掛ける摩耶花は強い子です。
自分だったら『もうダメ……』と膝を落としていることでしょう。
『遠まわりする雛』
表向きは、千反田家の地元で開催される『生き雛祭り』での顛末を描いた話ですが、
高校に進学し、一年経った奉太郎とえるの、色々な意味において
大きな変化があったことを示唆する話になっています。
子供から大人になるに従い、自分の思いだけではなく、
自分の置かれた立場や状況を考慮して動かなければならない
年齢に差し掛かっている少年と少女は、今後それを乗り越え、
オプティマイズド・ソリューションにたどり着けるのか……わたし、気になります!