第四の核
評判
第四の核の評価:
4.13/5点 レビュー 23件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全43件 21〜40 2/3ページ
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第四の核の評価:
4.13/5点 レビュー 23件。 B ランク
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日本語のタイトルである第四の核というのは、原子爆弾、水素爆弾、中性子爆弾に次ぐ第四番目の核爆弾を指していた。携帯できる小型の核がそれだが、テクノスリラーの代表例という記憶がある。この後ネゴシエイターが書かれるが、それも冴えていた。最初にダイヤモンドの盗難事件が描かれるがこれがどうやって本題に繋がるのか完全に忘れていて今読んでも楽しめた。フォーサイスの英文は時に非常に難解なイギリス英語だ。事件の舞台もイギリス。
本題から外れるバイストーリもそれなりに興味があるが、どうでもよいと思われることに細かい描写が続く。
この本もテキストが複数あるようだ。ソ連に亡命した大佐が長文のレポートを書記長に提出するのだが、原書の方は極端に短くなっている。もちろんこの方が読みやすいのだが、ちょっと拍子抜け。鉄の女マーガレットサッチャー女史が実名で登場するし、ブレジネフ、アンドロポフやチェルネンコといった名前も登場するが時代がややずれているように思えた。この本に描いているのは1987年という想定だ。確か下名が在学中にブレジネフは没し、新聞に「強運アンドロポフ氏」とでかい記事が出ていたのを覚えている。面白いのは日本の佐々淳行氏がMI6長官の浅間山荘事件の回想とともに出てくることだ。何故か舞台が大滝根山になっているのだが。
The Fourth Protocolという表現だが、ソ連の書記長がイギリス政府転覆計画を吟味している時にメンバーの一人が国際議定書である「核不拡散条約」に反することを明言したものだ。これが第4の議定書という題名につながっている。
フォーサイスの本領発揮だが、3分の一ぐらいのところでプレストンがアフリカの外交官の過去を調査する話についつい引き込まれる。ほとんど無しに等しい些細な手がかりを元に徐々に調べが進むが、枝葉のエピソードであるにも係わらず非常に面白い。ひょっとしたらこうしたストーリテリングがフォーサイスの魅力か。
ソ連のKGBのカーポフ将軍がオーロラ作戦を探る際にバターを飲み込んで酒に耐えるシーンは自分でも酒の席での経験で実感したものだ。この本で知った知識だったことを思い出した。
次の盛り上がりは、潜入した東側の工作員をプレストンが追跡するところで、イギリスの地図を見ながら列車で長距離移動を追った。他のクーリエがが全く危なげなく部品を運び込むのに対しこの工作員は無様に追跡を許したが最後のところで捜査員を撒いてしまう。しかしプレストンは食い下がり遂に埋覆の家を発見するところは一気に読んでしまうこの本の中にいくつかあるクライマックスだ。
しかしプレストンの努力もむなしくすべてのクーリエはペトロフスキー少佐のところに集まり、小型原爆は完成してしまう。いったいプレストンが追跡して見つけたギリシャ人兄弟は囮なのか?最後にきてギリシャ人の役割がわかる。今まで何度も登場していたのだが、明記されていなかったのだった。このチェスターフィールドの捕物では、グーグルの地図を見ながらプレストンの捜査過程を追認してみた。さらにペトロフスキー少佐の本拠であるイプスウィッチまで追跡するところも。途中セフィールドで二輪を乗り換えることで追跡者は撒かれてしまうが、偶然にもペトロフスキー少佐の行動を具現する立場の反戦デモによって再び発見される。このプレストンという男は随所で大胆な行動を見せるのが隠れた魅力だ。ポロニウムのディスクをホームセンタで購入したワッシャとすり替えたり、チェスターフィールドで追跡のためにバイクを強奪したり、追跡車を横倒しにして事故に見せかけたりする。すべて重要な行動なのだが、こういうところは作者のフォーサイスの分身なのか、うまく作品に溶け込んでいる。
そして、KGBのカーポフの動き、東側の二重スパイの偽情報はどのように関係していくのか。最後の30ページになると目も離せない。そして、カーポフの謎は氷解し、突入直前にリンドバースト大尉に掛かった電話の謎も解ける。実に巧妙に組み合わさった寄木細工が最後になって全貌を見渡せるようになる。最後の一撃も強烈。