ひらいて

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評判

ひらいての評価:

3.76/5点 レビュー 59件。 B ランク

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平均点3.76pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全44件 21〜40 2/3ページ
No.24
(3pt)

愛情というエゴ

決してリアリティがある設定ではないけども主人公「愛」の心の奥の奥をえぐりだす展開は綿矢さんのオリジナリティがあふれていて引き込まれる部分がありました。いろいろな伏線らしきものはありますが特に気にしなくてもいのかな。彼女の世界観は好き嫌いが分かれるのも分かる気がします。
ひらいて Amazon書評・レビュー: ひらいてより
4103326212
No.23
(3pt)

可哀想

途中まで面白かったが
愛が可哀想になってきて
著者の考え方に共感できなかった。
ひらいて Amazon書評・レビュー: ひらいてより
4103326212
No.22
(3pt)

しつけて。

まるで、幼く身勝手な作家自身でもあるような主人公。この女性を犯罪者にしないために「小説家」の肩書を授けたのは慧眼だったかも知れない、とさえ思えてしまう。

が、どうやら実際は「まるで他人ごとのようなふりをして、本も出した」(「履歴の無い女」『文學界』2015.1., p.99)うちの一冊に過ぎず、そうした「履歴」は結婚を機に何のみれんも無く捨てることができた作家はかつて「自分と遠いと思っていた、どこか別の世界の女たちと思って見ていた、夕方のスーパーで家族分の食料をそろえる彼女たち…」(同, p.101)という眼の高さでこの『ひらいて』も書いたのだ。
「…自分のことしか考えてな」(同, p.105)いことを作中でも(再三)主人公に自省させ乍ら、今も主要テーマは「私の居場所」(同, p.107)らしいこの作家はまた、「いままでの自分の生活に、プライドはないのか、と……。いや、ブライドっていうのとは違うな、でもうまく言葉が見つからない」(同, p.102)と自問したりもするけれど、これからは「やみくもに、自分本位に、あたりをなぎ倒しながら疾走する」主人公の気持ちだけでなく、それによって傷ついたひとの気持ちもきちんと描いてくれるだろうか。

『ひらいて』の主人公・愛のような子がいたら皆が迷惑するけれど、皆が未成熟な「学校」に限ってはそれも許される。これからの作家のテーマは、この子をどう躾けるか、だろう。
ひらいて Amazon書評・レビュー: ひらいてより
4103326212
No.21
(1pt)

面白くなかったです

だんだん綿矢さんのかく作品が
面白くなくなってきた…と
思っていたら、やっぱりその
気持ちは今回の本で固まりました。

性描写ばっかりで面白くも
なんともなかったです。
ひらいて Amazon書評・レビュー: ひらいてより
4103326212
No.20
(3pt)

男には分からないんでしょうね。

思春期の女子の自意識の激しさには、まったく共感できなかった。
しかし、光浦靖子のあとがきはとても良い。
女子同士だと共感できることが、鮮明となる。そして、文学的。
ひらいて Amazon書評・レビュー: ひらいてより
4103326212
No.19
(3pt)

鋭い描写は相変わらず

蹴りたい背中の時の絶妙なバランスがこの作品では崩れている。作者は意図的に崩している。主人公のやり過ぎとも思える行動が時に漫画的に見えてリアリティーがない。しかし作者の鋭い描写、人生に真剣に向き合おうとする文学的な感性は相変わらずで好感が持てる。商業主義的なもので溢れる現代において作者の上っ面なものには騙されまいとするそのスタンスこそ彼女の最高の才能かもしれない。
ひらいて Amazon書評・レビュー: ひらいてより
4103326212
No.18
(1pt)

時間を返してと言いたくなる

「インストール」「蹴りたい背中」のえもいわれぬ読後感が忘れられなくて、もう一度同じ感動を味わいたくて綿矢りさの作品を読んでいます。
しかし芥川賞受賞以降に前者2作に匹敵するような輝いたものはなく、ほぼ惰性で読んでいたのですが、この作品でとどめを食らった感じ。
つまらない。何も得るものがない。
時間を返してほしいと思う。

