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応えろ生きてる星
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応えろ生きてる星の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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破天荒な女性たちに振り回される話だ。その奔放さに魅力があり、彼女たちの謎や秘密に引っ張られて、ぐいぐい読み進めてしまう。 しかし、ただ単に自由に生きているわけではないことも分かってきて、そこのところをどう評価するかが、本書を好きになれるかどうかの分かれ目になるだろう。 苦しみを乗り越えて、また生きていくことの意味を教えてくれる1冊であった。 | ||||
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と書くと「ノルウェーの森」みたいなのを想像しますが、全く違います。 物語の本質は「再生」。人は何度でも生まれ変わることができる。何度失っても、何度でも生まれ変われる。 作者の小説はタイトルが長くて、内容がイメージしにくいものが多いのですが、これは割とストレートに中身が表現されていると思います。(それでも読んだ人しか分からないものではあるけれど) 最初から最後まで読み手を惹きつけて飽きさせない。そして、読後には爽やかな後味が残る。 他の作家にはない独特の世界観と文体で一気に読ませてくれます。 若者が主役となる青春小説としても読めますが、実は年齢に関係なく普遍的なメッセージを持っている優れた小説だと感じました。 週末の読書にお勧めします。 | ||||
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久々に作者の作品を読みました。グイグイと物語に引き込まれ時間を忘れて読みふけってしまう。コミカルな展開から一気に加速して物語の本題に、そこにいき着くと怒涛のラストスパート。ただ今回は前半が少し冗長な気がします。 テーマは過去の自分を許して前に進むこと。あの失敗があってこその今の自分と思えるようになること、そして他人の失敗を許せるようになること。ですかね。 面白かったです。 | ||||
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問題を抱えた主人公とヒロインが同じ目的に向かって共闘するという、とらドラ!とよく似た構図だけど、主人公の気持ちの変化や魅力的なヒロインの描写は、さすが竹宮ゆゆこ。ヒロインの背景にもう少しひねりが欲しかったけど、十分満足できます。 | ||||
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入籍を目前に控えた主人公の廉次は、ある雨の日にびしょ濡れ姿で現れた朔と2週間「カップルのふり」をすることになる。過去に負い目を感じながら生きる2人は、共に過ごす非日常を通して一人では耐えきれなかった重さに折り合いを付けて生き返り、再び輝くことへの希望を見出してゆく。 特別さはなくても、回り道を繰り返しても、どこかで輝きは見つかるんだと感じさせてくれる一冊でした。 著者の竹宮氏は「とらドラ!」等のライトノベル作品も手がけられており、心情・行動描写(心情描写の一部としての主人公の自分語り、ネット文化を取り入れた記述等)や会話にその要素が散見されます。そのため、ライトノベル作品に慣れていない場合は、まどろっこしさを感じるかもしれません。 | ||||
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自分は同著者の『わたしたちの田村くん』がとても好きなんですが、ヒロインたちだけでなく主人公の田村くんの青さ、無様さ、でもいざというときに走り出せる力がたまらなく気持ちがいいのですが。今回のこの作品もそれと同じように、ある人物に対して主人公が口にする言葉に圧倒されます。著者のひさびさのド直球に痺れます。 | ||||
