ニッポニアニッポン

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評判

ニッポニアニッポンの評価:

3.82/5点 レビュー 22件。 C ランク

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平均点3.82pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全30件 1〜20 1/2ページ
No.30
(4pt)

リンクを辿ってく感覚

初めて阿部和重の小説を読むという人にはこの作品を推すかもしれない。

「シンセミア」「ピストルズ」は長すぎるし、「インディヴィジュアル・プロジェクション」では堅すぎる。「グランド・フィナーレ」は最悪の選択肢。こうしてみるとやっぱり「ニッポニア・ニッポン」が入門書のように感じる。

推す理由としては、まず物語としてしっかり面白い、というのが一つある。

「自分の苗字に鴇という字があることからトキの存在に興味を持った主人公が、やがてそのトキを国家から解放するためにテロ計画を遂行する」

こんなにキャッチーなあらすじに、(そりゃ今でこそ形骸化してるけど)インターネット、引きこもり、ストーカー、なんてキーワードが付いて回る。
「ね、おもしろそうでしょ?」なんてテンションで知り合いに薦められそうな身なりだ。

で、作品に張り巡らされたテクニックもすごい。荒唐無稽なあらすじを小説としてまとめあげた文章もさることながら、まるでサイトのリンクを辿るみたいに飛び飛びで挿入される過去話や、唐突な場面転換など、至る所に物語の要素に連なる技巧が点在していて、ニクい。

惜しむらくは話そのものが意外と綺麗にまとまってるところ(もっと破天荒な展開があってもよかった。したらば少なくともこの主人公をもっと躍動させることができた)と、ラストはなんだかんだでいつもの阿部和重なところ。でもまあこういうオチはお家芸か。

三島賞取れなかったのは残念だけど、よりにもよってグランドフィナーレで芥川賞取っちゃう阿部和重だから、そこんとこも致し方なし。
ニッポニアニッポン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポン (新潮文庫)より
4101377243
No.29
(4pt)

リンクを辿ってく感覚

初めて阿部和重の小説を読むという人にはこの作品を推すかもしれない。

「シンセミア」「ピストルズ」は長すぎるし、「インディヴィジュアル・プロジェクション」では堅すぎる。「グランド・フィナーレ」は最悪の選択肢。こうしてみるとやっぱり「ニッポニア・ニッポン」が入門書のように感じる。

推す理由としては、まず物語としてしっかり面白い、というのが一つある。

「自分の苗字に鴇という字があることからトキの存在に興味を持った主人公が、やがてそのトキを国家から解放するためにテロ計画を遂行する」

こんなにキャッチーなあらすじに、(そりゃ今でこそ形骸化してるけど)インターネット、引きこもり、ストーカー、なんてキーワードが付いて回る。
「ね、おもしろそうでしょ?」なんてテンションで知り合いに薦められそうな身なりだ。

で、作品に張り巡らされたテクニックもすごい。荒唐無稽なあらすじを小説としてまとめあげた文章もさることながら、まるでサイトのリンクを辿るみたいに飛び飛びで挿入される過去話や、唐突な場面転換など、至る所に物語の要素に連なる技巧が点在していて、ニクい。

惜しむらくは話そのものが意外と綺麗にまとまってるところ(もっと破天荒な展開があってもよかった。したらば少なくともこの主人公をもっと躍動させることができた)と、ラストはなんだかんだでいつもの阿部和重なところ。でもまあこういうオチはお家芸か。

三島賞取れなかったのは残念だけど、よりにもよってグランドフィナーレで芥川賞取っちゃう阿部和重だから、そこんとこも致し方なし。
ニッポニアニッポン Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポンより
4104180025
No.28
(4pt)

大江健三郎17歳に通底する反抗期の物語

ティーンの思春期、反抗期って考えていることと、実行できる事の差への苛立ちだと思う。その差をどう埋めるかが問題なわけで、それをテロによって埋めようとする心象は、大江健三郎の17歳に通じるテーマ。
ニッポニアニッポン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポン (新潮文庫)より
4101377243
No.27
(4pt)

