加賀乙彦長篇小説全集 第三巻 帰らざる夏
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加賀乙彦氏の死亡記事をきっかけに、本書に手を伸ばすことになった。 太平洋戦争関連の作品はフィクション、ノンフィクションを問わず大量に読んできたのだが、幼年学校や士官学校の生徒たちが、終戦前後をどのように過ごしたか、は盲点だった。日本の無条件降伏は、思春期の、とりわけ思慮深い少年たちにとっては想像し難い出来事だったに違いない。もう辛い訓練をしなくてよい、と単純に喜んだ者や、生きて国を再建すべしと考えた者、主人公のような選択をする者、いろいろな生徒がいて当然だと思う。幼年学校出身の著者が身近に接した同窓生、先輩、後輩、教官らが作品のベースになっているはずだから、描写も実にリアルでとても説得力がある。 厳しい訓練だけで語られることの多い幼年学校だが、考えてみれは思春期の少年たちだけが心身ともに密な接触をする閉じられた空間である。英国のパブリック・スクールなどの寄宿制男子校を舞台にしばしば描かれてきた、少年同士の恋や憧れが、幼年学校にあったとしてもそれは当然のことと思う。この点も内部出身者の著者でなければ描けなかった世界だろう。10代でこのような生を全うするならば、過酷な彼らの人生に少しでも甘美な時間があったことを知って、読者はむしろ少し慰められた気がする。 とても辛い時代だったはずだが、自然や風景、すべての描写がどこまでも美しく、著者の作家としての力量には唸りました。作品自体が、著者からかつての仲間たちへの、そしてすべての英霊たちへの鎮魂歌なのだ。合掌 | ||||
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戦前の軍国主義と戦争にあけくれる不穏な時代に生まれ、閉鎖的で特殊環境=陸軍幼年学校で当時の価値観を洗脳されてしまった主人公と合瀬を交わす、年上の先輩との出会いはやはり運命だったのかもしれません。 この物語は、大戦末期~終戦に至るまでの陸軍幼年学校の生徒であったまだ幼い少年たちの生活記録と風物詩と、そして現在ではすでに滅んでしまった、蒼穹な男性同性愛=「衆道」の世界を華麗に描いております。 (「衆道」とは、相手と1対1、お互いに殉教を義務づける、武人の恋・侍の恋と言われた日本古来の男性同性愛の事です。現在のゲイの世界とは違います。) 流行のボーイズラブ系の軽い小説や漫画に慣れ親しんでいる方には、文章や内容が重厚で難しいかと思いますが・・ これは、崇高のボーイイズラブ=同性愛小説でもあります。ゆっくりとあせらずお読みください。 性愛についてはこの小説のテーマではないので、あくまでも物語の本流の一部分として、抑えめに綺麗に描かれています。個人的にはこの本が発表された年代を考えると、まだあまり過激な少年同士の性描写は描けなかったのだと思います。 映画化をするのなら、性描写の方も隠さず表に出して表現してほしいです。なぜなら物語の中核は主人公の同性愛が大きな役割を果たしているからです。男女の行為があれだけあけすけに、過激に表現されているのに、同性愛に関してはあいまいに・控えめに表現というのもおかしなものです。期待しております。 | ||||
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「少年の心」や「大人たちの責任」など、色々考えさせられる物語でした。 古風で読みづらい文章ですが、先が気になりどんどん引っ張られました。読んでるうちに三島由紀夫を思わせるものを感じましたが、執筆中にあの事件が起こり、描こうとしていた事が似ていて影響を受けたそうで‥そんな前の作品だったんですね。 戦争ものでは今まで出会わなかった目線の作品で衝撃的でした。 | ||||
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戦争関連の小説だということで興味を持って手に取ったのですが、これは当時起こった様々な事件の際の青年将校やらの心情を理解するのに大変役立つものだと思います。今時、学校教育や日常生活の中で正確にあの当時の人々の心情や状況を語られる人がほぼ居ないなか、実際に陸軍幼年学校生徒だった経歴を持つ作者のこの本は、歴史的証言だと言っても良いのではないでしょうか。 話しの流れはとても自然で、解説でリービ英雄さんも書かれていますが、アメリカ人ですらこの本を読めば、日本軍人になることがどういうことかを質感として体感できる、そんな本です。 少しでも興味を持った方は是非とも一読をお勧めします。 | ||||
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ただ、こんな時代があったことを伝えかったのではないでしょうか。 時間をかけて刷り込まれた"お国のために"という精神を一瞬で覆されるのです。 素直に受け入れることなんて出来ないでしょう。それでも周りはそれぞれに生きる道を見つけていきますが主人公は結局、それができなかった。 この話のように戦争によって間接的に命を落とした方はたくさんいただろうなと感じました。 | ||||
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