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(短編集)
狩久探偵小説選
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狩久探偵小説選の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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狩久もまた、これまで著書がたった2冊しかなかった。 2010年春に本書が出た時、かつてのアンソロジーでの単品読書時同様その雑多性が良い印象にはさほど大きく変わらなかった。 瀬折研吉・風呂出亜久子の登場作「見えない足跡」「呼ぶと逃げる犬」「たんぽぽ物語」「虎よ、虎よ、爛爛と-一〇一番目の密室-」。 ユーモアを交えた論理物だが余計な装飾が多い気がする。風呂出亜久子は後の赤川次郎が書きそうな女子大生みたいなライトタッチじゃなくて、 本来いい女なのだからそこが活きるように描いて欲しかった。 「虎よ、虎よ…」も深夜に虎を連れ歩いて邸に運ぶなんてのは戦前の乱歩の時代とは違うのだからどうもリアリティに欠ける。 それに比べると「落石」「氷山」「ひまつぶし」「すとりっぷと・まい・しん」「山女魚」「佐渡冗話」「恋囚」 「訣別-第二のラブレター」「共犯者」はシリアス・タッチと論理がまだ親和している。 狩久という人は作品に自分自身をやたらと登場させる。上記の雑多性しかりそんな作風を個性として好む読者がいるのはよくわかるが、 私にはtoo muchに感じる事も多い。特に「訣別」などは内輪ネタに過ぎる。 しかし-。 2013年に篤志家がなんと私家版『狩久全集』(妻・四季桂子全集を含む)全7巻なるものをリリースしたので、 全ての作品を通読し、この作家の最大の美点がやっと掴めたのである。 狩久は匂い立つような女の官能を書かせたらもう天下一品なのだ。本書収録作にもその片鱗はあるけれど氷山の一角に過ぎない。 この『狩久全集』は豪華で大変丁寧に作られているのだが、購入窓口が限られており少部数発行かつ超高額で誰でも気軽に入手する訳にはいかないのが問題。 本書だけで狩久が判断されてしまう事のないよう、官能的作品を集成して発売されるのを強く望む。 これまでの「論創ミステリ叢書」を見ていると、複数巻出す作家の選択がおかしいと思うことがしょっちゅうある。 本書はよく売れた方だと聞いた事があるが、なぜ狩久の続刊を出さないのか? | ||||
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