蒼火
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初版刊行(参考)
種別
長編
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評判
蒼火の評価:
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蒼火の総合評価:
8.67/10点 レビュー 3件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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だが、このブームは残念ながら質の向上には結びつかず、むしろ、安易でお手軽な作品を大量に生み出している。さっぱり人物像が描かれてない主人公、先の読めるストーリー、そして、原稿料を稼ぐためなのか、やたら改行の多い文体。まるで、粗製乱造の二流の劇画、昔懐かしい「貸本マンガ」の世界である。
そんなわけで最近、特定の作家以外の時代小説は読む気にならなかったが、偶然に本書と出合い、読んでみた。これが、お手軽な時代小説かと思ったら大違い、素晴らしい小説だった。
物語は、辻斬りをくりかえす連続殺人犯を主人公が追う、というものだ。前半は、主人公が殺人犯を探る過程で、亡くなった友人の妹、市弥との再会などもあり、藤沢周平的な人情噺っぽい展開で、ストーリーがゆったりと展開する。だが、主人公が人を初めて斬った時を回想しながら、殺人犯の心理を分析していくあたりは、いわゆる一種の「プロファイリング」である。サイコ・キラー、シリアル・キラーを追いかける捜査官が江戸時代に現れたようであり、藤沢周平的筆致に現代的な味つけがしてある。
前半ゆっくりした展開ですすんだストーリーは、殺人犯が現れてからは一気にテンポがあがる。そして、いつしか追いかけているはずの主人公が殺人犯に追いかけられ、ついには市弥が狙われるという展開へ。逢坂剛の「百舌シリーズ」を思わせる緊迫したサスペンスとなっている。前半のゆっくりした流れからの急展開は、さながらジェットコースターに乗った感じとでもいえばいいのだろうか。
緊密な文体、人情とサスペンス、そしてストーリー展開の緩急、とても処女作(出版順では二作目となるが)とは思えない作品である。書き飛ばしの時代小説に辟易している人におすすめの本格的時代小説。藤沢周平と逢坂剛のファンならば必読であろう。
なお、本格的な時代小説の書き手として期待された著者であるが、残念ながら、2009年に亡くなっている。これからというときに著者が逝去したこと、本当に残念である。だが、実質的な処女長編である本作が北重人のベスト作であり、本作で著者は書きたいことをすべて書いてしまったのかな、とも私は思う。