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死ぬに等しい心の傷を負った人が、同じような人と会い、相手を思うことで支え合い、過去を噛みしめた上で、新たな愛を生み出し、共に生き返っていく、美しく力強いラブストーリーです。私にとっては2017年のベストかな。 久田廉次は結婚披露宴代わりの両家家族昼食会で、婚約者の満優に男と逃げ出されてしまいます。茫然自失の廉次に対し、見知らぬ女が婚約者を取り戻す作戦を提案してきます。 こんなドラマチックな設定の先に起承転結があるのですが、奇をてらうようなどんでん返しはなく、ストレートに読み進められます。謎の女、織滝朔の狙いは序盤で推察できるますが、読者はすぐに彼女の魅力に飲み込まれるはず。中盤からは全力疾走。彼女の隠していた真の苦しみが判るのは3/4も過ぎたところ。全編にわたってダレずに疾走するので読んでいて快感です。優しい涙も二人とご一緒できるでしょう。 廉次も朔もそれぞれに相手に影響されながら、自分のとっても残念な失敗をはっきり自覚した上で、他人の評価で自分を判断するのを止め、自分を自分で責任をもって評価する独立した魂へ脱出していきます。 一番緊張したのは廉次が満優と再会したところです。ここで、傷を受けた者だけでなく、傷を与えた側も傷ついていること、両者に等しく再生の可能性が示されている点、何度でも再生できるとうたっているのが、この作品の素敵に温かいところです。 宇宙の話がベースに置かれています。廉次が、真空の中で寂しい星の世界、星の死やブラックホール化、星の誕生といったものを、考える時のフレームワークにしているのがイメージとしても分かり易く、とても美しい。 今回のタイトル「応えろ生きている星」は著者の最近作の題名と比べて分かり易く、廉次と朔の互いへの呼びかけであり、作者の読者への呼びかけなのだと思います。 「愛」という言葉を廉次は相手に対し使っていません。作者は彼の、彼女の思いを、そんな使い古された言葉でまとめたくないからだと思います。だからこそ、愛を感じたい人はこの小説を読むべきです。勇気がもらえるでしょう。 | ||||
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「わたしたちの田村くん」の相馬。 「とらドラ!」の櫛枝実乃里。 「ゴールデンタイム」において半端に終わってしまった主題だと、わたしが認識していたもの。 これらが救われる、救われたのが本作だと思いました。 シリウスβとはなんだったんでしょうね。それを特定の作品に当てはめるのは穿ち過ぎでしょうか。 ゴールデンタイムはタイトルを四季に合わせて巻を重ねていっていましたが、ようやく本作でひとめぐり、春がきました。 選ばれなかった者でも、決定権を与えられなかった者でも、喪うしかなかった者でも、前へ歩き出せる、砕けた星を集めてまた蘇らせることが出来る。 わたしは本作でようやく竹宮ゆゆこ作品でぐるぐる回転していたものが一応のゴールを見たように感じました。おもしろかった。このひとは巻数をたくさん重ねないほうが、いいのかもしれない。 | ||||
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何かに間違えてしまったとき、どうしようもなくもがいているとき、もうダメだと思うことがあったとき、この本は、そんな全てを受け入れて、背中を押してくれる力になるはずです。 竹宮節も相変わらず炸裂しており、途中で一部ついていくのに苦労する描写もあったものの、テンポよくページをめくるのに一役買ってくれてます。 とらドラ、ゴールデンタイム以降の一般向けの5冊の中で、一番幸福な読後感でした。 | ||||
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新潮社と文芸春秋社から交互に本を出す様になっていよいよ「一般文芸の人」のイメージが強くなりつつある竹宮ゆゆこ。 今回もまた寂しさを抱えた男女の出会いから始まるドタバタ調のロマンス。 毎度毎度ぶっ飛ばしたドタバタ劇で読者を楽しませてくれる「ゆゆぽ節」は健在。 というか今回は冒頭からアクセル全開といった調子でぶっ飛ばしている。 冒頭、一か月後に結婚を控えた男・廉次が行きつけのバーで一杯引っ掛けている所に ずぶ濡れの上に裸足という尋常でない姿の知らない女が現れたと思ったら強引にディープキスをしてくる場面から始まるのだけど、 ここはまだ入り口に過ぎない。 