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(短編集)

声出していこう



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【この小説が収録されている参考書籍】
声出していこう
声出していこう (光文社文庫)

声出していこうの評価: 4.00/5点 レビュー 2件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

いるわたしといるはずだったわたしとのギャップ

本来ここにいたはずのわたしと実際にここにいるわたしのギャップに纏わる著者お得意の結構イタイお話である。各話の最後の言葉が次話の冒頭で意味をずらして再現される(最終話は第一話のタイトル)という遊びもある。
「声出していこう」のシゲモチもしくはマサノリくん(中一)は、いまでは沈着冷静キャラを請け負った感があり、「シクシク」の辻村由季子さん(修学旅行に行く学年の高校生)は「あたしのことをどう思うかはあなたの勝手よ」的な何かを感じられる可愛さを最上とし、「みんな嘘なんじゃないのか」の最上幹基くん(二十歳)の将来計画とは三十歳までに北大のできれば法学部を卒業しロースクールを経て司法試験に合格し弁護士となることであったが、先々代の構えたラーメン屋で「息子としてではなく、バイトととして」働いていたし、「お先にどうぞ、アルフォンヌ」の安西奈緒美さん(三十歳)は半年前の十月二十日の「事件」以来、なにもかもが悲しく、辛く、そして、虚しく、「大きくなったら」の工藤泰介さん(四十六歳)は、ざっと四十年前には、ほぼ世界中の国旗と国名と首都を覚えていた、なんにでもなれる「ぼく」だったのに、今では両親の「爺さんの財産ぶんどり大作戦」の一味に加わり喫茶店で雇われマスターをやっていたし、「就中――なかんずく――」の倉持のぶ子さん(五十歳)は「じぶんのことを、ふつうよりもちょっときれいで、ふつうよりもちょっといい女で、ふつうよりもちょっとモテると思ってる」と偶然スナックに居合わせた他話の登場人物たちに見透かされてしまっていた。
 各話でフューチャーされる人物が被さって重層構造になっているのも朝倉氏らしい。
声出していこう (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:声出していこう (光文社文庫)より
4334766080

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