大江健三郎17歳に通底する反抗期の物語

ティーンの思春期、反抗期って考えていることと、実行できる事の差への苛立ちだと思う。その差をどう埋めるかが問題なわけで、それをテロによって埋めようとする心象は、大江健三郎の17歳に通じるテーマ。
ニッポニアニッポン Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポンより
4104180025
No.26
(4pt)

痛々しいまでの自己実現への希求

本作品の主人公 鴇谷春生(とうやはるお)は、自身の姓に含まれるトキへ並々ならぬ関心を抱いている。学校にもいかず、仕事もぜず、トキに関する様々な情報を調べ上げる日々を送っているのだ。春生がたどり着いたのは、トキの飼育、解放、密殺の三択。

本作品は、春生の、特別天然記念物トキをめぐる革命闘争の記録である。

同級生 本木桜をストーカーした挙句、故郷から追い出された春生は、なんら悪びれることもなく、親の仕送りで暮らしている。読み進めるうちに春生の人間性が伝わってくるのだが、なんとも苦い気分になる。春生の、ことごとく自己を正当化し、周囲のネガティヴな反応を一蹴する、歪んだプライドを感じてしまうのだ。トキのように、自分は特別な存在であるという意識が、沸々を湧き出てくるようだ。これが春生のアイデンティティ。

春生は、武装を整え、佐渡トキ保護センターへ。特別な存在のトキは、特別な存在の春生によって、自由になるべきだという発想だ。

春生は、佐渡へ向かう途中、瀬川文緒という中学生と出会う。文緒が、ただならぬ気配を察知したとき、春生は、文緒に桜を重ねて心情を吐露する。初めての魂の叫び声だ。

「俺はやっと、自分の使命がわかったんだよ。人生最大の目的をしっかり掴んだんだ。明日は絶対にそれをやらなきゃいけないんだよ。だからもう、俺を迷わせるのはやめてくれないか! ・・・」

どこかゲーム感覚であった春生の計画は、痛々しいまでの自己実現への希求だったことがわかる。春生の革命ははたして成就するのか。なんともやるせない幕切れなのだが、どうだろうか。
ニッポニアニッポン Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポンより
4104180025
No.25
(4pt)

痛々しいまでの自己実現への希求

本作品の主人公 鴇谷春生(とうやはるお)は、自身の姓に含まれるトキへ並々ならぬ関心を抱いている。学校にもいかず、仕事もぜず、トキに関する様々な情報を調べ上げる日々を送っているのだ。春生がたどり着いたのは、トキの飼育、解放、密殺の三択。

本作品は、春生の、特別天然記念物トキをめぐる革命闘争の記録である。

同級生 本木桜をストーカーした挙句、故郷から追い出された春生は、なんら悪びれることもなく、親の仕送りで暮らしている。読み進めるうちに春生の人間性が伝わってくるのだが、なんとも苦い気分になる。春生の、ことごとく自己を正当化し、周囲のネガティヴな反応を一蹴する、歪んだプライドを感じてしまうのだ。トキのように、自分は特別な存在であるという意識が、沸々を湧き出てくるようだ。これが春生のアイデンティティ。

春生は、武装を整え、佐渡トキ保護センターへ。特別な存在のトキは、特別な存在の春生によって、自由になるべきだという発想だ。

春生は、佐渡へ向かう途中、瀬川文緒という中学生と出会う。文緒が、ただならぬ気配を察知したとき、春生は、文緒に桜を重ねて心情を吐露する。初めての魂の叫び声だ。

「俺はやっと、自分の使命がわかったんだよ。人生最大の目的をしっかり掴んだんだ。明日は絶対にそれをやらなきゃいけないんだよ。だからもう、俺を迷わせるのはやめてくれないか! ・・・」

どこかゲーム感覚であった春生の計画は、痛々しいまでの自己実現への希求だったことがわかる。春生の革命ははたして成就するのか。なんともやるせない幕切れなのだが、どうだろうか。
ニッポニアニッポン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポン (新潮文庫)より
4101377243
No.24
(4pt)

近代小説の練習?

