充たされざる者
評判
充たされざる者の評価:
4.09/5点 レビュー 70件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全64件 61〜64 4/4ページ
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充たされざる者の評価:
4.09/5点 レビュー 70件。 A ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
日系イギリス人作家カズオ・イシグロの長編第四作。
デビュー作と二作目では、戦後間もない時期の日本を舞台に、
価値観の転変に適応できずに苦しむ人々の姿を丁寧に描き、
三作目となる『日の名残り』では、一転して舞台を英国に取り、
英国人以上の緻密さで執事の人生を描いてみせたイシグロ。
その彼が次の作品の舞台に選んだのは、
場所はもうひとつはっきりしないが中欧のどこかではあるらしい、
芸術熱の盛んな中小都市であり、
主人公のピアニスト、ライダーはそのキャリアの節目となるような
重要なコンサートを目的にこの街を訪れることになる。
冒頭、ホテルのエレベータに乗る場面で、
ライダーの荷物を手にする初老のボーイ、グスタフが、
自らに課した職業上の倫理を口にし始めるところで、
読者の誰もが思わず微笑みを浮かべずにはいられないのだが、
そんな読者をよそに思わぬ方向へと逸れ始めたストーリーは、
もはや正統的な純文学の枠組みに復帰することはなく、
逸脱に次ぐ逸脱を重ねたかと思うと、
何とも寝覚めの悪い悪夢の連続のような世界を紡ぎ出していく。
あれほどの成功を収めた『日の名残り』の次に、
失敗作と呼ばれることを恐れるどころか、
読者の期待を絶対に裏切ってやろうと言わんばかりの
変化球の極みのようなこの作品を持ってくるあたりに、
イシグロの作家的悪意を感じ、なぜか嬉しくなってしまった。