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(短編集)

探偵倶楽部(依頼人の娘)



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探偵倶楽部(依頼人の娘)の評価: 4.00/10点 レビュー 4件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(4pt)

探偵倶楽部(依頼人の娘)の感想

探偵俱楽部の男女ですが
事件の解決にキャラが立っていないので
面白みに欠けます。
短編はそれなりに良いだけに
ちょっと残念
読んでも読まなくてもよい作品

jethro tull
1MWR4UH4
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

職人技に徹した短編集

政財界のVIPのみを会員とする調査機関「探偵倶楽部」。眉目秀麗な男女のコンビが事件の謎を解く連作短編集。
まずは各短編について寸評を。

まず本書の先鋒「偽装の夜」は探偵倶楽部の導入の意味もあるのか、収録作中最長の88ページの分量がある。
実に東野らしいツイストの効いた短編だ。密室殺人事件の解明ではなく、自殺死体の隠蔽工作という導入も捻りがあり、探偵倶楽部が乗り込んで彼らの工作が暴かれた後でも、実は死体は消失していたと新たな謎が発覚する。
短編でありながらアイデアを重層的に織り込んでいるのがこの作者のサービス精神旺盛なところ。そして今回は今までの会話に犯人を推理するヒントも隠されており、フェアプレイに徹している。それらが実にさりげなく無理なく会話に溶け込んでいるので、なかなか看破できないのだが。
爆発的な驚きはないが、丁寧に作られた佳作である。

続く「罠の中」は匿名の3人による殺害計画の談話から始まるいささか物騒な幕開けだ。
計画が成功したと見せといて実は、被害者は計画者の1人だったという、これもなかなかに捻りが加えられている。あたかもマジックを見せられているような錯覚を受ける。
ただ冒頭に出てくる匿名の共犯者3人は簡単に見当がつきやすいのが弱点か。

本短編集の旧題として使われたのが「依頼人の娘」だ。
容疑者をおびき寄せる電話のトリックは看破でき、家庭内の悲劇を扱った作品かなと思ったが、やはり真相はオーソドックス。ただ明かされる真相はちょっと作りすぎの感が否めない。それぞれの登場人物の動きがあまりに計画的に進みすぎで最近こういうカチッとしすぎる工作に嘘くささをどうしても感じてしまう。

「探偵の使い方」では更にオーソドックスさが増し、探偵倶楽部は浮気調査を依頼される。
事件が発生した途端に事件の成行きが透けて見えるくらい、すごく普通の展開を見せるが、やはりそれが東野の仕掛けたミスリードだった。
とはいえ、この真相はけっこう解りやすい話になるのではないか。さすがに4編目まで来ると、こんな具合にすんなりいくはずがないと警戒心も生まれるし、事実そんな感じで読めた。

最後は「薔薇とナイフ」。
真犯人は実は途中で解ってしまった。
しかしそれでも由里子の妊娠という導入が読者に謎解きへの呪縛をかけており、真相を全て見抜くには至らないだろう。書かれていること全てが手がかりであるというミステリの定石を逆手に取った実に上手いミスリードだと云える。

政財界や富裕な家庭専門の探偵という事で、政略や欲望や愛憎の渦巻く泥沼劇の、ロスマクのような家庭内の悲劇を扱った作品なのかと想像したが、全くそんなものではなく、探偵倶楽部の2人も現実から浮いた戯画的なキャラクターとして創造されている。そして各編に共通してあくまで東野の筆致はライトであり、内容は基本的にオーソドックスで2時間サスペンスドラマ用のストーリーとも云える。私は特に『家政婦は見た!』シリーズのようなテイストを感じた。