素人が余暇の楽しみのために小説を読んでいるだけで、およそ文学に対する造詣もなく、素人書評をわざわざネット上に書き込むまでもないと自覚はしているのですが、それでもあえて憤りを吐き出させていただきたい。
要素を詰め込みすぎ。
この短い小説の中で、一体いくつの要素を盛り込んでいるのか。しかも中高生が嬉しがって反応しそうな、思慮の浅い自虐的要素を。

主人公は拒食症気味?(そういう節の記述があるが、掘り下げもしない)
主人公の片思いの相手は毒親持ち(終盤になって唐突に出てくる。彼の父親を授業参観で見たエピソードも突然思い出して語りだす)
片思いの相手の恋人はI型糖尿病(病気に対する理解と表現が甘く、使い古された美人薄命の少女マンガのネタそのもの)

このようなキャラクター造形の要素があるにも関わらずうまく消化されておらず、
その上で思いつきのような取ってつけた聞こえの良い引用を繰り返し、ますます消化不良。

主人公は毎朝聖書を読むという。
その数節をわざわざ引用していますが、主人公の退廃的行動と聖書を結びつけるとは、発想が中二病的であまりに考えが浅く、他宗教に対する作者の尊重の意思のなささまで透けて見えて幻滅しました。
しかも聖書の逸話を踏襲した物語になるのではなく、後がけの調味料のように聖書を引用しているので非常に味が悪い。
また唐突にオスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の引用も入りますが、
これもまたキリスト教聖人の逸話の中に、こんなエピソードをあることを知った、面白いから入れてみよう、と短絡的な意図が垣間見えて不愉快でした。

主人公は、冒頭の記述では予備校帰りに深夜12時までマクドナルドで友達とたむろし、彼女自身は喫煙しないけど、未成年でもタバコを吸う友達とつるみ、つけ睫をして通学カバンにはアクセサリーをジャラジャラ、そこそこ成績は良いけど適当に生きている"チャライ"女子高生だったはず。

そこを何故終盤になっていきなり感傷的な文学少女になっているのか。
矛盾をはらみ、初志貫徹できないキャラクター造形、浅い知識のままに引用してさも高尚そうに見せかけてくる宗教的素材。
作者の思い上がりまで感じられるのは言いすぎでしょうか。
読者はそこまでバカではない。

やたらと説明くさい登場人物の会話文も気になりました。
今時の高校生は、こんなに自分の気持ちを回りくどい比喩を用いて文学的に話し合うのか?
もっとストレートな、下手な会話をして、察しながら人付き合いを作っていくものだろう?、と。
記述で足りない感情の説明を会話文で補っている印象がして、ますます滑稽で、現実味のないものになっています。
体育祭や文化祭の催し物の記述はリアルに、あくまでどこにでもありそうな普通の高校を舞台に描いていますが、
登場人物の会話がそもそも不自然なので、違和感をぬぐえないのです。

作家とは、もっと物知りで思慮が深く、読者に知識と新しい見解を与え、考えさせてくれる。そういう職業である。
そういうものだと思い込み、期待している自分がダメなのでしょうか。
とかく綿矢りさに関しては幻滅しかせず、時間を返してほしいと思います。
お金を返してくれ、なんて即物的な憤りではありません。
お金なんていくらでも稼ぎなおせる。
けれど時間は有限で、過ぎたものは二度と返ってこない。
金を返せというより時間を返せ、という方が冷徹で厳しい批判だと思うのですが、
今のところ私にとってそう言いたくなる作家は唯一綿矢りさだけです。

もう10年前の澄んだ感動は味わえないのでしょうか。
ひらいて Amazon書評・レビュー: ひらいてより
4103326212
No.17
(1pt)

