偶然の音楽

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偶然の音楽の評価:

4.27/5点 レビュー 37件。 C ランク

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平均点4.27pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全60件 21〜40 2/3ページ
No.40
(5pt)

神秘の障壁

小説を読み、音楽を聞いてみたいという気持ちになりました。
主人公のナッシュが弾く「Les Baricades Misterieuses」というF.クープランの曲は、大のお気に入りになりました。
めぐり合わせの音楽です。

ハードカバーの装丁が好きです。
たまに読み直します。

ポーカーでナッシュが席を立ち、帰ってきたときにポッツィのシーンが印象的です。
偶然の音楽 Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽より
4105217046
No.39
(5pt)

神秘の障壁

小説を読み、音楽を聞いてみたいという気持ちになりました。
主人公のナッシュが弾く「Les Baricades Misterieuses」というF.クープランの曲は、大のお気に入りになりました。
めぐり合わせの音楽です。

ハードカバーの装丁が好きです。
たまに読み直します。

ポーカーでナッシュが席を立ち、帰ってきたときにポッツィのシーンが印象的です。
偶然の音楽 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽 (新潮文庫)より
4102451064
No.38
(4pt)

破滅なのか解放なのか。

このところポール・オースターにはまり、何冊も買い込み週末の休みの楽しみにとってある。なぜ週末かと言えば、僕にとってレベルが低くつまらない純文学を読む週末ほどストレスになるものはないからだ。まず、本書は完成度が高い。主人公が天才ポーカープレイヤーと知り合いになり、相続した金を預けて大金持ちとの勝負に出るが敗れ、壁を作らされ、その上労働対価の生活費までぼられるあたりの作り方は見事なものだ。文章も肩から力が抜け、洗練された文体で二人の会話を上手く描き、面白い。だが、本書は様々なモチーフによって人生の閉塞状況をあぶり出す。そしてラストは破滅へ向かう主人公の暴走で幕を閉じる。著者の中核をなしている自己と孤独と閉塞感といったテーマはそこからの解放を強く願い、最近の作になるほど希望を失わない方向へと思想が変化しているが、本作執筆あたりでは破滅願望が強かったのだろうか。とにかく一読して決して損はない一冊だ。
偶然の音楽 Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽より
4105217046
No.37
(4pt)

破滅なのか解放なのか。

このところポール・オースターにはまり、何冊も買い込み週末の休みの楽しみにとってある。なぜ週末かと言えば、僕にとってレベルが低くつまらない純文学を読む週末ほどストレスになるものはないからだ。まず、本書は完成度が高い。主人公が天才ポーカープレイヤーと知り合いになり、相続した金を預けて大金持ちとの勝負に出るが敗れ、壁を作らされ、その上労働対価の生活費までぼられるあたりの作り方は見事なものだ。文章も肩から力が抜け、洗練された文体で二人の会話を上手く描き、面白い。だが、本書は様々なモチーフによって人生の閉塞状況をあぶり出す。そしてラストは破滅へ向かう主人公の暴走で幕を閉じる。著者の中核をなしている自己と孤独と閉塞感といったテーマはそこからの解放を強く願い、最近の作になるほど希望を失わない方向へと思想が変化しているが、本作執筆あたりでは破滅願望が強かったのだろうか。とにかく一読して決して損はない一冊だ。
偶然の音楽 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽 (新潮文庫)より
4102451064
No.36
(4pt)

旅行に出かけたくなるような小説

時には欲望の赴くままに行動して、先行きの無い人生に直面し夢想に耽るのもいいのではないだろうか?この小説はムーンパレスと並び、読者にそんな感慨を与えてくれる。先がわからないから面白い、いやたとえ先に絶望が待ち受けていようともそれはそれでいい。何故ならまさしくその不安な状態こそが、我々に生きている実感を感じさせるのだから。
作中にちりばめられた数々の偶然、中でも賭博者ポッツィとの出会いと突然の別れには深く考えさせられました。主人公ナッシュの中でポッツィはまさに「呼吸する偶然」であり、ナッシュの外で独自に存在しているにも関わらず、同時に彼の一部でもある。ナッシュが自発的にポッツィに逃亡を進めたのに、彼が去った後どうしようもない喪失感にとらわれたのはナッシュ自身の偶然を奪われたように感じたのではあるまいか?
『死にたくないからただ生きるのか。それとも、生きていると実感したいから死を呼び寄せるのか』。読後、こんな哲学的な問いを思い浮かべてしまいました。
偶然の音楽 Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽より
4105217046
No.35
(4pt)

