病弱で生意気な美少女つぐみ。

複雑な家庭環境の中、これまで会わずに育った「兄妹」が出会った瞬間から恋を育む──。

妹の死。頭を打ち、失った私の記憶。

これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。

私の衝動的なプロポーズに対して、長い沈黙の後とかげはこう言った。「秘密があるの」―。

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う――。

双子のミミとこだちは、何があっても互いの味方。

この世で最も恐ろしいことは、自分が自分でなくなってしまうこと――。

「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

その男は死んでいたはずだった―。何十年も前、忽然と映画界から姿を消した監督にして俳優のヘクター・マン。

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。

“わたしたちは仲間です”―十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える“僕”は、差出人不明の手紙を受け取る。

佐和子の家族はちょっとヘン。父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄。

失恋ばかりの、私の体。私は彼のことが、本当に、好きだった。

羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。

「価値観が変わる」と聞いて避けてきたけれど、いってみたら「書かれ続ける理由」がわかったインド、首から完走メダルを提げたまま、初老の紳士と親指を突き立ててうなずき合ったスペイン、自分の好みにおける「めんくい」が多いことに気づいた香港……旅好き作家・角田光代が

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。

「そもそものはじまりは間違い電話だった」。

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。

恋人に騙され、仕事もお金も居場所さえも失った２５歳のエミリ。

大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。

高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。

本屋大賞ノミネート作家、瀬尾まいこのデビュー直後から3年半の日常をつづるほのぼのエッセイ。

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。

「日本に美術館を創りたい」。その夢を追いかけ、絵を一心に買い集めた男がいた。

美形でボンボンで博識だが、自意識過剰で幼稚で無神経。人生の決定的な局面から逃げ続ける喰えない男、伊藤誠二郎。

川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。

雅男は、サッカーが好きなごくふつうの中学生。