頭の中はお花畑

主人公の愛さんの恋愛対象のたとえ君が、はじめてまともに喋るんです。それまでは確か朗読以外では二行以上、喋らないのですが(笑) 
出だしはこのような感じです。「それがおまえの笑顔か! 乏しい!」と、怒っているといえば怒っているのですが、なぜか台詞が批評の域に昇華していらっしゃる(笑) 
この後に続く四行のセリフが練りこまれてます。戯曲か! というくらいに練りこまれ過ぎています(笑) 
読者は舞台袖で役者さんの、素晴らしい演技を鑑賞しているのに近い感覚を抱くでしょう(笑)
主人公の愛さんは、この後にたとえ君から、人種的な括りで壮大な一喝を受けます。若さ故の過ちとか、そのような考慮は断じてなされずに、積年の恨みを込められた、天敵扱いの形で否定されます(笑)
それはともかく、怒られて傷ついた愛さん、学校の図書室でワイルドの戯曲サロメを読み、預言者ヨナカーンを憎んでいるサロメさんの取った行動から、自分を省みるんです。それは偉いと思います。しかし、愛さんはそのようなサロメの一節と、自分を重ね合わせるような、知的な文学少女キャラではないんです(笑) 虚構内の愛さんは、行動力だけが強調されていますからね(笑) 
この小説は作家の角田光代が「まるで詩で紡がれた」などとお茶を濁していましたが、演出家の綿矢りさ本人がキャラクターの造形を歪めてまでも介入してきます(笑)
作品が詩で紡がれたせいか困ったことも起きます。糖尿病の美雪さんに、愛さんはたとえ君の「声」に最初に惚れたのだと話します。冒頭の朗読のシーンでたとえ君が、プリントを声に出して読み終えたあとに、愛さんは彼に完全に占領されたと確かに書いてあります。その後の十行くらいで、彼の声が過剰に誘い、その過剰さは悪だの退廃だのと連想していき、禁忌なものだと考え、いやいや怯えずに走ったろうと思い直し、熱いやじりが彼の方へ引き寄せられるという心理描写に行き着くわけですが、抽象的な語とか概念を並べて詩的に熱くなっちゃった! おかげで、肝心の「声」が、ぼやけて飛んでいっています(笑)
キャラクターとしては美雪さんが秀逸です。インスリン注射を打ちつつ、プラトニックな手紙を作中で何度も開陳され、わけのわからない愛さんの求めに応じ、たとえ君と一緒に上京する予定と、八面六臂です(笑) 面倒な事は全部、美雪さんに押し付けられた感があります(笑)
本作品の出来が良いとは思いませんが、味わってみても損はないと思います。一日で読めます(笑)
ひらいて Amazon書評・レビュー: ひらいてより
4103326212
No.16
(2pt)

力みすぎ

最近テレビのインタビュー番組に作者が出演していて、若くて可愛い方だなと思って、どんな小説を書くのか興味があって読みました。
 三人の関係は推理小説さながらの面白さがあり、その展開に引っ張られて一気に読めました。
 ただ逆にあらすじ主導なせいか、よくあるテレビドラマを観ているような安っぽさも感じられ、私の好みとはちょっと違いました。
 主人公・愛は自分の内と外が一致しない悩みを抱えている繊細な女の子。内面描写が過剰なほど巧みに書かれているけれど、それがかえって力みすぎてキザに感じられてしまう。登場人物の行動は突飛すぎてついて行けない部分もあった。
 それに高校生の大人びたセリフにも違和感があった。私の遠くの学生時代に比べてのことなので、今の高校生は実際に大人っぽいのかな。
 アブノーマルにもみえる三人の関係。こんな展開あり得ないだろうと思うけど、覗いてみる価値はあるかも。
ひらいて Amazon書評・レビュー: ひらいてより
4103326212
No.15
(2pt)

駄作!