阿部は本作にて、三島由紀夫『金閣寺』の愚直なまでの反復をやってみせることで、鬱屈した若者の内面に迫る近代小説の可能性を実験したのだろうか。それとも村上春樹がリアリズムの訓練と嘯いて『ノルウェイの森』の執筆動機を語るように、技術上の要請として本作を書いたのだろうか。

中高生は誰もが通過する届かない思慕の念を溜め込んだあまり、ドス黒い鬱屈を天然記念物のニッポニアニッポンの殺害に転化してしまうという、いびつで苛烈なロマンティシズムの破綻。比喩表現を最小限に抑えた愚直で朴訥とした文章が、私たちのの些細な負の感情を鋭敏につかみとり、かっさらうようにして滅亡への道へ誘う。
ニッポニアニッポン Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポンより
4104180025
No.23
(4pt)

近代小説の練習?

阿部は本作にて、三島由紀夫『金閣寺』の愚直なまでの反復をやってみせることで、鬱屈した若者の内面に迫る近代小説の可能性を実験したのだろうか。それとも村上春樹がリアリズムの訓練と嘯いて『ノルウェイの森』の執筆動機を語るように、技術上の要請として本作を書いたのだろうか。

中高生は誰もが通過する届かない思慕の念を溜め込んだあまり、ドス黒い鬱屈を天然記念物のニッポニアニッポンの殺害に転化してしまうという、いびつで苛烈なロマンティシズムの破綻。比喩表現を最小限に抑えた愚直で朴訥とした文章が、私たちのの些細な負の感情を鋭敏につかみとり、かっさらうようにして滅亡への道へ誘う。
ニッポニアニッポン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポン (新潮文庫)より
4101377243
No.22
(5pt)

気晴らしにどこかへ外出しよう。

鴇とトキの同定にはじまる設定の荒唐無稽さは感じられたが、主人公の内面描写や環境描写をはじめとして深く感情移入させられた。(本木桜や瀬川文緒の絡ませ方も巧みである。)突飛なようだが、主人公たる少年の孤独さ寂寥さという点では『ライ麦畑でつかまえて』とも通底するモチーフをもった小説であると思う。
「俺にとって今、真に重要なことは、『人間の書いたシナリオ』をぶち壊す、この一点に尽きている。トキ救済は、単なる名目にすぎない」(68頁)。
「お前たちも、運試ししてみればいいさ、運が悪けりゃここへ逆戻り、運が良ければ、どこまでも好きに飛んでゆけばいい・・・・・・」(173〜4頁)。
あくまでも密殺(166頁)を目的に侵入した鴇谷春生が、ラストでトキの解放(5頁)に振れたのが印象的。最後の最後に主人公は、「ニッポニアニッポン」と命名されたが故に自らの運命を自由に選択することのできない境遇に置かれた鳥たちの姿を、挫折から這い上がらんとする自らの姿に漸くピッタリと重ね合わせたかのようである。
ニッポニアニッポン Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポンより
4104180025
No.21
(5pt)

気晴らしにどこかへ外出しよう。

鴇とトキの同定にはじまる設定の荒唐無稽さは感じられたが、主人公の内面描写や環境描写をはじめとして深く感情移入させられた。(本木桜や瀬川文緒の絡ませ方も巧みである。)突飛なようだが、主人公たる少年の孤独さ寂寥さという点では『ライ麦畑でつかまえて』とも通底するモチーフをもった小説であると思う。
「俺にとって今、真に重要なことは、『人間の書いたシナリオ』をぶち壊す、この一点に尽きている。トキ救済は、単なる名目にすぎない」(68頁)。
「お前たちも、運試ししてみればいいさ、運が悪けりゃここへ逆戻り、運が良ければ、どこまでも好きに飛んでゆけばいい・・・・・・」(173〜4頁)。
あくまでも密殺(166頁)を目的に侵入した鴇谷春生が、ラストでトキの解放(5頁)に振れたのが印象的。最後の最後に主人公は、「ニッポニアニッポン」と命名されたが故に自らの運命を自由に選択することのできない境遇に置かれた鳥たちの姿を、挫折から這い上がらんとする自らの姿に漸くピッタリと重ね合わせたかのようである。
ニッポニアニッポン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポン (新潮文庫)より
4101377243
No.20
(4pt)

