トマシーナ

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評判

トマシーナの評価:

4.57/5点 レビュー 21件。 A ランク

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平均点4.57pt

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全22件 21〜22 2/2ページ
No.2
(4pt)

スコットランドを舞台にした、愛の奇跡の物語

久しぶりに再読して、今まで抱いていた作品の印象が変わりました。これまでは、トマシーナという猫が魅力的に描かれた物語と、そのイメージが強くありました。そういう側面もあるのですが、本書の核となるテーマはもっと別のところにあるんじゃないか、これは心に傷を負った男と、彼がこの世で何よりも愛する娘が、愛の奇跡によって救われる物語なんじゃないか、そう思ったんですね。マクデューイ氏という動物嫌いの獣医が、娘の愛を失って苦悩する姿、彼がひとりの女性と出会うことで人間としての温かさを取り戻していく姿、そんな彼の姿が切迫した調子で描き出されていたところ、そこに本書の一番の読みごたえを感じたのです。愛するトマシーナが父親の手によって殺された時、「トマシーナァァァァァ!」と絶叫するメアリ・ルー。それ以後、父親を心の中で抹殺したメアリ・ルー。彼女が深く傷つき、この世の中の出来事から心を閉ざすようになっていく姿は、見ていてどうにも痛ましく、やり切れない気持ちにさせられました。親友のアンドリュー・マクデューイを救おうと、彼の心にそれとなく働きかけていくアンガス・ペディ牧師。《赤毛の魔女》《変人ローリ》と呼ばれる女性とともに、彼の存在が大きかったこと、その人となりが魅力的だったのも心に残ります。山田蘭さんの訳文、なかなか見事だと思いました。特に、トマシーナが語る章での生き生きとした調子の文章と人称代名詞の用い方に、訳者のセンスの良さ、細やかな気遣いを感じました。原題は、Thomasina 1957年の作品。猫の名前がついた物語では、同じ著者の『ジェニィ』(新潮文庫 ※私が読んだのは、矢川澄子訳の『さすらいのジェニー』大和書房)とともに、深く心に残る、忘れがたい名作です。
トマシーナ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: トマシーナ (創元推理文庫)より
4488560016
No.1
(5pt)

待ってましたの新訳版

内容紹介が付いていないようなので、蛇足ながら…スコットランドの片田舎に暮らすマクデューイ氏は、獣医をつとめるにもかかわらず、動物に対して愛情を抱かない、孤独で冷淡な寡夫。ある日、娘が可愛がっていた猫トマシーナが病気になった際、彼は見込みがないと判断し、安楽死を強行してしまう。森の奥で動物を癒しながら慎ましく生きる「赤毛の魔女」。古代エジプトの猫神バスト・ラー。マクデューイ氏の旧友である温厚な牧師。完全に決裂したかに見える親子の関係が、少しずつ変わっていく。かつてディズニーで映画化されたこともある作品。旧訳版はすでに絶版で手に入らなかったので、新訳で出版されたことが嬉しいです。マクデューイ氏の仕打ちや頑なさに腹を立てたり、拒絶された父としての苦悩に共感したり、その叫びにホロリとさせられたり、あるいは軽快でユーモラスな、ギャリコらしい筆致に笑わされたりしながら読みふけりました。ギャリコの小説はどれも、人や生き物ひいては世界に対する、惜しみない賛美と愛情にあふれています。わけてもこの「トマシーナ」は物語の完成度が高い上、読後感もすばらしく、「ジェニイ」がお気に召した方はもちろん、ギャリコを知る最初の本としても相応しいと思います。
トマシーナ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: トマシーナ (創元推理文庫)より
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