名探偵の証明

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名探偵の証明の評価:

2.83/5点 レビュー 23件。 C ランク

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平均点2.83pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全38件 21〜38 2/2ページ
No.18
(3pt)

我こそはミステリマニア、というような人向け、か

市川哲也の長編ミステリである。第23回鮎川哲也賞受賞作。
帯紙には、「若き名探偵×伝説の名探偵」などというポップが躍る。先日同じ作者の「屋上の名探偵」を読んで、本作が文庫化されたということで入手したもの。市川作品は2作目の読了である。

まず全体の感想ですが、いわゆるエンタメ的な感覚で本作を読むときっとがっかりするよな、というところ。探偵同士の熾烈な対決シーンがあるわけでもなく、とんでもない見立ての連続殺人事件が起きるというわけでもない。まして空前絶後のあっと驚くトリックが駆使されているということでもない。

あとがきでも一部触れられているが、本作の世界では「名探偵」がメジャーな存在として社会に受けいれられているという、ある意味でパラレルワールドなお話だ。それを踏まえて、「名探偵はいかにして存続するべきか」「名探偵は社会にとってどうあるべきか」のようなテーマを突き付けている作品、と受け止めるべきな気がする。もちろんストーリーを追っていけば、それなりの謎解きやらサイドストーリー、そしてどんでん返し的な趣向など、小説として純粋に楽しむこともできる。が、どちらかというと本作の狙いは、いわゆるミステリ小説の玄人な人たちに受けるであろうメタなお話、というところなのではないか。そこの点がもしかすると鮎川哲也賞としてあるべき姿だったのかもしれない。

有栖川の「探偵ソラ」シリーズにもちょっと通じるところがあるような感じもしますし、我こそはミステリマニア、というような人向け、か。
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.17
(3pt)

我こそはミステリマニア、というような人向け、か

市川哲也の長編ミステリである。第23回鮎川哲也賞受賞作。
帯紙には、「若き名探偵×伝説の名探偵」などというポップが躍る。先日同じ作者の「屋上の名探偵」を読んで、本作が文庫化されたということで入手したもの。市川作品は2作目の読了である。

まず全体の感想ですが、いわゆるエンタメ的な感覚で本作を読むときっとがっかりするよな、というところ。探偵同士の熾烈な対決シーンがあるわけでもなく、とんでもない見立ての連続殺人事件が起きるというわけでもない。まして空前絶後のあっと驚くトリックが駆使されているということでもない。

あとがきでも一部触れられているが、本作の世界では「名探偵」がメジャーな存在として社会に受けいれられているという、ある意味でパラレルワールドなお話だ。それを踏まえて、「名探偵はいかにして存続するべきか」「名探偵は社会にとってどうあるべきか」のようなテーマを突き付けている作品、と受け止めるべきな気がする。もちろんストーリーを追っていけば、それなりの謎解きやらサイドストーリー、そしてどんでん返し的な趣向など、小説として純粋に楽しむこともできる。が、どちらかというと本作の狙いは、いわゆるミステリ小説の玄人な人たちに受けるであろうメタなお話、というところなのではないか。そこの点がもしかすると鮎川哲也賞としてあるべき姿だったのかもしれない。

有栖川の「探偵ソラ」シリーズにもちょっと通じるところがあるような感じもしますし、我こそはミステリマニア、というような人向け、か。
名探偵の証明 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明 (創元推理文庫)より
4488465129
No.16
(3pt)

ミステリというより『名探偵とは』を語るハードボイルド

ミステリよりも探偵,さらには『名探偵とは』に寄ったハードボイルド風の一冊で,
感謝も尊敬もされるが,憎まれ卑下もされ,それでも「名探偵だから」という気概が,
かつては一世を風靡も,今や引退同然の『元名探偵』の苦悩や葛藤を通じて語られます.
また,そこに金髪ボブの現代の名探偵を絡め,新と旧,現と元の対比が強調されています.

とはいえ,事件は起き,解かれもしますが,オマケとまでは言わないまでも物足りず,
終盤,終わったはずの事件,そして元名探偵の男へ還る構成は良かったと思うのですが,
どんでん返しが回りくどい上に長く,しかも腑に落ちない推測ばかりで違和感を覚えます.

