ひらいて
評判
ひらいての評価:
3.76/5点 レビュー 59件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 41〜44 3/3ページ
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ひらいての評価:
3.76/5点 レビュー 59件。 B ランク
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出だしはこのような感じです。「それがおまえの笑顔か! 乏しい!」と、怒っているといえば怒っているのですが、なぜか台詞が批評の域に昇華していらっしゃる(笑)
この後に続く四行のセリフが練りこまれてます。戯曲か! というくらいに練りこまれ過ぎています(笑)
読者は舞台袖で役者さんの、素晴らしい演技を鑑賞しているのに近い感覚を抱くでしょう(笑)
主人公の愛さんは、この後にたとえ君から、人種的な括りで壮大な一喝を受けます。若さ故の過ちとか、そのような考慮は断じてなされずに、積年の恨みを込められた、天敵扱いの形で否定されます(笑)
それはともかく、怒られて傷ついた愛さん、学校の図書室でワイルドの戯曲サロメを読み、預言者ヨナカーンを憎んでいるサロメさんの取った行動から、自分を省みるんです。それは偉いと思います。しかし、愛さんはそのようなサロメの一節と、自分を重ね合わせるような、知的な文学少女キャラではないんです(笑) 虚構内の愛さんは、行動力だけが強調されていますからね(笑)
この小説は作家の角田光代が「まるで詩で紡がれた」などとお茶を濁していましたが、演出家の綿矢りさ本人がキャラクターの造形を歪めてまでも介入してきます(笑)
作品が詩で紡がれたせいか困ったことも起きます。糖尿病の美雪さんに、愛さんはたとえ君の「声」に最初に惚れたのだと話します。冒頭の朗読のシーンでたとえ君が、プリントを声に出して読み終えたあとに、愛さんは彼に完全に占領されたと確かに書いてあります。その後の十行くらいで、彼の声が過剰に誘い、その過剰さは悪だの退廃だのと連想していき、禁忌なものだと考え、いやいや怯えずに走ったろうと思い直し、熱いやじりが彼の方へ引き寄せられるという心理描写に行き着くわけですが、抽象的な語とか概念を並べて詩的に熱くなっちゃった! おかげで、肝心の「声」が、ぼやけて飛んでいっています(笑)
キャラクターとしては美雪さんが秀逸です。インスリン注射を打ちつつ、プラトニックな手紙を作中で何度も開陳され、わけのわからない愛さんの求めに応じ、たとえ君と一緒に上京する予定と、八面六臂です(笑) 面倒な事は全部、美雪さんに押し付けられた感があります(笑)
本作品の出来が良いとは思いませんが、味わってみても損はないと思います。一日で読めます(笑)