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天空の蜂



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天空の蜂の評価: 7.67/10点 レビュー 9件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.67pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全9件 1~9 1/1ページ
No.9:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

天空の蜂の感想

究極の理系社会派サスペンスミステリー(東野圭吾がぎっしり詰まった作品)。ヘリと原発の説明が眩暈がするほど長くて、手に汗握るアクションや哀しい人間ドラマを堪能するより、ただ疲れた。25年前の作品なので、原発の安全神話については、その後東日本大震災が大きく警鐘を鳴らす事となった訳です。著者は阪神淡路大震災やチェルノブイリから着想を得たのでしょうが、まさか本当に震災が「天空の蜂」となり日本を刺すとは、事実は小説より奇なり。ほんの数時間の出来事なのに超濃密な物語、書くのも大変だったでしょうが、読むのも大変でした。

なおひろ
R1UV05YV
No.8:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

既に蜂に刺されたことを忘れつつある今、再読を!

映像化作品が多い東野作品の作品の中でも抜群のサスペンスを誇る作品だが、なかなか映像化されなかった本書。
その理由が本書を読んで判ったような気がした。この作品は3.11以前に読むのと以後とでは全く読後感は違ったものになっただろう。

リモートコントロールされた無人ヘリコプターが原子炉上空に滞空し、テロの武器となる。この着想の妙には発表当時、これはすごいなと思ったものだ。

今や国民的ミステリ作家となった東野圭吾が1995年に発表した本書はそんなサスペンス巨編。今回のテロリスト「天空の蜂」が要求する条件とは
・稼働中、点検中の日本全国の原発を全て使用不能にすること
・建設中の原発の工事中止
3.11で原発への不安が叫ばれている昨今、なんともタイムリーすぎて背筋に寒気を覚えた(ちなみに私は渋谷で原発反対のデモ行進を目の当たりにした)。
この内容は現在デリケートすぎて確かになかなか映像化できなかったことだろう。原発反対派に強硬手段の一つのヒントを与えるようなものだ。
逆に発表後約四半世紀経った今でも絶版にならないことが不思議だと云える。

作中で原発周辺に住む人間達の心持が描かれる。原発があるということが生活に馴染みすぎていて異常時の脅威をなかなか現実的に捉えられないとある作中人物が吐露するのだが、これこそまさに3.11以前と以後の日本人の意識であろう。

さらに原発に危機が訪れていることを知り、コンビニに買出しに行く主婦たちの描写があるが、これも3.11で経験した我々の日常だ。

また原発産業に関っている会社が社員に反対運動に署名することに圧力を掛けたことや都会に住む人間の電気供給のためにゆかりも無い田舎の地で原発が築かれ、またその自治体も電源三法交付金という甘い蜜を吸い、と地域活性を促進させたいがために原発の誘致もする現状。
そして実際に原発が停止した際に訪れる様々な場所での影響―工場の操業の停止、百貨店内や都市を走る電車のエアコン停止などの節電対応など、本書に書かれているエピソードの1つ1つが今年我々の身に起きた東日本大地震による原発停止による節電生活を筆頭にした社会問題をそのまま表しており、フィクションとして読めなくなってくる。とても16年前の作品とは思えないリアルさだ。東野氏の取材力と想像力の凄さに恐れ入る。

そしてとにかく原発側の安全神話の妄信振りがこれでもかとばかり書かれる。
阪神大震災並みの地震が来た時、本当に壊れないのか?
航空機が落ちても本当に大丈夫なのか?
これらに関して原発側は終始一貫して「壊れることは無い」、「システムが稼動しないことは無い」の一点張り。技術に絶対はないという定義に一切目を向けないほどの頑固さを発揮する。

この「航空機が墜落しても放射能漏洩事故は起きない」という安全神話がただの張子の虎であったことを知らされた。

即ち原発上空には飛行機やヘリコプターなど飛ぶことは禁じられており、周辺にも飛行場などは建設してはいけないことになっているから、飛行機などが落ちるはずが無いというなんとも薄弱な根拠でシミュレーションさえもなされていないのだ。