小賢しい描写が続くところで感じる不快感
結局馬鹿な小娘が暴走して周りに迷惑をかけるだけの話
セックス描写だけは興奮を覚えたので星ふたつ
「かわいそうだね?」のほうがよかった
ひらいて Amazon書評・レビュー: ひらいてより
4103326212
No.14
(1pt)

今回が一番ダメだった私には。

綿矢作品、出ているものは全部読んでいます。
綿矢さんは自分と同い年。芥川賞で大騒ぎになった時、私も大学生で、すごいなあと思い、読んだのがきっかけ。元々読書は好きで、現在、芥川賞選考委員をやっている作家の中に何人かファンの人たちがいて、みんな、褒めていたし。

今回の作品も、有名作家がべた褒めですし、レビューの評価も今までにないぐらい良くて、期待して、購入しました。

誰もが叶わない恋って経験あったと思うし、それが美人だろうがイケメンだろうが、皆、経験すること。
だから絶対共感できる自信もあった。

けど、だめでした。ゾクゾクしないんです。今までの作品の中で最も無難な印象だったんです。
世の中で、良いって言われるものって、やっぱり自分には合わないのかなあと、ショックでしたよ。

かわいそうだね?は、笑えて面白かったし、共感できる登場人物の馬鹿さがあったじゃないですか。現実に、あ〜いるいるって感じで。私は、綿矢さんこの路線かなって思ったんです。

今回は非常にまじめに丁寧に描いているんだけど。暴走が美しいって思うことができればそれまでですけど、中高生の恋だったら、もっと、行動しない思いの深さがあってもいいなあって思うんです。行動も出来ずに、思いを告げられなかった人が大半では?

主人公はめちゃめちゃ行動しますよね。はっきり振られるし。好きな人の彼女寝とるなんて、少女マンガじゃあるまいし。逆にリアリティーがなくなってしまって、ダメでした。

私は、ずっと読んできて気づいたんです。綿矢さんってめちゃめちゃ頭の良い作家さんなんです。だから、頭ですり合わせた感じがどうしても出てしまうんです。それを、人は美しい!って思うかどうかなんです。
美しい日本語、選び抜かれた言葉っていうのはある意味正しいけれど。言葉選びも、この小説に関しては嫌いです。あそこのことをゼリーとか。高校の描写も、深夜のマックの描写も飽きてしまう。

小説って、楽しいものなんだよ〜〜!!ほんとはね。疲れちゃう。
我慢して読んだって感じになってしまった。飽きてしまって。登場人物のだれも好きになれないし、綿矢さんの趣味かもしれないけど、「たとえ」が良い男に思えないし、父親とか、最後の鶴のところも唐突だし、昼ドラっぽい・・・

ずっと好きだったけど、これを機に読むのやめちゃうと思います。私は。もう私が読むのは最後です。

忌々しい気持ちで本を売るのは悲しいです。駄作とは思いたくないですが。
自分に合わないということで、片づけるしかないですね。

冥土めぐりを読めば良かった。そちらの方がゾクゾクしたかも。
ひらいて Amazon書評・レビュー: ひらいてより
4103326212
No.13
(3pt)

気味が悪い

女の情念というか、どろどろして、ねっとりして、気味が悪いです。
主人公が好きな男の彼女をつきとめたときの嫉妬のすごさにたじろいでしまい、それ以上は読めませんでした。
男性が読むものではないような気がします。
ひらいて (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ひらいて (新潮文庫)より
4101266514
No.12
(2pt)

あえて言わせてください

内容はとても面白かった。主人公の恋愛が暴走して、支離滅裂な方向に向かっていく過程がとても衝撃的だった。特に、好きになった男子の彼女と肉体関係を持った描写が印象に残った。様々な蛇行の末、綺麗な終わり方をする。その場面には鳥肌がたった。
しかし、「恋愛小説」としてどうだったか?と思う。サイドの性描写や、夜学校に忍び込んだ時のことなど、「恋愛感情」や「好意を抱いていた彼」が置いてけぼりにされてしまっていたと思う。その点が私は気に入らなかった。
ひらいて (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ひらいて (新潮文庫)より
4101266514
No.11
(3pt)

