一九三四年冬─乱歩

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一九三四年冬─乱歩の評価:

4.63/5点 レビュー 24件。 A ランク

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平均点4.63pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全72件 41〜60 3/4ページ
No.32
(5pt)

この独特の雰囲気がいい

久世さんの作品の中では一番好きです。
どれも独特の雰囲気がありますが、中でもこれはイイです。

懐古趣味的で、乱歩の世界の濃密なエロティシズムと差し色のようなグロテスク。
美青年に気を引かれる中年男、という部分は少し「ベニスに死す」を彷彿とさせ、
またあるときは美女に目移りし、ホテルの隣の部屋に怪奇的妄想を抱いたりする、
スランプで情緒不安定になっている乱歩の、外人向けホテルに逃避中の数日間(?)を描いています。

また、そんな生活から生み出される妄想を昇華したような小説が、
作中作で全部読めるんですが、これは乱歩っぽいといえば乱歩っぽいんですが、
何かもっとこう・・・熟れた桃の中にどっぷり入ってめくるめく陶酔に酔っ払ったような感じです。

アクがあってくせになるタイプの本です。私はめったに読み返しはしないのですが、
これはときどき読み返してしまいます。雰囲気にひたりたい時に。
一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)より
4488427111
No.31
(5pt)

乱歩への深い愛情の賜物

1934年、乱歩は新聞に連載していた小説「悪霊」を突然自分の都合で打ち切るという醜態を世間に晒し、数ヶ月間姿を隠していた。打ち切りの理由は「構想の未熟」であったと言う(乱歩の構想は「アクロイド」だったらしい)。本作はその空白の期間を作者があり余る想像力で補い、乱歩のそして時代の様子を描いたもの。乱歩に対する作者の愛情がヒシヒシと伝わる。

乱歩は友人に紹介されたホテルに泊まり新作を書こうとする。ところが、このホテルが怪しいのだ。ホテルの雰囲気自身が怪しいし、美青年のボーイ、謎の麗人、その他の怪しい宿泊客等、いかにも乱歩好みの状況だ。この状況に押されるように、乱歩は新作(勿論作者の作中作)を書き始める。その名は「梔子姫」。

物語は、乱歩が数々の謎に満ちた出来事に刺激を受けながら、この「梔子姫」を書き上げるまでを描く。この作中作は素晴らしい出来で、エロティシズムに溢れた怪異譚の傑作。乱歩自身の作品に優るとも劣らない幻想的作品だ。そして、最後に仕掛けが用意してある全体の構想も見事の一言に尽きる。

戦前の東京の様子・雰囲気も見事に描かれ、作者の研究ぶりが窺がえる。乱歩への愛情が産んだ乱歩ファンへの最高のプレゼントであり、構成も確かな耽美小説の傑作。
一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)より
4488427111
No.30
(5pt)

中年男の官能に静かな火をともす

乱歩についての作家論的な,それこそトリビアルなまでの取材がまずこの本を面白くしています.乱歩のいるホテルがまさにそこに足を踏み入れたように,そこの空気に包み込まれるように描かれています.それ以上に面白いのは,40歳の乱歩という中年男のいやらしさ,ねちっこさ,そして夢見がちな少年らしさという生理が,まるで目の前の禿頭をなで回すようにありありと実在感をもって描かれていることです.作中作「梔子姫くちなしひめ」はこの生理が生み出した宝石です.TVのお仕事についての高名が歴史に埋もれても,この本は語られ続けるでしょう.
一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)より
4488427111
No.29
(4pt)

乱歩以上に乱歩

乱歩への久世氏のねじくれた偏愛は「梔子姫」で乱歩以上に乱歩という最上の艶かしさで幕を閉じる。
一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)より
4488427111
No.28
(5pt)

香り、匂い

久世さんの作品は、大体、好きです。
どの作品も独特の色気があるのですが、私が特に好きなのは、
短篇集「桃」と、この「乱歩」です。久世さんの日本語は、気品のある妖しい香気が漂っていて、
素晴らしいと思います。作中に出てくる作品も良いのですが、
私としては、作中に出てくる小物の雰囲気が
薫り高くて、さらに好きです。
一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)より
4488427111
No.27
(5pt)

秀逸な「梔子姫」

江戸川乱歩が書いた作品を読んだことがある人は多いだろうが、江戸川乱歩が主人公の作品を読んだことがある人は少ないのではないか。そもそも私は、乱歩が主人公の作品があるのかないのかそれすらも知らない。あったとしてもそんなに多くはないだろう。この作品はそういう意味でも貴重だろうし、とにかく面白い。作中作の「梔子姫」などは、実際に乱歩が書いたのではないかと思わせるような雰囲気とエロチシズムに満ちている。乱歩ファンはもちろん、そうじゃない人も楽しめると思う。
一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)より
4488427111
No.26
(5pt)

