加賀乙彦長篇小説全集 第三巻 帰らざる夏
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種別
長編
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評判
加賀乙彦長篇小説全集 第三巻 帰らざる夏の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク
加賀乙彦長篇小説全集 第三巻 帰らざる夏の総合評価:
8.29/10点 レビュー 7件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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太平洋戦争関連の作品はフィクション、ノンフィクションを問わず大量に読んできたのだが、幼年学校や士官学校の生徒たちが、終戦前後をどのように過ごしたか、は盲点だった。日本の無条件降伏は、思春期の、とりわけ思慮深い少年たちにとっては想像し難い出来事だったに違いない。もう辛い訓練をしなくてよい、と単純に喜んだ者や、生きて国を再建すべしと考えた者、主人公のような選択をする者、いろいろな生徒がいて当然だと思う。幼年学校出身の著者が身近に接した同窓生、先輩、後輩、教官らが作品のベースになっているはずだから、描写も実にリアルでとても説得力がある。
厳しい訓練だけで語られることの多い幼年学校だが、考えてみれは思春期の少年たちだけが心身ともに密な接触をする閉じられた空間である。英国のパブリック・スクールなどの寄宿制男子校を舞台にしばしば描かれてきた、少年同士の恋や憧れが、幼年学校にあったとしてもそれは当然のことと思う。この点も内部出身者の著者でなければ描けなかった世界だろう。10代でこのような生を全うするならば、過酷な彼らの人生に少しでも甘美な時間があったことを知って、読者はむしろ少し慰められた気がする。
とても辛い時代だったはずだが、自然や風景、すべての描写がどこまでも美しく、著者の作家としての力量には唸りました。作品自体が、著者からかつての仲間たちへの、そしてすべての英霊たちへの鎮魂歌なのだ。合掌