この考えが昨年まで浸透していたのかどうかわからないが、2001年にニューヨークで起きた9.11同時多発テロを見ればそれが机上の空論に過ぎないことが解るというものだ。

さらに原発職員と警察、消防の関係者との打合せの場でも制御棒が落ちて稼動停止することが当たり前であり、その装置が何らかの不具合で作動しないなどはありえないと妄信する原発側の発言なども出てくる。

しかしよくもこれほど企業体質や立場などを露骨に書いたものだ、東野氏は。

原発ジャックを起こした主犯の三島幸一は、ヘリコプターを開発した会社錦重工業の社員であり、会社の原子力機器設計部門に勤務している。ヘリコプターの設計に携わった湯原の同僚でもあり、新入社員の頃から人とは違った着眼点と鋭い洞察力を持ち、同期の中でも一目置かれていた存在だ。

その彼がどうして原発に対してテロ活動を起こそうとしたのか。それは作中でも最後の方に出てくる。

ところで私は真っ先に子供を救出した後なら自衛隊の戦闘機で空爆するという手があると思った。現に作中でもそれについて話しているが、うまく粉々になってくれればいいが、単に墜落を早めるだけの確率の方が高いと切り捨てられている。
しかし私は爆弾を搭載したヘリならば空爆するだけで内部の爆弾と反応して粉々になる確率の方が高いと思う。従ってこの部分に関してはお茶を濁した程度で終わっているような感じがして、ここが本書の設定の弱点だったように思えてならない。

3.11の東日本大震災から連日メディアで喧しく報道されている放射能物質拡散の脅威と反原発運動、そして放射能汚染の恐怖。この原子力発電は現代の社会に咲いた仇花なのだ。
もう無関心でいる時期は終わった。
1995年に著された作品だが、現在起こっていることが既に本書には予想として挙げられている。これらの事態と原発に関する知識をさらに深く得るためにも、そしてその存在意義を考えるためにも今この書を読むことをお勧めする。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.7:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

全国民へ

まず、この作品を読む前に思ったのはヘリを強奪して原発の上でホバリング。それを盾に政府を脅迫。
この設定でこの厚さ。一体この設定でどうやってここまでのボリュームを出す!?です。

読了後、かなりいろいろなことを考えさせられます。
まず他レビューにもあるように福島原発事故の10年以上も前に執筆されていること。ここまで東野圭吾が警告しているのにもかかわらず、作中に書かれていることが原因の事故が起こってしまっている。
事故後、遺族や被爆してしまった方々にはすごく申し訳ない気持ちになった。というのも私も原発の恐ろしさや必要性にさほど強い意識を持っていなかったからである。
確かに事故が起きれば相当な危険を伴う原発、しかしそれがなければ生活できていないという現状。そのようなことを全く今まで考えていなかったが、それが申し訳ないことだと思った。

色々なことを考えさせられ、勉強にもなった作品である。

物語としては、確かにノンストップで進んで行くところは面白い。しかし、細かい説明が少し難しかったり(私の理解力の低さもあるが)、脇役的な登場人物が多すぎて混乱して誰が話しているのかわからなくなる時が多々あった。ストーリー、メインキャラクター、最後の一節は良かったが少し上記は私の中ではマイナス点である。

▼以下、ネタバレ感想

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マビノギオン
ETOPY8N1
No.6:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

天空の蜂の感想

ちょっと古いが評判が良いので読んでみた。
東野なので読みやすく又
最近の原発ゼロや原発怖い怖い病の人たちが
書かれていないので良かった。
読んでいると
映画「新幹線大爆破」と「エアポート75」を
思い出した。
似ているわけではないけど

jethro tull
1MWR4UH4
No.5:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

天空の蜂の感想

原発事故の前と後では読後の感想は相当違うと思う。いろいろと考えさせられました。内容としてとてもスリリングで一気に読んでしまいました。本格ミステリではないけど、是非とも読んでもらいたい作品。

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msy0228
VGUO2GM5
No.4:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