乱歩の毒

読み進むうちに甘い毒に痺れていくような迷宮的作品。
乱歩その人を主人公とした趣向は筒井ともみや斉藤栄にもあったと記憶するが怪奇幻想文学に造詣の深かった著者らしく群を抜いた出来ばえ。
高名な演出家であった著者が文芸でのみ表現できる対象として乱歩を選んだことが、乱歩の映像化が往々にしてその原作の魅力に遠く及ばぬことを傍証している。
作中作の短編小説が単純な乱歩のパスティーシュでなく久世光彦の個性を濃厚に感じさせる点も逆に好ましい。
本作の如きこそ創元推理文庫に収録される日本作品に相応しいと思う。
一九三四年冬―乱歩 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬―乱歩 (新潮文庫)より
4101456216
No.25
(5pt)

乱歩の毒

読み進むうちに甘い毒に痺れていくような迷宮的作品。
乱歩その人を主人公とした趣向は筒井ともみや斉藤栄にもあったと記憶するが怪奇幻想文学に造詣の深かった著者らしく群を抜いた出来ばえ。
高名な演出家であった著者が文芸でのみ表現できる対象として乱歩を選んだことが、乱歩の映像化が往々にしてその原作の魅力に遠く及ばぬことを傍証している。
作中作の短編小説が単純な乱歩のパスティーシュでなく久世光彦の個性を濃厚に感じさせる点も逆に好ましい。
本作の如きこそ創元推理文庫に収録される日本作品に相応しいと思う。
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.24
(1pt)

下手

乱歩の真似して作った短編が全然乱歩っぽくない。下品なところが乱歩の持ち味なのに、久世は公家風のその名前どおりに上品すぎる。さらに全体として見ても下手。
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.23
(5pt)

梔子姫に

魅了されました。乱歩好きが高じて、こちらも読破してしまいましたが、想像以上に乱歩の世界観を再現されていたと思います。梔子姫はいい小説です。
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.22
(5pt)

久世光彦の乱歩憑依?

もうこんなペダンティックな文章で書かれた新しい小説は二度と読めないと思うと、残念というより悶え苦しむほど口惜しいのです。

まさしく自らの嗜好と性癖と偏向に呪縛されたイマジネーションの産物以外の何ものでもない、ピーンと張ったひとすじの妖しい耽美的感覚は、至上の喜びであると同時に戦慄の恐怖でもあるのです。

5年前の2006年3月2日、久世光彦は心不全で忽然と逝ってしまいました。享年70歳。

実際にひどいスランプになったことがある江戸川乱歩ですが、はるか80年を経た後年、自分が主人公にされて、環境の変化を求めて麻布の張ホテルで缶詰になり、そこで探偵小説狂いの人妻や謎の中国青年に悩まされつつも幻惑味たっぷりの新しい短編小説『梔子姫』を書く・・・・・などというまことしやかな物語をでっち上げられるとは、まさか夢にも思わなかったことでしょう。

二度目に読んだ時には久世光彦の息遣いが聞こえてきて、三度目には煙草の匂いがしてきました。そういうふうにして、著者というものは本の世界の中に永遠に生きるものなんだなあ、というより、私って他意識過剰なのかもしれません。

記述日 : 2011年07月19日 15:16:22
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.21
(5pt)

江戸川乱歩の人間臭さに魅了されて

美しい文章で語られる、ホテルに滞在した江戸川乱歩の数日間。しかし、取っつきづらさはない。どこかユーモラスで、江戸川乱歩の人間臭さが伝わってくる。人間として共感したり、作家として、やはり凄いなと思ったり、乱歩の人となりに魅了されて読み進めると、作中作のおもしろさとともに(かなりのエロスだが、女性でも抵抗ないかも)、隣の部屋に関するちょっとした謎が提示され、楽しく読み進められた。
あえて文句を付けるなら、このタイトルも、雑誌掲載中に付けてあったというタイトルも、この作品の奥行きの深さやユーモアやエロスなどがまったく伝わってこない。もうちょっといいタイトルはなかったのかなあ。
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.20
(5pt)

乱歩は温水洋一氏で

乱歩を1冊も読んだ事がないにもかかわらず、勧められて読んでみた。
文句なくおもしろい!
読みながら映像化され、あとで映画を見たような錯覚に陥るタイプの小説。
戦前の麻布に建つこじんまりしたアールヌヴォー様式ホテルの描写、美青年ボーイや
可憐なアメリカ人人妻等、取り巻く面々も楽しいが、なんと言っても、スランプに
陥ってる主人公・乱歩がすばらしくキュート。
自分は血みどろの怪奇小説を書いてるくせに、人の鼻血を見ただけで気が遠くなる
ような頭の薄い40男。
ちなみに私の脳内映像では温水洋一氏が演じてくれた(笑)。

久世が乱歩になりきって書いた小説内小説「梔子姫」が大変妖しくエロティックなので、
後に実際の乱歩作品を読んでみたら、久世の贋作の方が艶かしさでは上だった。
他の乱歩作品や往年の海外ミステリー、当時の作家の名前もたくさん出てくるので、
それらに詳しい人が読めば、さらに楽しめるだろう。
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.19
(4pt)