挙式を間近に控えて両家の両親を交えての食事の席に突如テラスの向こうから婚約者の満優を呼ぶこれまた見知らぬ男が登場。 なんと大人しい女性だと思っていた満優は椅子でガラスをぶち破って外に飛び出し、その男と熱烈なキスを交わすや逃亡。 嫁になる筈の女性が逃げ出した事で両家が大騒ぎとなった結果、ボロボロになった廉次が溜池山王のオフィスに ステテコ(しかも下はノーパン)にサンダルという姿で出社してしまう所まで物語は一気に突っ走ってしまうのである。 私見を申せば「つかみ」の弱い小説・漫画・映画は駄作だと思っているのだけど、この作品の「つかみ」の強さは尋常じゃない。 掴みも掴みまくり、「花山薫か!」とツッコミを入れたくなるぐらいの超握力で読者を引き込むとんでもなくパワフルな冒頭である。 こんな出だしだから物語はほぼ全編に渡ってドタバタ劇をベースに進行する事になる。 傷心の廉次を再びバーで待ち受けていた謎の女・朔が持ち掛けてきたのは廉次が会社から貰った二週間の休暇の間、 毎日デートして「最高のカップル」している姿をSNSに上げていこうという提案。 朔の正体も分からないまま廉次はオシャレな飲食店やインスタ映えするスポットを練り歩く事に。 残り一日となったある日、電車の中で不審な男を見た事を切っ掛けに朔の後をつける事になった廉次は朔の意外な正体を知ってしまうが… というのが物語の主な流れ。 竹宮ゆゆこの作品はいつもそうなのだけど、今回もまた寂しい寂しいと叫び続ける男と女の出会いから始まるロマンスであり、 孤独の中で停滞していた二人の人生が再始動するまでを描いている。 親族が経営する会社に完全なコネ入社で潜り込んで働いている廉次の過去は打ち切りを食らって描けなくなった元漫画家。 芸大生していた所を編集者に誘われて描いた漫画がマニアに受けた所からホイホイ調子で順風満帆な漫画家人生を送れると思っていたら 最高傑作と思って描いた作品がメディアミックス企画でコケて、順風しか経験してない弱さもあって再起できなくなったという どうしようもなく情けない過去を持っている。 そんな惨めな過去を「封印」して、無かった事の様に振る舞い会社員として働き始め、 満優という婚約者も得て再び順風な人生を…という「振り」をしていたというのがこの話のミソ。 物語が進むにつれて「コケた漫画家としての過去」という傷に絶対に触れられまいと一線を引き、 結婚に纏わる全ての決断を満優任せにして自分では何も決断せず、責任から逃げまくっていた廉次の情けなさが、 駄目な自分を晒さないまま自分の人生に「まる」を付けてくれる装置として満優を一方的に利用してきた姿が浮き彫りにされる。 この辺りのダメ人間が触れて欲しくない傷に手を突っ込んでバリバリ引き裂く竹宮ゆゆこの情け容赦なさはご期待通りと言うか… 物語の後半で「地面に落ちている石ころは死んで落ちてきた星」と思って空に投げ返してきた女・朔の素性を知った廉次が その生まれ故郷に向かってからの疾走感は実に心地よい。 男と逃げた満優を待って、スゴスゴと帰る羽目になった羽田空港で飛行機に飛び乗るや、タクシーに汽船と陸海空を制覇して 辿り着いた瀬戸内海の島(作中に並べられたヒントから察するに真鍋島?)で 自分と同様に人生を踏み外して足踏みをしていた朔を「失敗作」扱いしていた朔の父親と対峙する所まで「一気」である。 「触れられたくない人生の傷」を隠し持っていた男女が出会う事で愚かで弱くて向き合うには辛すぎて「封印」してきた 過去の自分を許し、前に進み始めるまでをお約束のドタバタ劇の中で見事に展開してみせた竹宮ゆゆこファンが 「これこそ待ち望んでいた物!」と大喜びする様な一冊であった。 ……けど、さすがに「とらドラ」「ゴールデンタイム」の電撃文庫時代から一般文芸進出後までずっと 「辛い過去を背負った寂しい男女が出会って始まるドタバタ調ロマンス」なのはどうなんだろう? さすがにファンとしても新しい趣向の作品を待ち望んで良い頃なんじゃないだろうか? 「ご期待通り」の作品を提供し続ける事が簡単な事ではない事ぐらいは分かるし、それはそれで大した事なのだけど、 もうそろそろ「竹宮ゆゆこはこんな作品も書けるのか!」とファンを刮目させる新機軸をお願いしたい。 | ||||
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