また,『名探偵とは』,特に負の要素である『名探偵が居るから』という点を強調し,
それでも探偵を,推理を続けるとする男は印象的ですが,幕引きへと続く衝撃は唐突で,
あからさまな『お涙ちょうだい』のようにも映って,今ひとつしっくりときませんでした.
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.15
(3pt)

ミステリというより『名探偵とは』を語るハードボイルド

ミステリよりも探偵,さらには『名探偵とは』に寄ったハードボイルド風の一冊で,
感謝も尊敬もされるが,憎まれ卑下もされ,それでも「名探偵だから」という気概が,
かつては一世を風靡も,今や引退同然の『元名探偵』の苦悩や葛藤を通じて語られます.
また,そこに金髪ボブの現代の名探偵を絡め,新と旧,現と元の対比が強調されています.

とはいえ,事件は起き,解かれもしますが,オマケとまでは言わないまでも物足りず,
終盤,終わったはずの事件,そして元名探偵の男へ還る構成は良かったと思うのですが,
どんでん返しが回りくどい上に長く,しかも腑に落ちない推測ばかりで違和感を覚えます.

また,『名探偵とは』,特に負の要素である『名探偵が居るから』という点を強調し,
それでも探偵を,推理を続けるとする男は印象的ですが,幕引きへと続く衝撃は唐突で,
あからさまな『お涙ちょうだい』のようにも映って,今ひとつしっくりときませんでした.
名探偵の証明 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明 (創元推理文庫)より
4488465129
No.14
(4pt)

複数重の真実

話のウラにまたウラがあり、綺麗に伏線が回収されている。
文体も読みやすい。
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.13
(3pt)

探偵の存在意義を問う物語

鮎川賞受賞作で、著者は鮎川氏とは漢字一文字違いというオマケも。
最近の鮎川賞も時代の流れか初期の頃のような重厚な本格路線よりも、軽いタッチで探偵キャラをメインにしたライト本格推理みたいな作品が多くなってきてちょっと何だかなという感もあるが、本作も往年の名探偵とアイドル探偵が対決するという探偵キャラメインの展開。
一応、劇中には3つほど事件が起こり、密室殺人も盛り込まれているが、トリック自体はかなり手垢の付いたものでトリック自体を取りだせば全く印象に残るものではないが。本作は事件よりも探偵の存在意義をメインにしているため、トリックの弱さは選考にはさほどマイナスにはならなかったようである。
探偵の存在意義を問うという趣向では第8回の鮎川賞最終選考に残り、後に書籍化された城平京の名探偵に薔薇をがあるが、こちらの方がトリックや設定等もずっと凝っていて読み応えがあった。
鮎川賞受賞作!と期待して読むとやや肩透かしの感がある。よくまとまっている小説だとは思うが・・・・。
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.12
(3pt)

探偵の存在意義を問う物語

鮎川賞受賞作で、著者は鮎川氏とは漢字一文字違いというオマケも。
最近の鮎川賞も時代の流れか初期の頃のような重厚な本格路線よりも、軽いタッチで探偵キャラをメインにしたライト本格推理みたいな作品が多くなってきてちょっと何だかなという感もあるが、本作も往年の名探偵とアイドル探偵が対決するという探偵キャラメインの展開。
一応、劇中には3つほど事件が起こり、密室殺人も盛り込まれているが、トリック自体はかなり手垢の付いたものでトリック自体を取りだせば全く印象に残るものではないが。本作は事件よりも探偵の存在意義をメインにしているため、トリックの弱さは選考にはさほどマイナスにはならなかったようである。
探偵の存在意義を問うという趣向では第8回の鮎川賞最終選考に残り、後に書籍化された城平京の名探偵に薔薇をがあるが、こちらの方がトリックや設定等もずっと凝っていて読み応えがあった。
鮎川賞受賞作!と期待して読むとやや肩透かしの感がある。よくまとまっている小説だとは思うが・・・・。
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.11
(4pt)

推理はオマケで全盛期を過ぎた名探偵が探偵業と家族どちらを選ぶか葛藤を描いた作品

表紙がラノベっぽいなと拒否反応を示しましたが鮎川哲也賞受賞と書かれてあったので手に取りました
途中某掲示板風の会話が出てきますがインターネットに疎い人にとっては意味不明なんじゃないかなと思う。受け付けない人もいるだろう
事件の難易度は本当低いです。過去の死神事件というものもすぐ犯人がわかってしまう
事件の真相は読者に情報があまり与えられてないので解けないのは仕方ないかなと思います
推理目的で読んでがっかりしましたが事件の真相がなかなか強烈で読み物としては面白かったのでこの評価です
主人公がどうなったか気になったので次回作を読もうと思います
名探偵の証明 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明 (創元推理文庫)より
4488465129
No.10
(4pt)

