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天空の蜂



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天空の蜂の評価: 7.67/10点 レビュー 9件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.67pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

天空の蜂の感想

究極の理系社会派サスペンスミステリー(東野圭吾がぎっしり詰まった作品)。ヘリと原発の説明が眩暈がするほど長くて、手に汗握るアクションや哀しい人間ドラマを堪能するより、ただ疲れた。25年前の作品なので、原発の安全神話については、その後東日本大震災が大きく警鐘を鳴らす事となった訳です。著者は阪神淡路大震災やチェルノブイリから着想を得たのでしょうが、まさか本当に震災が「天空の蜂」となり日本を刺すとは、事実は小説より奇なり。ほんの数時間の出来事なのに超濃密な物語、書くのも大変だったでしょうが、読むのも大変でした。

なおひろ
R1UV05YV
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

福島第一原発事故後に読んで

1995年に発表された作品だが、ミステリーとしての本筋とは別に、16年後の原発事故を予感していたようなリアリティのある話にぞくぞくした。
自衛隊から受注した大型ヘリ「ビッグB」が、最後のテストの日、遠隔操縦装置を駆使する何者かに奪われて無人のまま飛び立ち、高速増殖炉「新陽」の真上でホバリング状態になり、犯人からは「すべての原発を使用不能にすること。ただし、新陽は運転を停止させないこと」という要求が届いた。要求が聞き入れられなければ、ヘリを墜落させるという。原発が人質に取られたのである。ところが、犯人は知らなかったのだが、ビッグBには小学生の男の子がひとり入り込んでいた。子供の救出と原発の事故防止、二つの難題を解決するために、前例の無い危機管理活動が展開されることになる。
子供の救出作戦、犯人探しという本筋のストーリーの完成度の高さもさることながら、本作品では「原発は必要なのか?」という裏のテーマの重さが、読者の心に迫ってくる。原発を推進する政府、電力会社、原発メーカー、誘致する自治体、原発労働者、反対運動を進める人々・・・さまざまな視点から原発を捉え直し、「沈黙する群衆」の責任を問うてくる。
福島第一原発事故の前であれば、「原発は必要か」の部分が多少鬱陶しく感じただろうが、あの事故を経験した今では、こちらにこそ本質があるような気さえしてくる。そうした重い問い掛けを含みながら、エンターテイメントとしても優れた作品であり、多くの方にオススメしたい。

iisan
927253Y1
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

天空の蜂の感想

10年以上も前に発表された作品であるが、3.11以前と以降に読んだ場合では、これほど読後の感想や感じ方が異なる作品も無いであろう。私は後者だったので3.11以前に読んでいれば「ふーん、原発ってそういうものなのか!(小説としての出来栄えではなく原発の現実が)」程度のものでしかなかったであろうが、3.11以降の福島第1原発の現実を直視すれば、2年以上経過した今でも(更にこれからもずっと)その癒える事の無い大きな傷跡について非常に考えさせられる作品であった。それにしても10年以上も前にこのような作品を発表した東野圭吾の凄さに改めて感心・感服です。

m.n
K5FH6CEW
No.1:7人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

天空の蜂の感想

某所のレビューを見ても、3・11以前と以後では評価がかなり違いますね。

この作品が書かれたのは今から10年以上前です。
作品中で、「軽水炉の建屋のプール内の使用済燃料が弱点だ」と指摘されています。
東野氏は理系出身とはいえ、専門分野という訳ではないでしょう。
大量の取材、調査に基づいての執筆だったと思いますが、だとしたら、有識者の間でその弱点は、10年以上も前から既知の事実として存在していた事になります。
福島はその弱点をモロに突かれた事になりますが、東野氏の先見の明というより、弱点を弱点のまま改善できていなかったという事に驚きました。
今後も「100%の安全」を期待するのは難しいのだろうと感じました。

また、あれ程の切迫した状況に陥っても、「原発を停止する」と判断できない政府の対応から、原発に頼らざるを得ない現状そして原発の必要性を思い知らされた感じです。
安全性を主張する(せざるを得ない?)政府、煽るマスコミ、反対するごく一部の国民、そして無関心な大多数の国民。
皆それぞれ無責任な部分はあるとは言え、この中に「悪人」はいないと思う。
今作のテロリストにしても悪人だとは思えない。
問題があるとしたら、他人事のように思っている「無関心な大多数の国民」だとは思う。
私もその中にカテゴライズされるが、じゃあどうすればいいのかが分からない。
「搭乗券を買った覚えはないかもしれないが、日本国民は原発という飛行機にもう乗ってしまっている」
全くその通りだと思うが、どの立場の人間の主張もある意味正しく1つの正解を見い出す事ができない。

色々考えさせられた作品です。

梁山泊
MTNH2G0O

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