誇大妄想の男の話

片思いの相手への猛烈な恋慕の情を押さえきれず、ストーキングを繰り返したあげく家に侵入
し日記を盗み見て、それらすべてのことを「彼女を守るため」の自分の使命ということにすり替えた
り、たまさか苗字に「鴇(トキ)」という字が含まれていたために、佐渡で国によって生育さ
れている鴇と、自分が宿命的なつながりがあると思いこみ、「解放」あるいは「密殺」を企て
ようとする超ド級の勘違い野郎の小説。
社会から疎外された孤独な男が国家を揺るがす大事件を企てるという小説には他に、作家自身
が言っているとおり三島由紀夫『金閣寺』があるが、僕はそれよりもマーティン・スコセッシ
の映画『タクシードライバー』を思い出した。あの作品でも、孤独な主人公に二人の女性が関
わってくる(クライマックスで主人公が助ける少女は実はジョディー・フォスター)。しかし、
それらと同様のモチーフにおいても、この作品では滑稽でかつもの悲しく書かれている。
異常な切迫感にせき立てられながら計画の実行へとつき進んでいく主人公「春生」の描写は面
白いのだが、それ以上にそこまでに思い詰めていたその計画への熱意が、些細なことで揺らい
でいくことのもの悲しさが、さらに笑える。
春生はトキのユウユウに子どもが生まれたというニュースを知り、それまでシンパシーを感じ
ていた彼に怒りを覚える。童貞の自分とは違い、毎日ユウユウはメスと交尾に励んでいたから
である。動物にそこで嫉妬するな(笑)
『ニッポニアニッポン問題の最終解決』という大それたネーミングの計画は、徐々に化けの皮
がはがれ、結局実は、初恋の相手に変態扱いされた「人生に大逆転劇を起こす」という、あま
りにも陳腐な願いを叶えることが目的だったのである。
そのほかにも、社会に対して(勝手に)抱く疎外感や、過剰な自己顕示欲にまみれた彼の性格
は、今風に言えば要するに「中二病」なのである。
計画実行の顛末にしかり、こういう「最後のところで折れてしまうのね」という弱い男の性み
たいなものは、個人的には嫌いではない。
ニッポニアニッポン Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポンより
4104180025
No.19
(4pt)

誇大妄想の男の話

片思いの相手への猛烈な恋慕の情を押さえきれず、ストーキングを繰り返したあげく家に侵入
し日記を盗み見て、それらすべてのことを「彼女を守るため」の自分の使命ということにすり替えた
り、たまさか苗字に「鴇(トキ)」という字が含まれていたために、佐渡で国によって生育さ
れている鴇と、自分が宿命的なつながりがあると思いこみ、「解放」あるいは「密殺」を企て
ようとする超ド級の勘違い野郎の小説。
社会から疎外された孤独な男が国家を揺るがす大事件を企てるという小説には他に、作家自身
が言っているとおり三島由紀夫『金閣寺』があるが、僕はそれよりもマーティン・スコセッシ
の映画『タクシードライバー』を思い出した。あの作品でも、孤独な主人公に二人の女性が関
わってくる(クライマックスで主人公が助ける少女は実はジョディー・フォスター)。しかし、
それらと同様のモチーフにおいても、この作品では滑稽でかつもの悲しく書かれている。
異常な切迫感にせき立てられながら計画の実行へとつき進んでいく主人公「春生」の描写は面
白いのだが、それ以上にそこまでに思い詰めていたその計画への熱意が、些細なことで揺らい
でいくことのもの悲しさが、さらに笑える。
春生はトキのユウユウに子どもが生まれたというニュースを知り、それまでシンパシーを感じ
ていた彼に怒りを覚える。童貞の自分とは違い、毎日ユウユウはメスと交尾に励んでいたから
である。動物にそこで嫉妬するな(笑)
『ニッポニアニッポン問題の最終解決』という大それたネーミングの計画は、徐々に化けの皮
がはがれ、結局実は、初恋の相手に変態扱いされた「人生に大逆転劇を起こす」という、あま
りにも陳腐な願いを叶えることが目的だったのである。
そのほかにも、社会に対して(勝手に)抱く疎外感や、過剰な自己顕示欲にまみれた彼の性格
は、今風に言えば要するに「中二病」なのである。
計画実行の顛末にしかり、こういう「最後のところで折れてしまうのね」という弱い男の性み
たいなものは、個人的には嫌いではない。
ニッポニアニッポン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポン (新潮文庫)より
4101377243
No.18
(5pt)

