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船に乗れ! III 合奏協奏曲
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船に乗れ! III 合奏協奏曲の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 21~24 2/2ページ
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“未来から過去に声が届いたことはかつてなく、ここで今の僕があの頃の僕に何をいってもはじまらないが、それでも僕はあの頃の僕に向かっていいたい。”(2 独奏より) 青春小説ということで、ライトノベルのような作品を想像していたが、実際はどっしりと読み応えのある作品であった。 特に、主人公・津島サトルの音楽に対する自信や不安・恐れ、そして恋心など、青春時代特有の瑞々しくジリジリする心の動きが本当に見事で一気に惹き込まれる。 読んでいる間中、津島サトルと一緒になって胸がジリジリし通しであった。著者の筆力に感服した。 今、大人になってそれなりに幸福な生活を送っているとしても、あの時に「失ったもの」はもう二度と戻らない。 何十年経とうと変わらない生々しい傷。 そういうものを読者の胸に刻みつける作品。 後世に残るであろう傑作です。 | ||||
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第1巻の淡い恋心(でも、そこには影があった)に自分の過去を思い出し(笑)、第2巻の (予想以上の展開に)胸を苦しめられ、且つ考えさせられました。 そして、完結編となる第3巻が満を持して登場。 今まで、小説で楽しんだり、考えさせられることはありました(と言っても、読書量に 占める小説の割合は低いです)。この作品も「音楽とは何ぞや(これはメインでは無い)」 とか「人生とは何ぞや」をエンタメと言う包みに包んで読者の目の前に持って来ます。 でも、それだけでは無いのです。 主人公の様な体験は、現実に置き換えてもレアなケースでしょう。でも、それがもたらす 結果というのは、多くの人が通って来た道、いや、今も通っているのでは無いのでしょうか? 主人公の体験に自分の経験を重ねる・・・それ故に自分の痛み、他人の痛みが、ページを めくる手や文字を追う目から伝わって来ます。 詳しくはネタばれになるので書けませんが、一見、何を意味しているのか?なタイトルも そこらへんを・・・しています。 その結果・・・イイ歳したおっさんですが・・・泣きました。登場人物のそれぞれの想いが −作中で登場する音楽のように−それぞれによって奏でられ、そしてそれはアンサンブル= 分かり合えることもあれば、そこに至らず・・・なこともあるのです。そこら辺をお茶を濁す こと無く正面から堂々と描いています。それに故に涙腺を刺激したのです。 読破後、私の中に湧きあがった感情は何処までも広がる切なさでした。しかし、その切なさ ゆえに、本作は読者の心に響くと思うのです。 そう、舞台は作りごとでも、中身は自分が通って来た道だから・・・ 附:作中に登場するクラシックの各曲。確かに知らなくても、知っていた方がより楽しめる のは事実です。それに藤谷氏の筆運びが上手い。知らないなら知らないで「どんな曲か?」 と聴きたくなるのですから。 | ||||
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日本では年間約7万点の書籍が刊行されているという。 出版不況が引き起こした洪水のようなものだ。 新刊サイクルの流れはますます早くなっていく。 このうねりに酔いながらも、 駄作、良作、読まなきゃわからないものにお金と時間をかける。 そんな読書の航海がやめられないのは、 まさしく本書のような傑作に出会えるかもしれない、と思うからこそだろう。 1,2巻があまりに面白かったので、 意味もなく心配してしまったが、 文句のつけようのない見事な完結編。 | ||||
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巻を措く能わず、つまり読み始めたらやめられない。今、この本を1巻からまとめて読もうと思っている人はラッキーですね。2巻からずっと待たされてきたこちらの身ときたら!Webの連載ページで読もうにもいいとこで終るし。いやあ、待った待った。待ちくたびれた。 1巻を読んだところで藤谷治の最高傑作と確信。2巻を読み終えて、2009年読んだ小説のベストに決定。今、3巻の最後の行を読んで言えるのは、日本における青春小説の古典がひとつ生まれたということ。 音楽をテーマにした小説の例えに野球を持ち出すのもなんだが、割と変化球の得意な器用なピッチャーというイメージのあった作者が、今回は最初からストレートを投げてきた。2巻のラスト辺りは「何もそこまでクソ真面目にストレート一本でいかなくても…。いつもの軽妙なタッチに逃げればいいのに」とも正直思った。だからこそ3巻は不安だった。制球が乱れるのでは?肩が壊れるのでは?ここまで来たら最後までストレートでいって欲しいが、最後の最後で変化球に逃げるのでは? しかし作者は最後まで投げきった。不器用なほどにまっすぐのそして重い球を。村上春樹タッチも無し。メタ展開も無し。現代の小説界には不似合いなほどどっしりとして大柄な風格を持った小説が誕生した。 もしかするとこの小説を古めかしいと感じる方もいるかもしれない。古めかしいんじゃなくて、ヘッセやツルゲーネフなんかの古典の薫りがするんだと思う。だからこの作品は10年後、20年後も読み継がれるだろう。 | ||||
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