旅行に出かけたくなるような小説

時には欲望の赴くままに行動して、先行きの無い人生に直面し夢想に耽るのもいいのではないだろうか?この小説はムーンパレスと並び、読者にそんな感慨を与えてくれる。先がわからないから面白い、いやたとえ先に絶望が待ち受けていようともそれはそれでいい。何故ならまさしくその不安な状態こそが、我々に生きている実感を感じさせるのだから。
作中にちりばめられた数々の偶然、中でも賭博者ポッツィとの出会いと突然の別れには深く考えさせられました。主人公ナッシュの中でポッツィはまさに「呼吸する偶然」であり、ナッシュの外で独自に存在しているにも関わらず、同時に彼の一部でもある。ナッシュが自発的にポッツィに逃亡を進めたのに、彼が去った後どうしようもない喪失感にとらわれたのはナッシュ自身の偶然を奪われたように感じたのではあるまいか?
『死にたくないからただ生きるのか。それとも、生きていると実感したいから死を呼び寄せるのか』。読後、こんな哲学的な問いを思い浮かべてしまいました。
偶然の音楽 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽 (新潮文庫)より
4102451064
No.34
(5pt)

自由だけど奴隷な現代人のために

すべてを辞めてしまいたくなったことはないだろうか。すべてを捨ててしまいたくなったことはないだろうか。現代社会を生きる私たちにとって、すべてを辞めてしまいたい、自分という主体を消失させてしまいたいという抑え難い欲望と、それでも社会と何らかの形で付き合っていかなければならないというジレンマは永遠のテーマである。

 ポール・オースターの作品はリアリズムと虚構的な位相とが入り混じった部分に魅力がある。本作が描く主人公は、元消防士で家族には捨てられ、職を捨て、父の遺産をひたすらアメリカの荒野を走りまくることによって食い潰す。

 ポール・オースターはすべてを失った人間を描くのが本当に上手い。大の大人がすべてを放り投げて、ほとんどゼロになる。なろうとする。しかし人間は本当にゼロになりきれるのだろうか。統一した主体であることを止め、ほとんどその瞬間のみを生きるといった80年代的な言説に対する思考が本作『偶然の音楽』では描かれている。

 逃げてはとらわれ、逃げてはとらわれ、主人公はなかなか「自由」にはなれない。本作はロード・ノヴェルの形式を取り、形式的にはアメリカ的だが、その理念において実はアメリカが標榜する「自由」に疑念を示してさえいる。すべての財産も、自由意志も、家族も、すべて喪失しながらもなお、主人公は奴隷になってしまう。資本主義の奴隷に。

 本書は「自由」の問題を論じていながらも、結論としては極めて絶望的な気がする。我々は、結局のところ遍在する権力からは逃れられない。奇妙に倫理観を欠いた「神」たちによって、私たちは奴隷にされる他ないのか。この時期のオースター作品にはそのような極めてスリリングな問題提起がちりばめられている。オースターを読むなら、本作か、この作品と地続きのアイディアから描かれた『ムーン・パレス』『リヴァイアサン』がお薦め。


偶然の音楽 Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽より
4105217046
No.33
(5pt)

自由だけど奴隷な現代人のために

すべてを辞めてしまいたくなったことはないだろうか。すべてを捨ててしまいたくなったことはないだろうか。現代社会を生きる私たちにとって、すべてを辞めてしまいたい、自分という主体を消失させてしまいたいという抑え難い欲望と、それでも社会と何らかの形で付き合っていかなければならないというジレンマは永遠のテーマである。

