クォンタム・ファミリーズ
評判
クォンタム・ファミリーズの評価:
3.71/5点 レビュー 31件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全16件 1〜16 1/1ページ
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クォンタム・ファミリーズの評価:
3.71/5点 レビュー 31件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
しかし、それを語って聞かせようというのが、小説的試みになるのかと思う。
筆者は、現代思想批評で名を馳せる論者で、本作にもその豊富な知識が援用されていて、おもしろく、
パラレルワールドという陳腐なSF設定をアカデミックな理論構成で説明してやろうという企みは、通常の
作家にはないもので至極意欲的だが、恐らくそこは成功していないだろう。
それよりも性(倒錯的)や暴力、家族に関わる描写がよく、旧来的な作家的作文と思えるような部分が
引き立っているのが、不思議なくらいだが、なるほど文中に言及されるPKディックや村上春樹はもとより、
中上健次、村上龍、大江健三郎などの作例がそこここに感じられて、これは筆者の文学に対するオマージュにも
成っているようだ。 対して現代思想を用い、小説の大体を構成しているSF部分は、当初から破綻含みの結末を
覚悟の上で描かれたものかと思う。援用される現代思想は、既に自らの過ちを認め、その終焉を宣言されたとも
言われており、筆者は、正直にこの状況を反映させながら、小説自体も(不可避的に)躓かせてしまっている。
いずれにしても豊かな内容の作品で、本作の重要なモチーフのひとつにウィトゲンシュタインもあるかと思う。
その著書『哲学探究』のなかで、
「家族的類似」とは、ゲーム」(独: Spiel)という語をとりあげ、「ゲーム」と呼ばれている全ての外延(対象)を
特徴づけるような共通の内包(意義)は存在せず、実際には「勝敗が定まること」や「娯楽性」など部分的に
共通する特徴によって全体が緩くつながっているに過ぎないことを指摘し、これを【家族的類似】と名付けた
wikiより
では、【家族】というものは、畢竟、【家族的類似】なのだろうか?? _こんな問いが胸を突きます。
本作にこうして穿って伺えるよう、現在は、多くの意味で哲学思想の転換点に差し掛かっているようで、
西洋に於いて神学が科学へと成り代り、現代文明の成果をその思想より工学に見よう筆者には、共感したい。
人間存在が科学されて行ってしまう昨今、現代人の不安は尽きないのだけれども、しかしやはり家族とは、
唯一無二の現実であり、本作にも日常的な倫理感性を伝える終章にそのことが実感されるので、どうかご安心あれ。
哲学の終焉を越えて尚、語りえぬものについて語ってみせる行為(小説)とは、何よりもまず現実によく試練され
ながら再び組み直されてゆく思想(創造)の機会であり、それは安易に権威化するような象牙の塔には成りえない。
そういうことを眼目としながら、筆者も小説という表現を試したような気がするし、それならそれで新しく、
賢明で果敢な対応であると思う。
本作評価は、☆三つでご勘弁。
探究(1) (講談社学術文庫)
論理哲学論考 (岩波文庫)
精神と物質―意識と科学的世界像をめぐる考察