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黒蜘蛛島: 薬師寺涼子の怪奇事件簿



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黒蜘蛛島: 薬師寺涼子の怪奇事件簿の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
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No.1:
(7pt)

なにゆえバンクーバー?

薬師寺涼子の怪奇事件簿シリーズ第5弾。第3作目の『巴里・妖都変』以来、もはや薬師寺涼子のパワーは日本では収まらないと見えて舞台を海外に設定する事になったが、本作ではカナダはバンクーバーが舞台となっている。
パリ、香港と来て、意外や意外、バンクーバーなのかというのが正直な感想。世界の主要都市といえば他にニューヨーク、ロンドン、シドニー、ベルリンなど他にもあるのに、なぜこの国?と思ってしまった。

ということで今回の敵は黒蜘蛛。もうハリウッドのB級ホラー映画なみの設定である。そしてそれは作者も自覚的で、グレゴリー・キャノン一世が往年のB級ホラー作プロデューサーでカルト的人気を誇る設定を用意し、なおかつ作中作で一本のホラー映画のシナリオを展開し、それが設定に大いに絡んでくるといった内容だ。
そして今回も薬師寺涼子の無敵ぶり、傍若無人ぶりは健在。というよりも以前にも増して拍車が掛かっている。ここまで来るともう涼子は単に運動神経抜群、才気に溢れ、更に超絶美人というありがちなキャラクターからさらに一歩抜きん出た存在となり、リアリティ云々を超越したキャラクターとなっている。

そして涼子の周囲を取り巻く連中も更にキャラクターに魅力を伴ってきた。涼子の天敵でメガネ美人の室町由紀子。その部下でオタクキャリアの岸本警部補。涼子の従者かつ戦闘員であるメイド、マリアンヌとリュシアンヌなど、オタクが萌える要素がどんどん投入され、ライトノベルの王道を闊歩していくようだ。実際、オタクたちにとってこのシリーズはどのような受け取られ方をしているのだろうか?
今回涼子が敵地に乗り込むのに扮したコスチュームはぴったりとした漆黒のボディスーツにマントとなんとアイマスク!これを読んで、私は『ヤッターマン』のドロンジョ様を思い浮かべてしまった。う~ん、どうしたんだろう、田中芳樹氏。
しかし、冒頭で話した今回の舞台バンクーバーならではという設定、ストーリーの妙味というのは無かった。今回ハリウッドの超大物プロデューサーを敵役に設定し、舞台を黒蜘蛛島という架空の島に設定した事から必然的に決まったような節がある。ここら辺が残念だ。

ともあれ、第5作もその破天荒ぶりは健在。ただシリーズも第5作を迎えると転機が欲しくなる。泉田がピンチになるとか、涼子のオーナー会社が乗っ取りに遭うとか、無敵のお涼の根幹を揺るがし、冷や汗をかかせるような話を用意してほしい。
でも田中氏はどうもこの作品でストレスを解消しているようなので、良くも悪くもマンネリできっとこのまま行くんだろうな。

Tetchy
WHOKS60S

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