代表作と言える

デビュー作の『アメリカの夜』と本作でもって阿部和重は記憶されるのではないか。その言及対象や構図や時代性を抜きにしても、過渡期の少年の思想史として美しいと思う。
ニッポニアニッポン Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポンより
4104180025
No.17
(5pt)

代表作と言える

デビュー作の『アメリカの夜』と本作でもって阿部和重は記憶されるのではないか。その言及対象や構図や時代性を抜きにしても、過渡期の少年の思想史として美しいと思う。
ニッポニアニッポン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポン (新潮文庫)より
4101377243
No.16
(4pt)

国家の抱える問題をあぶりだし。韜晦の技術。

この作品の発刊により、阿部和重が韜晦の技師であることは明らかになった。
概要・17歳の少年は、自分の名に「鴇」がある故に、トキへのシンパシーを感じている。
トキの解放または殺害を試みるために、ネットでサーチを行い、大量の情報を入手する。
そして、佐渡にあるトキ保護センターへ向かう、といった極めて単純なストーリーだ。
しかし、阿部和重の作品には小説としての面白みの他に、解読の面白みがある。
解説者が記述しているように、二人のヒロイン・本木桜と瀬川文緒の名前の由来は
カードキャプターさくらの木之本桜であるとか、おじゃ魔女ドレミの瀬川おんぷに由来するものだとか。
個人的な見解を述べると、阿部和重の面白みは「小説を読むだけ」には絶対ない。
隠された魅力を探し出すところにあるのだ。
また、解説者が「読みやすく、何度も読み返せる」といった文を書いているが、
僕はインディヴィジュアル・プロジェクションよりもハードな文体だと感じた。
この作品は文学を探求したいものしか、楽しめないのではなかろうか。
ただ単純に、小説で感動したい! なんて人には絶対にむかない。
阿部和重は常に読者を騙しているので、隠された魅力を突き止めていくところに、本当の意味があるのだ。
この作品は特にそういったものだ。
ただ単純に読むだけではなく、色々と視点を変更しながら、論理的に考えていくことに本当の魅力がある。
阿部和重の巧みな技術を解読することにより、絶頂の快楽が与えられる壮大な作品だ。
阿部和重は韜晦の技師である。
ニッポニアニッポン Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポンより
4104180025
No.15
(4pt)

国家の抱える問題をあぶりだし。韜晦の技術。

この作品の発刊により、阿部和重が韜晦の技師であることは明らかになった。
概要・17歳の少年は、自分の名に「鴇」がある故に、トキへのシンパシーを感じている。
トキの解放または殺害を試みるために、ネットでサーチを行い、大量の情報を入手する。
そして、佐渡にあるトキ保護センターへ向かう、といった極めて単純なストーリーだ。
しかし、阿部和重の作品には小説としての面白みの他に、解読の面白みがある。
解説者が記述しているように、二人のヒロイン・本木桜と瀬川文緒の名前の由来は
カードキャプターさくらの木之本桜であるとか、おじゃ魔女ドレミの瀬川おんぷに由来するものだとか。
個人的な見解を述べると、阿部和重の面白みは「小説を読むだけ」には絶対ない。
隠された魅力を探し出すところにあるのだ。
また、解説者が「読みやすく、何度も読み返せる」といった文を書いているが、
僕はインディヴィジュアル・プロジェクションよりもハードな文体だと感じた。
この作品は文学を探求したいものしか、楽しめないのではなかろうか。
ただ単純に、小説で感動したい! なんて人には絶対にむかない。
阿部和重は常に読者を騙しているので、隠された魅力を突き止めていくところに、本当の意味があるのだ。
この作品は特にそういったものだ。
ただ単純に読むだけではなく、色々と視点を変更しながら、論理的に考えていくことに本当の魅力がある。
阿部和重の巧みな技術を解読することにより、絶頂の快楽が与えられる壮大な作品だ。
阿部和重は韜晦の技師である。
ニッポニアニッポン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポン (新潮文庫)より
4101377243
No.14
(5pt)