福島第一原発事故後に読んで

1995年に発表された作品だが、ミステリーとしての本筋とは別に、16年後の原発事故を予感していたようなリアリティのある話にぞくぞくした。
自衛隊から受注した大型ヘリ「ビッグB」が、最後のテストの日、遠隔操縦装置を駆使する何者かに奪われて無人のまま飛び立ち、高速増殖炉「新陽」の真上でホバリング状態になり、犯人からは「すべての原発を使用不能にすること。ただし、新陽は運転を停止させないこと」という要求が届いた。要求が聞き入れられなければ、ヘリを墜落させるという。原発が人質に取られたのである。ところが、犯人は知らなかったのだが、ビッグBには小学生の男の子がひとり入り込んでいた。子供の救出と原発の事故防止、二つの難題を解決するために、前例の無い危機管理活動が展開されることになる。
子供の救出作戦、犯人探しという本筋のストーリーの完成度の高さもさることながら、本作品では「原発は必要なのか?」という裏のテーマの重さが、読者の心に迫ってくる。原発を推進する政府、電力会社、原発メーカー、誘致する自治体、原発労働者、反対運動を進める人々・・・さまざまな視点から原発を捉え直し、「沈黙する群衆」の責任を問うてくる。
福島第一原発事故の前であれば、「原発は必要か」の部分が多少鬱陶しく感じただろうが、あの事故を経験した今では、こちらにこそ本質があるような気さえしてくる。そうした重い問い掛けを含みながら、エンターテイメントとしても優れた作品であり、多くの方にオススメしたい。

iisan
927253Y1
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

天空の蜂の感想

10年以上も前に発表された作品であるが、3.11以前と以降に読んだ場合では、これほど読後の感想や感じ方が異なる作品も無いであろう。私は後者だったので3.11以前に読んでいれば「ふーん、原発ってそういうものなのか!(小説としての出来栄えではなく原発の現実が)」程度のものでしかなかったであろうが、3.11以降の福島第1原発の現実を直視すれば、2年以上経過した今でも(更にこれからもずっと)その癒える事の無い大きな傷跡について非常に考えさせられる作品であった。それにしても10年以上も前にこのような作品を発表した東野圭吾の凄さに改めて感心・感服です。

m.n
K5FH6CEW
No.2:7人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

天空の蜂の感想

某所のレビューを見ても、3・11以前と以後では評価がかなり違いますね。

この作品が書かれたのは今から10年以上前です。
作品中で、「軽水炉の建屋のプール内の使用済燃料が弱点だ」と指摘されています。
東野氏は理系出身とはいえ、専門分野という訳ではないでしょう。
大量の取材、調査に基づいての執筆だったと思いますが、だとしたら、有識者の間でその弱点は、10年以上も前から既知の事実として存在していた事になります。
福島はその弱点をモロに突かれた事になりますが、東野氏の先見の明というより、弱点を弱点のまま改善できていなかったという事に驚きました。
今後も「100%の安全」を期待するのは難しいのだろうと感じました。

また、あれ程の切迫した状況に陥っても、「原発を停止する」と判断できない政府の対応から、原発に頼らざるを得ない現状そして原発の必要性を思い知らされた感じです。
安全性を主張する(せざるを得ない?)政府、煽るマスコミ、反対するごく一部の国民、そして無関心な大多数の国民。
皆それぞれ無責任な部分はあるとは言え、この中に「悪人」はいないと思う。
今作のテロリストにしても悪人だとは思えない。
問題があるとしたら、他人事のように思っている「無関心な大多数の国民」だとは思う。
私もその中にカテゴライズされるが、じゃあどうすればいいのかが分からない。
「搭乗券を買った覚えはないかもしれないが、日本国民は原発という飛行機にもう乗ってしまっている」
全くその通りだと思うが、どの立場の人間の主張もある意味正しく1つの正解を見い出す事ができない。

色々考えさせられた作品です。

梁山泊
MTNH2G0O
No.1:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

天空の蜂の感想

かなりの分量があるにも関わらず
スピード感溢れる内容で一気に読むことができる。
ストーリー、人物、全てにおいて東野作品で五指に入る。

OZ
8U24PHAV

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