聴き屋の芸術学部祭
評判
聴き屋の芸術学部祭の評価:
3.89/5点 レビュー 19件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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1.以前に自分の絵が壊された時には大ショックを受けていた筈の先輩が、いくら自分の水彩画を消すためとはいえ、他人の絵にもダメージを与えるスプリンクラーを作動させるという方法を取るのは性格的にも辻褄が合わない。自分の絵を消すためだけならもっと別の方法がいくらでも考えられたと思う。
2.また、「スプリンクラーで自分の水彩画が流されたのに先輩が聴き屋に愚痴をこぼしに来なかったのはそれが自分の望んでしたことだったから」という作中のロジックは、むしろ「自分の行為で他人の絵を駄目にした懺悔をするために聴き屋を訪れるべき」という新たなロジックで上書きされなければおかしい。
3.「学部の名誉を守るために盗作の証拠を隠そうとした」という大学事務員の動機の異様さはともかくとして、それでいきなり殺人放火に及ぶ前にもっと穏当でかつ充分効果的な方法が取り得た筈である。例えば、申請に必要だからと問題の写真を含む十数葉を預かった上で展示の許可を出さない、出しても問題の写真は返さない、などの方法で十分対処出来たと考えられる(封建的な事務員であれば当然やりそうな事である)。今日この日に展示の機会が奪われれば、盗作の露見の可能性は相当低くなったと思われるからだ。
以上のように、重要な場面においてその人物の行動に必然性がなく、それを補足する説明もないのでミステリとしては破綻している。頭に「ユーモア」と付けば許されるというものでもないと思う。