推理はオマケで全盛期を過ぎた名探偵が探偵業と家族どちらを選ぶか葛藤を描いた作品

表紙がラノベっぽいなと拒否反応を示しましたが鮎川哲也賞受賞と書かれてあったので手に取りました 途中某掲示板風の会話が出てきますがインターネットに疎い人にとっては意味不明なんじゃないかなと思う。 受け付けない人もいるだろう 事件の難易度は本当低いです。 過去の死神事件というものもすぐ犯人がわかってしまう 事件の真相は読者にキーワードがほぼ与えられてないので解けないのは仕方ないかなと思います 推理目的で読んで落胆したが読み物としては面白かったのでこの評価です 次回作も推理物として期待はしないが主人公がどうなったか気になったので次回作を読んでみます
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.9
(3pt)

「名探偵」を題材にした興味深い作品

第23回鮎川哲也賞受賞作、2014本格ミステリ・ベスト10国内編第17位の作品。
いつもの事ながらジャケ買いっぽい読み方で読了

非常に興味深い作品。
本格派と呼ばれる推理小説に登場する「名探偵」。事件解決を協力する刑事や、彼を支える美人秘書、密室やアリバイといった名探偵を彩る舞台に名探偵の謎解き……ミステリファンにはお馴染みのプロローグにニヤリとさせられながらページをめくると、名探偵は老い、事件で負った怪我で完全に自信をなくしてしまい、かつての秘書の妻とは別居状態で引きこもりに。テレビではアイドル探偵・蜜柑花子がちやほやとされている。

完全無欠の名探偵を、ただの”人”に引き落とし、そして復活させようとする展開が面白い。
名探偵に情報を流す刑事の悲哀、名探偵が「なぜか」事件に遭遇し続けること、無理のあるトリックなど推理小説を揶揄しながらも、その分野が好きなんだなという著者の気持ちが覗き見ることが出来て本当に楽しい作品でした。

トリックが弱いとか、蜜柑花子のキャラが弱いとか色々と言われているようですが、物語の閉じ方も含めて結構好きですけどね。
調べてみると、受賞後の2作目が出ているようなので、今度探して読んでみようと思います。
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.8
(3pt)

意気込みは評価するけど…

ほかの方も書いておられるが、単純にミステリを楽しみたい方には、不向きな作品である。
本作で追求されるのは、「探偵とは?」もしくは「探偵の役割は?」という問いかけである。その意気込みは評価するものの、探偵の悩みにも回答にも、それほどの“深さ”を読みとることはできなかった。
また、ミステリとしても、トリックなども甘いし、犯人にたどり着くこともさほど困難を感じない。

さて、本書で追求される問いかけに関しては、法月綸太郎氏や有栖川有栖氏が、エラリー・クイーンの中期・後期の作品を問題にしながら、それぞれの作品の中で考察されている。★の数を見れば分かると思うが、本作の中の考察や結論が、この2氏のものを上回ったとは思えない。しかし、この問いかけを持続的に追求するのであれば、次回作に期待はしてみたい。

作品そのものへの評価には関係ないが、この表紙の絵はいかがなものか。まるで「ライトノベル」である。それとも、その手の作品として売る気なのだろうか?

なお、選評を読んでいると、最終候補作の『それなりの天才』が気になった。数学者ラマヌジャンが登場するとのこと。過去には入賞しなくても最終候補作から単行本化されたケースがある。この作品が単行本化されることはないのだろうか?
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.7
(1pt)

推理ではなく憶測

推理というより憶測と思いました。賞を与えて本を売りたい出版社の気持ちはわかりますが、該当作なしもあっていいのでは?また この本にかぎらず 最近の受賞作には 規定枚数に達しようと 無駄な描写の多い作品が目立ちます。この作品は 一言で言えば幼稚なのです。成熟した大人の作品と思えません。それから 名前のアナグラムはもううんざりです
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.6
(3pt)

第23回鮎川哲也賞受賞作

新旧探偵の関係性が対決心むき出しじゃなかったことや、
一見パズルのピースとして無理やり当てはめられたかに見える
真犯人の境遇からくる動機の部分が結構人を貶める動機として
現実に有りそうな部分が良かった。
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.5
(1pt)