愛情というエゴ

決してリアリティがある設定ではないけども主人公「愛」の心の奥の奥をえぐりだす展開は綿矢さんのオリジナリティがあふれていて引き込まれる部分がありました。いろいろな伏線らしきものはありますが特に気にしなくてもいのかな。彼女の世界観は好き嫌いが分かれるのも分かる気がします。
ひらいて (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ひらいて (新潮文庫)より
4101266514
No.10
(3pt)

可哀想

途中まで面白かったが
愛が可哀想になってきて
著者の考え方に共感できなかった。
ひらいて (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ひらいて (新潮文庫)より
4101266514
No.9
(3pt)

しつけて。

まるで、幼く身勝手な作家自身でもあるような主人公。この女性を犯罪者にしないために「小説家」の肩書を授けたのは慧眼だったかも知れない、とさえ思えてしまう。

が、どうやら実際は「まるで他人ごとのようなふりをして、本も出した」(「履歴の無い女」『文學界』2015.1., p.99)うちの一冊に過ぎず、そうした「履歴」は結婚を機に何のみれんも無く捨てることができた作家はかつて「自分と遠いと思っていた、どこか別の世界の女たちと思って見ていた、夕方のスーパーで家族分の食料をそろえる彼女たち…」(同, p.101)という眼の高さでこの『ひらいて』も書いたのだ。
「…自分のことしか考えてな」(同, p.105)いことを作中でも(再三)主人公に自省させ乍ら、今も主要テーマは「私の居場所」(同, p.107)らしいこの作家はまた、「いままでの自分の生活に、プライドはないのか、と……。いや、ブライドっていうのとは違うな、でもうまく言葉が見つからない」(同, p.102)と自問したりもするけれど、これからは「やみくもに、自分本位に、あたりをなぎ倒しながら疾走する」主人公の気持ちだけでなく、それによって傷ついたひとの気持ちもきちんと描いてくれるだろうか。

『ひらいて』の主人公・愛のような子がいたら皆が迷惑するけれど、皆が未成熟な「学校」に限ってはそれも許される。これからの作家のテーマは、この子をどう躾けるか、だろう。
ひらいて (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ひらいて (新潮文庫)より
4101266514
No.8
(1pt)

面白くなかったです

だんだん綿矢さんのかく作品が
面白くなくなってきた…と
思っていたら、やっぱりその
気持ちは今回の本で固まりました。

性描写ばっかりで面白くも
なんともなかったです。
ひらいて (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ひらいて (新潮文庫)より
4101266514
No.7
(3pt)

男には分からないんでしょうね。

思春期の女子の自意識の激しさには、まったく共感できなかった。
しかし、光浦靖子のあとがきはとても良い。
女子同士だと共感できることが、鮮明となる。そして、文学的。
ひらいて (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ひらいて (新潮文庫)より
4101266514
No.6
(3pt)

鋭い描写は相変わらず

蹴りたい背中の時の絶妙なバランスがこの作品では崩れている。作者は意図的に崩している。主人公のやり過ぎとも思える行動が時に漫画的に見えてリアリティーがない。しかし作者の鋭い描写、人生に真剣に向き合おうとする文学的な感性は相変わらずで好感が持てる。商業主義的なもので溢れる現代において作者の上っ面なものには騙されまいとするそのスタンスこそ彼女の最高の才能かもしれない。
ひらいて (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ひらいて (新潮文庫)より
4101266514
No.5
(1pt)

