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愚者の階梯の評価:
3.33/5点 レビュー 3件。 - ランク
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平均点3.33pt
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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歌舞伎座を舞台に戦争前夜の世相を描く
歌舞伎とキネマとパズラー。学ばない国・日本
劇場の舞台裏の大道具や舞台下の仕掛けが用いられているところは『オペラ座の怪人』を連想させるが、連続殺人事件のミステリーというよりも天皇機関説事件に象徴される暗い世相が主題となっているようだ。
歌舞伎十八番の『勧進帳』の弁慶の台詞が「不敬」に当たるとは荒唐無稽の極みだが、著者によると実際に戦時中は勧進帳の台詞が書き換えられていたという。
しかし、著者はこの導入部の事件を天皇機関説事件と重ね合わせて描いており、当時の通説であった美濃部達吉東大教授の国家法人説と天皇機関説が「不敬」と糾弾された荒唐無稽さと、にもかかわらずそれがほとんど反対も抗議もされずに通用していく戦争前夜の世相の恐ろしさを強調しているのである(著者インタビューでは先般の学術会議委員任命拒否事件を念頭に置いているとのこと)。
著者は、帝国陸軍の戦勝に浮かれる人々に対し、「戦争というのは常にあっけなく始まるんだよ。始まったら最後だれも止められない。始める連中は、あとのことなんか何も考えちゃおらんのさ」という宇津木のシニカルな言葉を対置しているが、これが愚者たちが梯子を転げ落ちていくという本書のモチーフにつながっていくのである。
なお、本書の舞台となる築地の「木挽座」は歌舞伎座、関西に本拠を置く興業主の「亀鶴」は松竹、その社長の「大瀧」は松竹創業者の大谷竹次郎を容易に連想させるが、モデルとフィクションの境が気になるところである。