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加賀乙彦長篇小説全集 第四巻/五巻 宣告



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加賀乙彦長篇小説全集 第四巻/五巻 宣告の評価: 4.77/5点 レビュー 13件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.77pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全13件 1~13 1/1ページ
No.13:
(4pt)

面白い

面白い!
加賀乙彦長篇小説全集 第四巻 宣告 上Amazon書評・レビュー:加賀乙彦長篇小説全集 第四巻 宣告 上より
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No.12:
(5pt)

電子書籍 気に入りました

お気に入りの 本が 身近に あることが
大変 うれしく スマホが 愛しくなりました
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No.11:
(5pt)

読み応え十分

複数視点からの重層的な小説。ナレーションの多彩さで飽きさせない。
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No.10:
(5pt)

全て良し

梱包、納期期限、本の状態全て良し。
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No.9:
(5pt)

神から離れた人間の哀しみの物語

以前から気になっていた作品であったが、分厚い文庫本3巻という質量の大きさになかなか手が伸びずにいた。
ところが今回思い切って読み始めてみると、意外に一月足らずで読み終えてしまった。休日のリビングで、通勤電車の中で、この小説が手放せなくなってしまったのだ。

主人公楠本他家雄は、昭和29年、所謂「バー・メッカ事件」の犯人、正田昭をモデルとしていて、東京拘置所に死刑確定囚として収監中に、当時精神科医官として拘置所に勤務していた加賀が実際に何度も接した人物だ。
正田は東京拘置所収監中にカトリックの洗礼を受け信者になったのだが、後に加賀も正田の影響でカトリック信者となっている。
加賀自身も「死刑囚の影響でカトリック信者になった」ことを正直に語っている。
この作品を私が知ることになったきっかけも、遠藤周作の著作を読み進めているうちに加賀の名を知り興味を持ったこともあり、私にとってこの作品はキリスト教文学のひとつである。
文体は非常に精緻で、精神科医としての経験に裏打ちされた心理描写の巧妙さには舌を巻く。
ところが、私が文学作品で最も大切だと考えている、神との向き合い方や、信仰の捉え方に、どこかよそよそしい、理性の勝った印象を受ける。
もともと加賀の文体は非常に固く、また専門的な心理考察も多いので少し近寄りがたいのだが、この作品の一番中心の核となる部分に何か読者と打ち解けない、殻に閉じこもったものがあるような気がする。
実は、加賀は「宣告」執筆当時まだカトリックの信仰を受け入れていなかった。
そのことを加賀自身が語っているインタビューを見たことがある。
遠藤周作に「君、無免許運転はいかんよ」と言われたと言う。
無免許運転とは如何にも遠藤らしい表現だが、この作品のもつ、神や信仰に対する「よそよそしさ」や「理性的な」性格を遠藤は鋭く見抜いていたのだと私は思う。
そして、この作品中でも、主人公楠本他家雄の信仰は「理性の信仰」「頭の信仰」として批判される。
私はこの「理性の信仰」批判は、作者自身の内的葛藤ではないかと思う。
死刑確定囚と拘置所医官。いわば全く立場の違う2人の人間が相対して、心の底から自らを神に委ねることのできない人間の哀しさを私はこの作品に見た。
発表当時は、主人公が死刑確定囚という作品の性格上、死刑廃止論との絡みで語られることが多く、非常に社会的な見方をされていた本書であるが、主人公と作者自身、神から離れた人間が再び神に近づこうとしてもがく哀しみの物語だと私は思う。
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No.8:
(5pt)

思い出の作品

加賀乙彦先生の作品、若い時に初めて読まさせていただき、思い出の作品なので、あらためて、読まさせていただき、ありがとうございます。
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No.7:
(5pt)

破壊と再生の物語

若さゆえ、自分が一番苦しんでいた時期に最も救いとなってくれた小説。

この物語の中には、たくさんの育ち損なった大人達が登場する。
生まれ落ちて一番最初に触れる親からの愛情を得ず、それゆえに信頼に基づいた他者との関係が築けず、精神的、実質的な孤独の中で世界に怯え、自分を愛せないが為に人も愛せず、なにかを叫ぶように、諦めるように、罪を犯してしまった人達だ。

東大出のインテリで、死刑囚の中でも浮いた存在として描かれている主人公の他家雄は、環境が貧しすぎたり暴力的だったり、一見して特別な世界ではなくても魂の枯渇は訪れるという事を現している。

ずっと自分に無関心であった母の変化や、自分を殺人犯としてではなく、一人の人間として澄みきった心で接してくる女子大生との文通の中で、徐々に他者への愛を形作っていく他家雄。
己の罪を認め、語られる事のない懺悔と感謝の中で綴られていく手紙は、ただただ透明で美しい。

本作の著者が死刑反対論者である事がたびたび論点になっているようであるが、物事のすべてに陰と陽があるとすれば、悪の裏には善が、破壊の裏には再生が存在すると信ずるからではあるまいか。
犯罪被害者の方々の求めるものが、もし犯人の心からの謝罪であるのなら、彼等は愛する人を失う痛みを、被害者が生きたかった人生の尊さを、実感を持って知らなければならない。
それらの矛盾に、私達は永遠に悩み続ける。
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No.6:
(5pt)

