蒼火
- 大藪春彦賞受賞 (28)
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「時代小説ブーム」だそうである。書店には「時代小説コーナー」をつくるところもあるくらいだから、売れているのだろう。実際、多くの作家が時代小説に「転向」し、ナントカシリーズが本屋に並ぶ。 だが、このブームは残念ながら質の向上には結びつかず、むしろ、安易でお手軽な作品を大量に生み出している。さっぱり人物像が描かれてない主人公、先の読めるストーリー、そして、原稿料を稼ぐためなのか、やたら改行の多い文体。まるで、粗製乱造の二流の劇画、昔懐かしい「貸本マンガ」の世界である。 そんなわけで最近、特定の作家以外の時代小説は読む気にならなかったが、偶然に本書と出合い、読んでみた。これが、お手軽な時代小説かと思ったら大違い、素晴らしい小説だった。 物語は、辻斬りをくりかえす連続殺人犯を主人公が追う、というものだ。前半は、主人公が殺人犯を探る過程で、亡くなった友人の妹、市弥との再会などもあり、藤沢周平的な人情噺っぽい展開で、ストーリーがゆったりと展開する。だが、主人公が人を初めて斬った時を回想しながら、殺人犯の心理を分析していくあたりは、いわゆる一種の「プロファイリング」である。サイコ・キラー、シリアル・キラーを追いかける捜査官が江戸時代に現れたようであり、藤沢周平的筆致に現代的な味つけがしてある。 前半ゆっくりした展開ですすんだストーリーは、殺人犯が現れてからは一気にテンポがあがる。そして、いつしか追いかけているはずの主人公が殺人犯に追いかけられ、ついには市弥が狙われるという展開へ。逢坂剛の「百舌シリーズ」を思わせる緊迫したサスペンスとなっている。前半のゆっくりした流れからの急展開は、さながらジェットコースターに乗った感じとでもいえばいいのだろうか。 緊密な文体、人情とサスペンス、そしてストーリー展開の緩急、とても処女作(出版順では二作目となるが)とは思えない作品である。書き飛ばしの時代小説に辟易している人におすすめの本格的時代小説。藤沢周平と逢坂剛のファンならば必読であろう。 なお、本格的な時代小説の書き手として期待された著者であるが、残念ながら、2009年に亡くなっている。これからというときに著者が逝去したこと、本当に残念である。 | ||||
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「時代小説ブーム」だそうである。書店には「時代小説コーナー」をつくるところもあるくらいだから、売れているのだろう。実際、多くの作家が時代小説に「転向」し、ナントカシリーズが本屋に並ぶ。 だが、このブームは残念ながら質の向上には結びつかず、むしろ、安易でお手軽な作品を大量に生み出している。さっぱり人物像が描かれてない主人公、先の読めるストーリー、そして、原稿料を稼ぐためなのか、やたら改行の多い文体。まるで、粗製乱造の二流の劇画、昔懐かしい「貸本マンガ」の世界である。 そんなわけで最近、特定の作家以外の時代小説は読む気にならなかったが、偶然に本書と出合い、読んでみた。これが、お手軽な時代小説かと思ったら大違い、素晴らしい小説だった。 物語は、辻斬りをくりかえす連続殺人犯を主人公が追う、というものだ。前半は、主人公が殺人犯を探る過程で、亡くなった友人の妹、市弥との再会などもあり、藤沢周平的な人情噺っぽい展開で、ストーリーがゆったりと展開する。だが、主人公が人を初めて斬った時を回想しながら、殺人犯の心理を分析していくあたりは、いわゆる一種の「プロファイリング」である。サイコ・キラー、シリアル・キラーを追いかける捜査官が江戸時代に現れたようであり、藤沢周平的筆致に現代的な味つけがしてある。 前半ゆっくりした展開ですすんだストーリーは、殺人犯が現れてからは一気にテンポがあがる。そして、いつしか追いかけているはずの主人公が殺人犯に追いかけられ、ついには市弥が狙われるという展開へ。逢坂剛の「百舌シリーズ」を思わせる緊迫したサスペンスとなっている。前半のゆっくりした流れからの急展開は、さながらジェットコースターに乗った感じとでもいえばいいのだろうか。 緊密な文体、人情とサスペンス、そしてストーリー展開の緩急、とても処女作(出版順では二作目となるが)とは思えない作品である。書き飛ばしの時代小説に辟易している人におすすめの本格的時代小説。藤沢周平と逢坂剛のファンならば必読であろう。 なお、本格的な時代小説の書き手として期待された著者であるが、残念ながら、2009年に亡くなっている。これからというときに著者が逝去したこと、本当に残念である。だが、実質的な処女長編である本作が北重人のベスト作であり、本作で著者は書きたいことをすべて書いてしまったのかな、とも私は思う。 | ||||
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江戸の闇の中で連続して起こる辻斬りの謎を追う周乃介。時代小説です。池波作品よりも綿密な時代考証が命かも。特に江戸の夜、闇の道筋の描写が迫真です。 ただ、登場人物それぞれが曰くつきの過去を持っていて、奥歯にモノがはさまったように思わせぶりすぎる嫌いがあります。個人的には常磐津のお師匠・市弥姐さんが、気風がよく色っぽくて素敵です。なるほどね、と思わせるストーリー展開は本格的時代小説と呼ぶに相応しい作品です。しかし、文章が重くて暗いんだな。同じ周乃介のシリーズがあるようですが、多分読まないだろう・・・。 | ||||
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間違いなく時代小説の中心的作家になるであろう、北氏2冊目の長編小説。 江戸の雰囲気が実に良く伝わってくる確かな時代考証に、まずは感心した。 読み進むにつれ、活劇あり、ミステリーあり、恋あり、とぜいたくな面白さにあふれた展開にうれしくなった。 最後のページまで、手に汗握ること間違いなし。 傑作である。 | ||||
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