時間を返してと言いたくなる

「インストール」「蹴りたい背中」のえもいわれぬ読後感が忘れられなくて、もう一度同じ感動を味わいたくて綿矢りさの作品を読んでいます。
しかし芥川賞受賞以降に前者2作に匹敵するような輝いたものはなく、ほぼ惰性で読んでいたのですが、この作品でとどめを食らった感じ。
つまらない。何も得るものがない。
時間を返してほしいと思う。

素人が余暇の楽しみのために小説を読んでいるだけで、およそ文学に対する造詣もなく、素人書評をわざわざネット上に書き込むまでもないと自覚はしているのですが、それでもあえて憤りを吐き出させていただきたい。
要素を詰め込みすぎ。
この短い小説の中で、一体いくつの要素を盛り込んでいるのか。しかも中高生が嬉しがって反応しそうな、思慮の浅い自虐的要素を。

主人公は拒食症気味?(そういう節の記述があるが、掘り下げもしない)
主人公の片思いの相手は毒親持ち(終盤になって唐突に出てくる。彼の父親を授業参観で見たエピソードも突然思い出して語りだす)
片思いの相手の恋人はI型糖尿病(病気に対する理解と表現が甘く、使い古された美人薄命の少女マンガのネタそのもの)

このようなキャラクター造形の要素があるにも関わらずうまく消化されておらず、
その上で思いつきのような取ってつけた聞こえの良い引用を繰り返し、ますます消化不良。

主人公は毎朝聖書を読むという。
その数節をわざわざ引用していますが、主人公の退廃的行動と聖書を結びつけるとは、発想が中二病的であまりに考えが浅く、他宗教に対する作者の尊重の意思のなささまで透けて見えて幻滅しました。
しかも聖書の逸話を踏襲した物語になるのではなく、後がけの調味料のように聖書を引用しているので非常に味が悪い。
また唐突にオスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の引用も入りますが、
これもまたキリスト教聖人の逸話の中に、こんなエピソードをあることを知った、面白いから入れてみよう、と短絡的な意図が垣間見えて不愉快でした。

主人公は、冒頭の記述では予備校帰りに深夜12時までマクドナルドで友達とたむろし、彼女自身は喫煙しないけど、未成年でもタバコを吸う友達とつるみ、つけ睫をして通学カバンにはアクセサリーをジャラジャラ、そこそこ成績は良いけど適当に生きている"チャライ"女子高生だったはず。

そこを何故終盤になっていきなり感傷的な文学少女になっているのか。
矛盾をはらみ、初志貫徹できないキャラクター造形、浅い知識のままに引用してさも高尚そうに見せかけてくる宗教的素材。
作者の思い上がりまで感じられるのは言いすぎでしょうか。
読者はそこまでバカではない。

やたらと説明くさい登場人物の会話文も気になりました。
今時の高校生は、こんなに自分の気持ちを回りくどい比喩を用いて文学的に話し合うのか?
もっとストレートな、下手な会話をして、察しながら人付き合いを作っていくものだろう?、と。
記述で足りない感情の説明を会話文で補っている印象がして、ますます滑稽で、現実味のないものになっています。
体育祭や文化祭の催し物の記述はリアルに、あくまでどこにでもありそうな普通の高校を舞台に描いていますが、
登場人物の会話がそもそも不自然なので、違和感をぬぐえないのです。

作家とは、もっと物知りで思慮が深く、読者に知識と新しい見解を与え、考えさせてくれる。そういう職業である。
そういうものだと思い込み、期待している自分がダメなのでしょうか。
とかく綿矢りさに関しては幻滅しかせず、時間を返してほしいと思います。
お金を返してくれ、なんて即物的な憤りではありません。
お金なんていくらでも稼ぎなおせる。
けれど時間は有限で、過ぎたものは二度と返ってこない。
金を返せというより時間を返せ、という方が冷徹で厳しい批判だと思うのですが、
今のところ私にとってそう言いたくなる作家は唯一綿矢りさだけです。

もう10年前の澄んだ感動は味わえないのでしょうか。
ひらいて (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ひらいて (新潮文庫)より
4101266514