死と隣り合わせの毎朝。拷問か。

とにかく死刑囚の日常生活は厳しい。毎日が死と隣り合わせのため。自業自得とはいえ残酷かな。現在は、執筆当時(時間的間隔が設けられていた。その時間に死刑囚が自殺したため現在の告知即執行になった。)とは異なり、刑の執行は当日の朝、告知され、即執行である。だから朝はみんなひやひやして朝食をとっている。
 つまり、執行そのものより執行まで待たされる期間があり、これが死刑囚の確定順どおりではない(再審請求中や恩赦を求めている死刑囚は慣例的にその間は執行されない。)ので、普段の死刑囚はいつもソワソワしている。
 また、絞首台での死となり、はずかしい死に方となる。そのため死刑囚は心やすらかにできないようである。全ては自業自得なのだが残酷である。
 最高裁判所も執行方法が残虐であるかの判断をしたにとどまり、極限での精神状態までは触れていない。
 なんだか、著者の婉曲な言い回しが気になる。著者は違憲性の疑いを婉曲に問いかけているようだ。
 本作の中巻以降の展開が気になる。
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No.5:
(5pt)

きれいな状態でした。

ずいぶん昔に発行された本でしたが、とてもきれいな状態でした。
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No.4:
(5pt)

信仰と愛

死刑囚楠本他家雄の最後の3日間を描いた小説。

下巻の解説において中野孝次氏が
死刑制度の是非をめぐってあれこれ論じられているが,
私は本書のメインテーマは「信仰と愛」であると思う。
もちろん小説なので多義的な読み方が許されるのだろうが,
そこにばかり注目が行くのは本書にとって不幸であると思う。

本書において死刑囚という極限の状況は
信仰をテストするための多く在る設定のうちの一つに過ぎない。

本書における拘置所の囚人たちは,
ある者は拘禁反応という病理現象を起こし
ある者は自殺し,
ある者は死刑を回避するために自己正当化を繰り返す。

ただ楠本(と隣房の垣内)だけが心を静かに
生産的な毎日を送っている。
それは楠本が信仰を持っているからのようだが・・・。

では楠本の信仰は本物なのかと,
本書ではたとえば複数の精神科医学者に楠本の「病理」性について分析させている。
これらの分析は,楠本を「無情性精神病質者」,「拘禁性誇大妄想」などと断じる,
非常に辛辣なものとなっている。

しかしこのような批判を受けるのは理不尽である・・・というわけではない。

何故なら楠本の信仰は,本人が最後に認めたように,
当初は「底の浅い頭,頭の信仰」に過ぎなかったのである。
その信仰が深化し本当のものとなったのは,
ある女子大生(恵津子)との文通により
初めて「愛」というものを体験したからである。

楠本は,そうして愛を体験し真の信仰を得たところで死刑執行の宣告を受ける。

この小説構成は非常に巧みですばらしく,
上中下巻を長い間かけて読み進めたこともあり,
「お迎え」の宣告に,
読者の私も全身の血が凍るような衝撃を受けた。

読み終えてから半年ぐらいたつが
今も折に触れて読み返すぐらい大切な小説となったので
あまり難点は言いたくないが,
ただ各死刑囚のモデルが簡単に同定できるぐらい設定がほとんど変えられてないのは,
ノンフィクションではないのでいかがなものかとは思った。
あと聖痕や啓示に関する記述も,
もうちょっと禁欲してもよかったのではないか,と思った。

以上若干の難点はあるが
日本にこんなすごい小説家がいたのかと感銘を受けた作品であった。
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No.3:
(5pt)

人間、このか弱きもの

まず初めに、この本を読んでも私の死刑存続への賛同は揺るがなかったことを書きたい。
ただ、それへの答えを見つけるために読む本でもないし、作者も廃絶を流布する手段として著したものではないことも明白な作品だ。

なぜこんなに一気に読了させるほどこの作品は魅力的なのだろうか・・・。
もちろん、加賀氏の筆致・構成などなど作家としての素晴らしい力量によるところもあるし、
精神科医としての専門家的視点で描かれた迫力もある。
だが、それだけだろうか。
多分に、犯した罪・その被害者の唯一の仕返しともいえる死刑求刑とその執行までの恐怖、
その未知の世界を読み手が追体験させられるからだと思う。
人間とはこんなにもか弱く脆く浅はかなのかと痛感する。
そして、だからこそ人は愛おしい。
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No.2:
(4pt)

死への恐怖

死を待つ恐怖とは人間を狂わせてしまう程、苦しい事ということを知りました。死刑と言葉にしてしまうのは簡単ですが、死刑囚も私と同じ人間で苦しみがわかる人間だということを再確認しました。
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No.1:
(4pt)

死刑宣告を受けた青年の苦悩

を見事に描かれていると思います。
作者は実際に刑務所で勤務医をしておられ、死刑囚ともやりとりを交わした事があるようであることから
実際の体験が色濃く描かれて居るようです。
中公新書の「死刑囚の記録」にモデルとされる死刑囚が何人も出ています。

この上巻では、主人公の獄中での様子(主に主人公の周りの人間の経緯など)が書かれています。

補足ですが、この作者は死刑廃止を訴えている方だということを頭の片隅においておくとよいかもしれません。
死刑廃止論を忘れてこの小説を読んでも全く問題はないですが、
最近死刑問題を巡る論争(とまではいかなくても、マスコミなどでよく取り上げられているので)
があるので、念のため。
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4861829046

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