おススメします。

当時の雰囲気が漂っていてストーリーも展開のテンポもよく、ドンドン読み進めることが出来ました。
いつの間にか引き込まれて主人公である乱歩の立場から読むことができ楽しむ事が出来ました。乱歩
の作品と比較すると若干上品な印象を受けますがマイナスとなるほどのものではありません。作品中で
乱歩と同年代の作家と作品を引用している部分が多々ありますのでそれらの作家の知識があると更に楽
しめると思います。また、引用されている作家の作品も良書が多いので、それらもチェックしてみると
良いと思います。おススメします。
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.18
(5pt)

この独特の雰囲気がいい

久世さんの作品の中では一番好きです。
どれも独特の雰囲気がありますが、中でもこれはイイです。

懐古趣味的で、乱歩の世界の濃密なエロティシズムと差し色のようなグロテスク。
美青年に気を引かれる中年男、という部分は少し「ベニスに死す」を彷彿とさせ、
またあるときは美女に目移りし、ホテルの隣の部屋に怪奇的妄想を抱いたりする、
スランプで情緒不安定になっている乱歩の、外人向けホテルに逃避中の数日間(?)を描いています。

また、そんな生活から生み出される妄想を昇華したような小説が、
作中作で全部読めるんですが、これは乱歩っぽいといえば乱歩っぽいんですが、
何かもっとこう・・・熟れた桃の中にどっぷり入ってめくるめく陶酔に酔っ払ったような感じです。

アクがあってくせになるタイプの本です。私はめったに読み返しはしないのですが、
これはときどき読み返してしまいます。雰囲気にひたりたい時に。
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.17
(5pt)

乱歩への深い愛情の賜物

1934年、乱歩は新聞に連載していた小説「悪霊」を突然自分の都合で打ち切るという醜態を世間に晒し、数ヶ月間姿を隠していた。打ち切りの理由は「構想の未熟」であったと言う(乱歩の構想は「アクロイド」だったらしい)。本作はその空白の期間を作者があり余る想像力で補い、乱歩のそして時代の様子を描いたもの。乱歩に対する作者の愛情がヒシヒシと伝わる。

乱歩は友人に紹介されたホテルに泊まり新作を書こうとする。ところが、このホテルが怪しいのだ。ホテルの雰囲気自身が怪しいし、美青年のボーイ、謎の麗人、その他の怪しい宿泊客等、いかにも乱歩好みの状況だ。この状況に押されるように、乱歩は新作(勿論作者の作中作)を書き始める。その名は「梔子姫」。

物語は、乱歩が数々の謎に満ちた出来事に刺激を受けながら、この「梔子姫」を書き上げるまでを描く。この作中作は素晴らしい出来で、エロティシズムに溢れた怪異譚の傑作。乱歩自身の作品に優るとも劣らない幻想的作品だ。そして、最後に仕掛けが用意してある全体の構想も見事の一言に尽きる。

戦前の東京の様子・雰囲気も見事に描かれ、作者の研究ぶりが窺がえる。乱歩への愛情が産んだ乱歩ファンへの最高のプレゼントであり、構成も確かな耽美小説の傑作。
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.16
(5pt)

中年男の官能に静かな火をともす

乱歩についての作家論的な,それこそトリビアルなまでの取材がまずこの本を面白くしています.乱歩のいるホテルがまさにそこに足を踏み入れたように,そこの空気に包み込まれるように描かれています.それ以上に面白いのは,40歳の乱歩という中年男のいやらしさ,ねちっこさ,そして夢見がちな少年らしさという生理が,まるで目の前の禿頭をなで回すようにありありと実在感をもって描かれていることです.作中作「梔子姫くちなしひめ」はこの生理が生み出した宝石です.TVのお仕事についての高名が歴史に埋もれても,この本は語られ続けるでしょう.
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.15
(4pt)

乱歩以上に乱歩

乱歩への久世氏のねじくれた偏愛は「梔子姫」で乱歩以上に乱歩という最上の艶かしさで幕を閉じる。
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.14
(5pt)

香り、匂い

久世さんの作品は、大体、好きです。
どの作品も独特の色気があるのですが、私が特に好きなのは、
短篇集「桃」と、この「乱歩」です。久世さんの日本語は、気品のある妖しい香気が漂っていて、
素晴らしいと思います。作中に出てくる作品も良いのですが、
私としては、作中に出てくる小物の雰囲気が
薫り高くて、さらに好きです。
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455
No.13
(5pt)

秀逸な「梔子姫」

江戸川乱歩が書いた作品を読んだことがある人は多いだろうが、江戸川乱歩が主人公の作品を読んだことがある人は少ないのではないか。そもそも私は、乱歩が主人公の作品があるのかないのかそれすらも知らない。あったとしてもそんなに多くはないだろう。この作品はそういう意味でも貴重だろうし、とにかく面白い。作中作の「梔子姫」などは、実際に乱歩が書いたのではないかと思わせるような雰囲気とエロチシズムに満ちている。乱歩ファンはもちろん、そうじゃない人も楽しめると思う。
一九三四年冬‐乱歩 Amazon書評・レビュー: 一九三四年冬‐乱歩より
4087740455