まとまり感のある作品に仕上がっています

この小説は、佳作としてある作品のような気がします。
政治的なテーマが通低にあるような気配を漂わせながら、
引きこもりな凶悪少年の妄想がついに現実へと向かう、
その一部始終が、緊張感を持って語られていくさまはなかなかの
ものがあります。
初読の際は、「うーん、つまらんかも」と思ったのですが、
しばらく経って再読したら「うーん、おもしろい」に変わって
いました。
初読の当時は、まだ、『ニッポニアニッポン』のもつ時代性を
掴みきれていなかったのかもしれません。その意味でも、じつに
同時代性を伴った作品だとは思います。
最後に、阿部氏のロリータ・コンプレックス描写は小気味いいもの
があります。 ボクは好きです、こういうの。
ニッポニアニッポン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポン (新潮文庫)より
4101377243
No.13
(5pt)

まとまり感のある作品に仕上がっています

この小説は、佳作としてある作品のような気がします。
政治的なテーマが通低にあるような気配を漂わせながら、
引きこもりな凶悪少年の妄想がついに現実へと向かう、
その一部始終が、緊張感を持って語られていくさまはなかなかの
ものがあります。
初読の際は、「うーん、つまらんかも」と思ったのですが、
しばらく経って再読したら「うーん、おもしろい」に変わって
いました。
初読の当時は、まだ、『ニッポニアニッポン』のもつ時代性を
掴みきれていなかったのかもしれません。その意味でも、じつに
同時代性を伴った作品だとは思います。
最後に、阿部氏のロリータ・コンプレックス描写は小気味いいもの
があります。 ボクは好きです、こういうの。
ニッポニアニッポン Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポンより
4104180025
No.12
(5pt)

物語の終わりと小説の終わりを二度楽しむ

「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」計画を構想する内省的な前半と、それを実行に移す過程を描く、「物語」的な後半で読み応えが違ってくる。後半は、「なぞとき」(といっても推理小説的なものではない)的な展開が多い著者の作品の中ではちょっと珍しいかなという感想。ここでは「映画」の「シーン」を描いている気がするし、そうならば「物語」の結末としては納得。ただし、「小説」の終わり方としては、「インディビジュアル・プロジェクション」同様、「物語」への肩透かしを食らわせてくるので要注意(そんなおおげさじゃないですけど)。あ、あと、この文庫本には、斎藤環先生(精神科医:存じ上げないのですが)のあとがきで本の表紙、登場人物の名前に関する解説をしてくれている。思わず、「ヘー」と思えるネタである。
ニッポニアニッポン Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポンより
4104180025
No.11
(5pt)

物語の終わりと小説の終わりを二度楽しむ

「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」計画を構想する内省的な前半と、それを実行に移す過程を描く、「物語」的な後半で読み応えが違ってくる。後半は、「なぞとき」(といっても推理小説的なものではない)的な展開が多い著者の作品の中ではちょっと珍しいかなという感想。ここでは「映画」の「シーン」を描いている気がするし、そうならば「物語」の結末としては納得。ただし、「小説」の終わり方としては、「インディビジュアル・プロジェクション」同様、「物語」への肩透かしを食らわせてくるので要注意(そんなおおげさじゃないですけど)。あ、あと、この文庫本には、斎藤環先生(精神科医:存じ上げないのですが)のあとがきで本の表紙、登場人物の名前に関する解説をしてくれている。思わず、「ヘー」と思えるネタである。
ニッポニアニッポン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ニッポニアニッポン (新潮文庫)より
4101377243