 ポール・オースターの作品はリアリズムと虚構的な位相とが入り混じった部分に魅力がある。本作が描く主人公は、元消防士で家族には捨てられ、職を捨て、父の遺産をひたすらアメリカの荒野を走りまくることによって食い潰す。

 ポール・オースターはすべてを失った人間を描くのが本当に上手い。大の大人がすべてを放り投げて、ほとんどゼロになる。なろうとする。しかし人間は本当にゼロになりきれるのだろうか。統一した主体であることを止め、ほとんどその瞬間のみを生きるといった80年代的な言説に対する思考が本作『偶然の音楽』では描かれている。

 逃げてはとらわれ、逃げてはとらわれ、主人公はなかなか「自由」にはなれない。本作はロード・ノヴェルの形式を取り、形式的にはアメリカ的だが、その理念において実はアメリカが標榜する「自由」に疑念を示してさえいる。すべての財産も、自由意志も、家族も、すべて喪失しながらもなお、主人公は奴隷になってしまう。資本主義の奴隷に。

 本書は「自由」の問題を論じていながらも、結論としては極めて絶望的な気がする。我々は、結局のところ遍在する権力からは逃れられない。奇妙に倫理観を欠いた「神」たちによって、私たちは奴隷にされる他ないのか。この時期のオースター作品にはそのような極めてスリリングな問題提起がちりばめられている。オースターを読むなら、本作か、この作品と地続きのアイディアから描かれた『ムーン・パレス』『リヴァイアサン』がお薦め。


偶然の音楽 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽 (新潮文庫)より
4102451064
No.32
(5pt)

理性と衝動との強烈な葛藤

物語世界の中に読者を強く引き込む力を備えた作品である。

読み終えて思ったのは、登場人物たちが、理性と衝動の狭間に立たされて、迅速な判断を下すことを迫られる場面が
実に頻繁に出てくるということ。

そしてそのことがまさに、この小説を、衝撃的な結末へと邁進させていくエネルギーの源になっている。

ヒトを襲う衝動を取り巻く、さまざまな要因(狂気、破壊、性)が、巻頭から巻末まで、ぎっしりと詰め込まれており、
それが一個の生命体となって、作品内を激しくのたくっているような感じがした。
読んでいる最中、胸が苦しくなってくるような気分を覚えた。

この小説は、読者にエネルギーの消費を要求してきます。覚悟して読んでください。
偶然の音楽 Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽より
4105217046
No.31
(5pt)

理性と衝動との強烈な葛藤

物語世界の中に読者を強く引き込む力を備えた作品である。

読み終えて思ったのは、登場人物たちが、理性と衝動の狭間に立たされて、迅速な判断を下すことを迫られる場面が
実に頻繁に出てくるということ。

そしてそのことがまさに、この小説を、衝撃的な結末へと邁進させていくエネルギーの源になっている。

ヒトを襲う衝動を取り巻く、さまざまな要因(狂気、破壊、性)が、巻頭から巻末まで、ぎっしりと詰め込まれており、
それが一個の生命体となって、作品内を激しくのたくっているような感じがした。
読んでいる最中、胸が苦しくなってくるような気分を覚えた。

この小説は、読者にエネルギーの消費を要求してきます。覚悟して読んでください。
偶然の音楽 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽 (新潮文庫)より
4102451064
No.30
(4pt)

偶然の読書

たまたま本棚にあったから手にとってみました。僕にとって、初めてのポール・オースター作品がこれです。

僕はよく「その作家との出会いの作品」でハズレを引きます。そして「きっとこの人のは、ハズレしかないんだ」という強固な偏見のもと、二度と同じ作家のものを読まなくなることしばしばです。でもこの本は、少なくとも僕にそう感じさせはしませんでした。だから僕はまたいつかどこかで、別なオースター作品を読むことになるかも知れません。