本格ミステリーということなのだが・・・・・・

全体の流れやラストの方は悪くなかったが、肝心のロジックが小粒すぎる。陸の孤島やエレベーターという設定も先例がいくつもあるものだったし、『近づいたら自殺するからね』という言葉が屋敷と花子にしか向けられてなかったというのは読者には分かりようがないし伏線やロジックとは言い難い。
屋敷が商店街を歩いていた時に不意に出てきた火だるまの人間も必要性がまったく無かった。 し終盤で屋敷が真犯人に気付くわけだが、気づき方が何度読み返しても意味不明。と、いうのも屋敷の知人から自殺したはずの女の子の詳細メールが届くわけだが、結局誰がどういう経緯でこのメールを送ってきたのかが最後まで分からなかったし、屋敷がなぜ真犯人に気づいたのかも触れられていなかった。
最後に屋敷は刺されるわけだが、刺した人物は探偵を恨んでいたわけなのだが、屋敷は既に世間的に過去の人間になっていたはずだから、刺されるとしたら一緒にいた花子になるはずではないのか。というか、最後に殺される必要性もよく分からない。
本格ミステリーをうたう鮎川哲也賞にしてはかなり残念な作品。
申し訳ないが星一つで
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.4
(3pt)

探偵についての小説

これは探偵小説ではない。
これは探偵についての小説である。
従ってミステリー的な謎解きを求める人にはおすすめできない。
事実昨中で述べられている事件の真相は、かなり既視感のあるもので、新鮮味はほとんどない。
むしろ探偵という職業の人間が背負う業のようなものを描いたお仕事小説に近い。
事件の真相がもう少し意外性のあるものだったら、屋敷も蜜柑も名探偵だと思えたのだろうが、
そこまでは思えなかったのが残念。
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.3
(4pt)

不可能犯罪に挑む名探偵の哀愁ただよう物語

第23回鮎川哲也賞受賞作ということで読んでみました。

 いきなり冒頭から謎解きシーン。そして、囚人のジレンマ的状況を作り上げ(実際に、囚人のジレンマと述べられている)、巧みに犯人を自白に追い込んでいく百戦百勝の名探偵、屋敷啓次郎。

 しかし、突然舞台は一転。屋敷は60歳を越え、体力・推理力とも衰えを見せ始めた引退間際の状況。かつての相棒だった警官、竜人も退職。また、探偵事務所の秘書であり、妻でもある美紀とも別居中。すでに、世間では次世代のアイドル的名探偵、蜜柑花子が注目され、屋敷のことなど忘れられている。

 それでも、往年のファンは屋敷に仕事を依頼してくる。ことごとく仕事を断っていた屋敷だったが、蜜柑花子を名指ししての脅迫状を送られた建設業者の家族が屋敷を招待したのだ。一本の橋だけが外界への唯一の通行路であるその別荘で、蜜柑花子とはじめて顔を合わせた屋敷。そこで、花子が自分の大ファンで、自分にあこがれて探偵になったのだと知る。

 そんななごやかな雰囲気もつかの間、主人の息子が自室で殺される。ドアに鍵がかかっており、窓にもドアにも内側からテープで厳重に目張りがされていて、外部からの侵入の跡はない。そして、ベッドでうつ伏せになった息子の首筋にはナイフが突き刺さっていた。。。

 と、前半はこの密室殺人の謎を解くことに費やされます。しかし、老いで推理能力に陰りを見せ始めた屋敷は、花子の力を借りざるをえない自分を恥じ、これを機についに探偵をやめることを決意する。

 ここで偶然、ストーカー被害に遭っていた女性と屋敷が同じエレベータに乗り合わせた時、そこに凶器を持ってストーカーの男が乗り込んでくる。エレベータを緊急停止させ、女性に迫る男。だが、突然静かになる。携帯の明かりで照らすと男は首を切られて殺されていた。ナイフは女性のバッグに入っていたものだったが、女性は自分は殺していないという。またもや密室殺人。

 もう探偵はやめると決意していた屋敷は、探偵として名乗りを上げるか決断を迫られる。。。と、こんな感じで次々と事件が起こっていき、最後に最初の密室殺人に関して驚愕の真相が語られます。

 また、屋敷の活躍で新本格ブームが起こったとか、思わずニヤリとするような描写があったり、推理小説を読むと犯罪を犯すようになるという俗説に反論したりと、著者のミステリ愛が伝わってきます。

 実は、この作品の主眼は、奇想天外な密室トリックの解決にはない、のではないかと思います。むしろ、屋敷(や花子)が事件を解決すればするほど、実は探偵が事件を引き起こしているのではないかと世間から揶揄されるという描写から、(後期クイーン的問題に通じる)探偵の存在意義とは何か?という問いを描こうとしたのではないでしょうか?