通常のシリーズ物と異なる本作独特の特徴はと云えば、シリーズキャラクターである探偵倶楽部の2人は実は物語においてサブキャラクターであり、あくまで主役は依頼人だということだろうか。だから探偵倶楽部の2人はその外的特徴が語られるのみで名前さえも判らない(最後の「薔薇とナイフ」で助手の女性が手掛かりを手に入れるために立倉と名乗るが恐らく偽名だろう)。
つまりシリーズキャラとしては異常に影の薄い存在だ。そして物語は常に依頼人側の視点で語られるため、探偵倶楽部の調査方法は全く謎のままである。

更に「偽装の夜」を除く各編では、事件が起こり、警察が介入して合理的な推理が一旦事件は解決する。そこから探偵倶楽部による新たな真相というのが物語に共通するパターンであり、単純な謎解きに終始していないのがこの作者としてのプライドなのだろう。

各5編に共通するのは動機が全て恋愛沙汰や財産問題というベタな設定であること。
「偽装の夜」では社長の財産が動機であり、更に秘書と内縁の妻江里子が実は愛し合っているという関係。
「罠の中」でも金貸しの叔父に纏わる人間たちの金銭問題、そして物語の終盤では叔母と利彦の秘密の関係が明かされる。
「依頼人の娘」は事件が妻の浮気の末の駆け落ちの阻止。
「探偵の使い方」でも浮気と保険金殺人が主題。
「薔薇とナイフ」はネタバレを参照していただくとして、先にも述べたように2時間サスペンスドラマによく見られるテーマばかりである。

この頃の東野圭吾作品は『鳥人計画』以降、『殺人現場は雲の上』、『ブルータスの心臓』そして本作とノベルスで上梓されたミステリが連続して刊行されており、逆に東野氏はキオスクミステリに徹して軽めの作品を書くことを意識していたようだ。
つまり普段、本を読まない人が旅行や出張といった旅先で軽く読むために駅のキオスクで気軽に買って気軽に読め、車中で読み終えてしまうことのできるミステリである。その事について是非は私個人としてはない。

島田氏がエッセイでも云っていたが新進作家の生活は苦しく、作家活動だけで食べていけるのはほんのわずかの人間である。生活の糧を得るために広く読者を獲得する必要があり、こういうライトミステリに手を出さざるを得ないのが当時の状況であった。
したがってこの手のミステリに読書を趣味とする人間やミステリ愛好者があれこれいちゃもんを付けるというのは全く筋違いという物だろう。

が、あえてその愚を犯すならば、やはりそれでも島田氏の短編にはミステリとしての熱があり、クオリティも高かった。
それに比べると東野氏は各編にツイストを効かせているものの、登場人物の内面描写、風景描写、気の利いたセリフなどを極力排しているがために、小手先のテクニックを弄しているという感が拭えず、職人に徹しているなあと感じてしまう。それも創作作法の1つだが、もう少しミステリとしての熱が欲しかったと思う短編集だ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(3pt)

探偵倶楽部の感想

男女2名の探偵が登場する短篇集ですが、何れの物語においても彼らは主役とはなりえません。
探偵らしいことを何もしていないですからね。
彼らが所属する探偵倶楽部という存在を謎につつまれたものとして表現したいのでしょうか、そもそも探偵役の名前すら明らかにされていませんし、感情のないサイボーグのように描かれています。
最後に答えを教えにだけやってくる愛想のないお兄さん。 それ以上でもそれ以下でもない気がします。
お姉さんの存在意義がそもそもわからないですしね。
ミステリって言うよりも「小学館小学?年生の付録についてくる推理クイズ」って感じですね。
東野作品にしては、独特の理系要素もなし深い心理描写もなしのないない尽くしの作品。

梁山泊
MTNH2G0O
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

少しもの足りない

「探偵倶楽部」というタイトルにするからには、もう少し探偵2人のキャラクター(個性)を表現してほしかった。(あえてなのでしょうが、あくまで私の好みの問題)

短編なので、どうしても人間関係などの描写は少なくなってしまっていますが、設定はきちんとされているように思えました。

電車での移動時間などに軽く読むには良いのではないでしょうか。

MUMU
YYDFLVXQ

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