問題は「いつどこで読むか」なのですが、僕がそれに明確に答えられるような読者なら、この本に魅力を感じたりはしなかったんじゃないかなと思います。多分、たまたまどっかの本棚にあるのをまた見つけたときかな。

つまり、これはそういう小説だろうと思いました。

起承転結のそれぞれが必然性を欠きつつも、それなりの連続性を持ち続けており、そしてそのことが何やら妙なリアリティを演出しているようだと感じさせたのです。だから、よく考えれば奇妙な物語じゃないかとも思うのですが、「でもね、それが彼らの人生だったのさ」と言われれば「ふうん」と納得してしまいそうになる。そのあたり、割と絶妙なバランスです。

まあ話の筋には触れないでおこう。大抵いつも触れないんですけど、この本の場合、とりわけ意味がなさそうだから。
偶然の音楽 Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽より
4105217046
No.29
(4pt)

偶然の読書

たまたま本棚にあったから手にとってみました。僕にとって、初めてのポール・オースター作品がこれです。

僕はよく「その作家との出会いの作品」でハズレを引きます。そして「きっとこの人のは、ハズレしかないんだ」という強固な偏見のもと、二度と同じ作家のものを読まなくなることしばしばです。でもこの本は、少なくとも僕にそう感じさせはしませんでした。だから僕はまたいつかどこかで、別なオースター作品を読むことになるかも知れません。

問題は「いつどこで読むか」なのですが、僕がそれに明確に答えられるような読者なら、この本に魅力を感じたりはしなかったんじゃないかなと思います。多分、たまたまどっかの本棚にあるのをまた見つけたときかな。

つまり、これはそういう小説だろうと思いました。

起承転結のそれぞれが必然性を欠きつつも、それなりの連続性を持ち続けており、そしてそのことが何やら妙なリアリティを演出しているようだと感じさせたのです。だから、よく考えれば奇妙な物語じゃないかとも思うのですが、「でもね、それが彼らの人生だったのさ」と言われれば「ふうん」と納得してしまいそうになる。そのあたり、割と絶妙なバランスです。

まあ話の筋には触れないでおこう。大抵いつも触れないんですけど、この本の場合、とりわけ意味がなさそうだから。
偶然の音楽 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽 (新潮文庫)より
4102451064
No.28
(5pt)

衝撃的な結末

衝撃的な結末。決して予想外というわけではないけど、やはり、あの終わり方にはショックを受けた。

小川洋子が後書きを書いていたけど、たしかに、オースターの小説には閉塞感がある。主人公がそこからどう脱却しようとするかという、テーマはムーン・パレスと共通だ。なんだか、身につまされる話だ。
偶然の音楽 Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽より
4105217046
No.27
(5pt)

衝撃的な結末

衝撃的な結末。決して予想外というわけではないけど、やはり、あの終わり方にはショックを受けた。

小川洋子が後書きを書いていたけど、たしかに、オースターの小説には閉塞感がある。主人公がそこからどう脱却しようとするかという、テーマはムーン・パレスと共通だ。なんだか、身につまされる話だ。
偶然の音楽 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽 (新潮文庫)より
4102451064
No.26
(4pt)

完結させることの難しさ。

掴もうとしているチャンスが自分に有利であると感じたとき、
人は、大きなプレッシャーを感じてしまう。

誰の人生にも不思議と分岐路が存在し、
それを制するかどうかで大枠は決まってしまうのだ。

彼らは勝利を掴みかけていた。
おおよそ勝負がついたかと思えたとき、ふと目を瞑り冷静を保ちたいと思った。
運命が変わってしまう前に、少しだけ外の空気が吸ってみたいと思ったのだ。

ところが、我に返った時には掴みかけていた幸福は去り
過去も未来も持てるもの全部を失ったことに気づく。

それから先はもうどこにも辿り着くことはできない。
人生は彼の手を離れてしまった、永遠に。

残念だったね、物語は終わった。ジ・エンドさ。
こんな風に主人公の人生と物語は終わってしまう。
偶然の音楽 Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽より
4105217046
No.25
(4pt)