 まとめますと、不可能犯罪を複数配して本格ミステリ好きの趣向を満足させつつ、老いてもなお現役でありたいと欲する名探偵の気概と矜持を描き切った人間ドラマとして、リーダブルでハートフルな作品であると思います。
名探偵の証明 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明 (創元推理文庫)より
4488465129
No.2
(4pt)

不可能犯罪に挑む名探偵の哀愁ただよう物語

第23回鮎川哲也賞受賞作ということで読んでみました。

 いきなり冒頭から謎解きシーン。そして、囚人のジレンマ的状況を作り上げ(実際に、囚人のジレンマと述べられている)、巧みに犯人を自白に追い込んでいく百戦百勝の名探偵、屋敷啓次郎。

 しかし、突然舞台は一転。屋敷は60歳を越え、体力・推理力とも衰えを見せ始めた引退間際の状況。かつての相棒だった警官、竜人も退職。また、探偵事務所の秘書であり、妻でもある美紀とも別居中。すでに、世間では次世代のアイドル的名探偵、蜜柑花子が注目され、屋敷のことなど忘れられている。

 それでも、往年のファンは屋敷に仕事を依頼してくる。ことごとく仕事を断っていた屋敷だったが、蜜柑花子を名指ししての脅迫状を送られた建設業者の家族が屋敷を招待したのだ。一本の橋だけが外界への唯一の通行路であるその別荘で、蜜柑花子とはじめて顔を合わせた屋敷。そこで、花子が自分の大ファンで、自分にあこがれて探偵になったのだと知る。

 そんななごやかな雰囲気もつかの間、主人の息子が自室で殺される。ドアに鍵がかかっており、窓にもドアにも内側からテープで厳重に目張りがされていて、外部からの侵入の跡はない。そして、ベッドでうつ伏せになった息子の首筋にはナイフが突き刺さっていた。。。

 と、前半はこの密室殺人の謎を解くことに費やされます。しかし、老いで推理能力に陰りを見せ始めた屋敷は、花子の力を借りざるをえない自分を恥じ、これを機についに探偵をやめることを決意する。

 ここで偶然、ストーカー被害に遭っていた女性と屋敷が同じエレベータに乗り合わせた時、そこに凶器を持ってストーカーの男が乗り込んでくる。エレベータを緊急停止させ、女性に迫る男。だが、突然静かになる。携帯の明かりで照らすと男は首を切られて殺されていた。ナイフは女性のバッグに入っていたものだったが、女性は自分は殺していないという。またもや密室殺人。

 もう探偵はやめると決意していた屋敷は、探偵として名乗りを上げるか決断を迫られる。。。と、こんな感じで次々と事件が起こっていき、最後に最初の密室殺人に関して驚愕の真相が語られます。

 また、屋敷の活躍で新本格ブームが起こったとか、思わずニヤリとするような描写があったり、推理小説を読むと犯罪を犯すようになるという俗説に反論したりと、著者のミステリ愛が伝わってきます。

 実は、この作品の主眼は、奇想天外な密室トリックの解決にはない、のではないかと思います。むしろ、屋敷(や花子)が事件を解決すればするほど、実は探偵が事件を引き起こしているのではないかと世間から揶揄されるという描写から、(後期クイーン的問題に通じる)探偵の存在意義とは何か?という問いを描こうとしたのではないでしょうか?

 まとめますと、不可能犯罪を複数配して本格ミステリ好きの趣向を満足させつつ、老いてもなお現役でありたいと欲する名探偵の気概と矜持を描き切った人間ドラマとして、リーダブルでハートフルな作品であると思います。
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455
No.1
(3pt)

ご祝儀購入だったけどなかなか

紙の本と同時発売というなかなかできない事例に感心して購入してみたけど、内容はそこそこ良かった。

主人公は徹底して老探偵なのでそのあたりに抵抗がある人にはおすすめしにくい。

最後の真相は、無理があるとは言わないまでも、違和感は少なくない。

設定にそもそも無理があるのは最近のミステリとしては当たり前なので批判はしない。

とはいえ、とりたててすごい点もないので☆みっつで。
名探偵の証明 Amazon書評・レビュー: 名探偵の証明より
4488025455