加賀乙彦長篇小説全集 第四巻/五巻 宣告
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面白い! | ||||
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お気に入りの 本が 身近に あることが 大変 うれしく スマホが 愛しくなりました | ||||
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複数視点からの重層的な小説。ナレーションの多彩さで飽きさせない。 | ||||
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梱包、納期期限、本の状態全て良し。 | ||||
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以前から気になっていた作品であったが、分厚い文庫本3巻という質量の大きさになかなか手が伸びずにいた。 ところが今回思い切って読み始めてみると、意外に一月足らずで読み終えてしまった。休日のリビングで、通勤電車の中で、この小説が手放せなくなってしまったのだ。 主人公楠本他家雄は、昭和29年、所謂「バー・メッカ事件」の犯人、正田昭をモデルとしていて、東京拘置所に死刑確定囚として収監中に、当時精神科医官として拘置所に勤務していた加賀が実際に何度も接した人物だ。 正田は東京拘置所収監中にカトリックの洗礼を受け信者になったのだが、後に加賀も正田の影響でカトリック信者となっている。 加賀自身も「死刑囚の影響でカトリック信者になった」ことを正直に語っている。 この作品を私が知ることになったきっかけも、遠藤周作の著作を読み進めているうちに加賀の名を知り興味を持ったこともあり、私にとってこの作品はキリスト教文学のひとつである。 文体は非常に精緻で、精神科医としての経験に裏打ちされた心理描写の巧妙さには舌を巻く。 ところが、私が文学作品で最も大切だと考えている、神との向き合い方や、信仰の捉え方に、どこかよそよそしい、理性の勝った印象を受ける。 もともと加賀の文体は非常に固く、また専門的な心理考察も多いので少し近寄りがたいのだが、この作品の一番中心の核となる部分に何か読者と打ち解けない、殻に閉じこもったものがあるような気がする。 実は、加賀は「宣告」執筆当時まだカトリックの信仰を受け入れていなかった。 そのことを加賀自身が語っているインタビューを見たことがある。 遠藤周作に「君、無免許運転はいかんよ」と言われたと言う。 無免許運転とは如何にも遠藤らしい表現だが、この作品のもつ、神や信仰に対する「よそよそしさ」や「理性的な」性格を遠藤は鋭く見抜いていたのだと私は思う。 そして、この作品中でも、主人公楠本他家雄の信仰は「理性の信仰」「頭の信仰」として批判される。 私はこの「理性の信仰」批判は、作者自身の内的葛藤ではないかと思う。 死刑確定囚と拘置所医官。いわば全く立場の違う2人の人間が相対して、心の底から自らを神に委ねることのできない人間の哀しさを私はこの作品に見た。 発表当時は、主人公が死刑確定囚という作品の性格上、死刑廃止論との絡みで語られることが多く、非常に社会的な見方をされていた本書であるが、主人公と作者自身、神から離れた人間が再び神に近づこうとしてもがく哀しみの物語だと私は思う。 | ||||
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