完結させることの難しさ。

掴もうとしているチャンスが自分に有利であると感じたとき、
人は、大きなプレッシャーを感じてしまう。

誰の人生にも不思議と分岐路が存在し、
それを制するかどうかで大枠は決まってしまうのだ。

彼らは勝利を掴みかけていた。
おおよそ勝負がついたかと思えたとき、ふと目を瞑り冷静を保ちたいと思った。
運命が変わってしまう前に、少しだけ外の空気が吸ってみたいと思ったのだ。

ところが、我に返った時には掴みかけていた幸福は去り
過去も未来も持てるもの全部を失ったことに気づく。

それから先はもうどこにも辿り着くことはできない。
人生は彼の手を離れてしまった、永遠に。

残念だったね、物語は終わった。ジ・エンドさ。
こんな風に主人公の人生と物語は終わってしまう。
偶然の音楽 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽 (新潮文庫)より
4102451064
No.24
(5pt)

寂しくて気が狂いそう

何度も読み返したお気に入りの本のひとつです。とても奇妙で、不気味すら感じます。ささやかなパーティーの中で生まれた「偶然の音楽」。のちに主人公が娼婦に思いを語る言葉に、胸がしめつけられます。
「寂しくて気が狂いそう」この本をまたいつか読み返してしまう理由です。
偶然の音楽 Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽より
4105217046
No.23
(5pt)

寂しくて気が狂いそう

何度も読み返したお気に入りの本のひとつです。とても奇妙で、不気味すら感じます。ささやかなパーティーの中で生まれた「偶然の音楽」。のちに主人公が娼婦に思いを語る言葉に、胸がしめつけられます。
「寂しくて気が狂いそう」この本をまたいつか読み返してしまう理由です。
偶然の音楽 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽 (新潮文庫)より
4102451064
No.22
(5pt)

この作品の最大の弱点は面白くなるまで五十ページほどかかること。オースターですからおもしろいに違いないと思いながら読んだけれど、最初は正直きつかった。しかし、だいたい百ページを越える頃になるともう読むのをとめられなくなってしまった。

 主人公のナッシュは実は狂っているんじゃないだろうか。それもクールに狂っている。彼の物語(人生)は物語が始まった時点で終わっていた。自己完結していたのだ。けれど、彼はたぶんそれが許せなかった。車を使ってあっちこっち走りまくって「前進」しようとしていたのだ。けれど、それが間違いであると気づく。そこには深い絶望があった。ナッシュは間違いなく物語をリスタートさせようとしていた。

 なんて話してもしかたがない。読者は館でのポーカーの展開にハラハラすればいいのだし、一度壊れた壁を石を修復(リスタート)させようとする、本人の物語(人生)とはまったく関係ない作業に無常さを感じていればいい。傑作。

 それにしても、まさかオースターがこんな「カイジ」みたいな話を書くとは…。
偶然の音楽 Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽より
4105217046
No.21
(5pt)

この作品の最大の弱点は面白くなるまで五十ページほどかかること。オースターですからおもしろいに違いないと思いながら読んだけれど、最初は正直きつかった。しかし、だいたい百ページを越える頃になるともう読むのをとめられなくなってしまった。

 主人公のナッシュは実は狂っているんじゃないだろうか。それもクールに狂っている。彼の物語(人生)は物語が始まった時点で終わっていた。自己完結していたのだ。けれど、彼はたぶんそれが許せなかった。車を使ってあっちこっち走りまくって「前進」しようとしていたのだ。けれど、それが間違いであると気づく。そこには深い絶望があった。ナッシュは間違いなく物語をリスタートさせようとしていた。

 なんて話してもしかたがない。読者は館でのポーカーの展開にハラハラすればいいのだし、一度壊れた壁を石を修復(リスタート)させようとする、本人の物語(人生)とはまったく関係ない作業に無常さを感じていればいい。傑作。

 それにしても、まさかオースターがこんな「カイジ」みたいな話を書くとは…。
偶然の音楽 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 偶然の音楽 (新潮文庫)より
4102451064